帰宅して地形図を眺めて驚嘆したのだが、森石「沢」なのである。富山県なのになぜここだけ「谷(タン、ダン)」ではないのか。黒部川流域で末尾語が沢となっている谷は信濃側の猟師達の呼称で県境の谷ばかりである。思いっきり越中のこの谷に主として東日本で用いられる沢という地名がぽつんとあるのは何かの手違いとしか思えない。
名称遍歴に謎を持つ森石沢の遡行記録は少ない。志水哲也氏の著作に遡行記録があるが、谷の様相は土砂が流入しており随分と変わっていた。しかし下部のゴルジュ小滝群は健在で手ごわく悪い。うーん黒部だなぁ。足元に転がる岩はザクロ石を含む片麻岩や結晶質石灰や角閃岩を含む岩が多い。富山だなぁ。下部ゴルジュを抜けると土砂堆積が著しく谷が埋まっているのが分かる。主として花崗岩からなる谷なので部分的な脆い個所が崩壊によって谷に土砂をもたらしているようだ。志水氏の遡行図にある小滝は埋まってしまったり、倒木が架かっているのも多い。中部~上部のセクションはひと時楽しい小滝と美しい渓相となる。途中に雪渓が沢山出てきたので沢中の様子は一部不明な所がある。どこだったか忘れたが小滝を水線沿いに登れず非常に悪い左岸の泥壁を登ることになった。1303mへ向かう沢は小滝は出ずに体力勝負の急登。尾根に出てからも登山道は無いためほかの沢を下降することとなる。筆者らは弥太蔵谷右支流を下降したが、雪渓だらけで下降は相応に緊張を強いられた。右支流は登っても面白そうな地形をしており、次は遡行したいところである。
水量は多く雪が多かったこともあり歯ごたえ十分の遡行であった。小渓流でありながら側壁の高さが大渓谷の風格を醸すのがいい。容易に下山できる登山道が無いことも一層この谷での登山活動を面白くする。遠方から遡行対象とすることは滅多にないだろうが、週末系の山行としては完成度は高く行けば満足間違いなし。
<アプローチ>
宇奈月ダムからしかるべきところを歩き出合いまで歩く。森石沢内の幕営好適候補地が雪で埋まっていたのでどこが良いのか不明。ただ、入渓時間と内容を考慮したら森石沢で泊まることはあまりないと思う。下降は弥太蔵谷右支流が合理的だが、この谷も下降は相応に時間がかかる。右支流中はそこそこ快適に幕営できる箇所は多い。
<装備>
カム0.3~1.0、ピトン各種。足回りはラバーでもフェルトでもいいかも。泥壁草付きが多いのでハンマーはピックが長いほうが有利。
<快適登攀可能季節>
7月~10月 残雪、寒さ、害虫など各種事情を鑑み判断されたし
<温泉>
とちの湯:宇奈月温泉総湯は駐車場も無いし、露天風呂もない。山屋のみなさまはこちらへどうぞ。
<温泉>
とちの湯:宇奈月温泉総湯は駐車場も無いし、露天風呂もない。山屋のみなさまはこちらへどうぞ。
<博物館など>
うなづき友学館:黒部市立図書館の分館と歴史民俗資料館が併設している。何と言っても1/2愛本刎橋が見ものの博物館である。30年おきにかけ替える刎橋だが、当時のオーソドックスな橋脚がある木造橋の架け替え頻度ってどのくらいだったんだろうか。もっと深く橋の構造比較をしてくれればありがたいと思う。このほか、稚児舞や七夕といった地域の祭事展示も興味深い。
うなづき友学館:黒部市立図書館の分館と歴史民俗資料館が併設している。何と言っても1/2愛本刎橋が見ものの博物館である。30年おきにかけ替える刎橋だが、当時のオーソドックスな橋脚がある木造橋の架け替え頻度ってどのくらいだったんだろうか。もっと深く橋の構造比較をしてくれればありがたいと思う。このほか、稚児舞や七夕といった地域の祭事展示も興味深い。
<グルメ>
よか楼:昨今話題の町中華的定食屋。コスパという卑しい概念を持ち出さなくても味で選べる良店。ジビエ料理も時折そろえる。
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