2018年2月14日水曜日

海谷 駒ケ岳カネコロン









海谷山塊は各山の個性が際立っていて魑魅魍魎、不思議が沢山ある山域だ。駒ケ岳の南西壁には冬季カネコロンと呼ばれる氷柱が現われる。一面埋め尽くしていた鉛色の雲が晴れ、真っ青な空にかかる氷は洗い立てのTシャツのようで何だか嬉しくて面白い。標高が1100mにも満たない南西面に何故150mクラスの氷柱が懸かるであろうか。上部の雪田が小さく融雪による水量が少ないため氷結しやすい、角礫凝灰岩からの水の供給量が絶妙である、風が吹き抜けるため氷点下であれば氷結が早いなど幾つかの理由が考えられる。それにしてもこれだけ暖流海に近く日当たり良好な場所に氷瀑ができるとは俄かに信じ難い。これも一部の登山者を魅了してやまない海谷マジックの一つと言えよう。

カネコロンの登攀は3Pで終了する。下部のちょっとグサついて雪パックされた嫌らしい氷を登り1P、氷柱中央を登り右側のテラスまでで2P、安定した氷を求めて左へトラバースして落ち口まで3P。登攀時は転進でふらりと訪れており、シーズン中に氷を登りこんでいなかったので四苦八苦であった。

氷がどうの、クライミングがどうのと言うより、景色とロケーションが最高に素晴らしい。南側は温かみのある頸城の山々がいい。海谷の主峰、雨飾山が一際目立つ。北側には日本海。晴れていれば、富山湾の定置網まで確認できるだろう。山と海どちらの恵みも感じる事のできる味わい深い氷瀑である。

<アプローチ>
シーサイドバレースキー場から歩くか、梶山まで繋がる林道の途中に駐車する。登山道がついている尾根に上がるのも悪くないが、雪が安定していれば谷筋をそのまま詰めた方が歩き易い上、そのまま滝に取り付くことができる。登山道の尾根から取り付く場合は青年団バンドの少し下を懸垂下降するか、下部からトラバースして谷に入り取り付く。下降は青年団バンドを降りる。

<装備>
スクリュー12~14本くらい。長いほうが安心。

<温泉>
塩の道温泉:シーサイドバレースキー場に併設されている温泉。最寄で下山後にはちょうどよい。

<快適登攀可能季節>
1月~2月。寒い冬のとき。気象庁の過去データを確認すれば大体の状態を推し量る事はできる。深夜から歩き始めれば日帰りで十分可能である。日の出とともに氷を登り始めるのが賢明である。一泊の計画でコブ尾根からアプローチして氷を登り、駒ケ岳の山頂を踏むという登山も素敵だ。カネコロンは糸魚川の市街地から良く見えるので、前の週にでも確認してから行くといいかも。

<博物館>
フォッサマグナミュージアム:糸魚川ジオパークの拠点博物館。ジオパーク散策の前にここで情報収集しよう。石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。

なお、シーサイドバレー最寄の塩の道資料館は冬季閉館している。

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