2025年6月15日日曜日

庄川 192m左岸支流

 







 庄川での沢登りはどうも癖になる。それは沢登り的に楽しいところもあれば、そうでもないところもあるから。どこを登っても面白い流域はただ行くだけなので消費していく感がある。しかし、時々あちゃーってなりながらも時々すごく楽しい所が有ると、地図をしっかり読んで楽しいところの共通点を探すようになる。この操作には時間を要する事もあり、来訪間隔が伸び、その間に感受性の変容も生じる。ゆえに遊びとして深くなる。
 駈足谷川は国道から快適そうな連瀑が丸見えで誰しも訪れることだろう。谷の名前が分からない192m左岸支流は国道からはさっぱり見えない。国道は大牧トンネルが通っているためだ。意味深な谷の屈曲やちょっとゴルジュっぽい地形は行ってみないとわからない。
 
 真剣に悪い国道からの下降と本流のへつりを経てたどり着いたその渓の入り口はすごい土砂。この程度で動じていたのでは富山での沢登りはままならない。トンネル工事によって残されたであろう人類の遺構を存分に堪能して屈曲点を過ぎると沢登りらしくなる。屈曲点は特別な点は何もなく、涼しい顔をして曲がっていた。岩は基本飛騨帯の花崗岩質で時々破砕作用を受けており脆い。コンタの詰まった所に現れる12m滝はロープを出して快適に登れる。以後も小滝が散発的に出て退屈しない。出合いの土砂で身構えたが思った以上に沢登りを楽しめている。地形図で登山道が横切っている箇所は何もわからない。快適なまま、793.6m三角点西へと向かい採石場へと続く廃林道を降りた。
 アプローチがすごく悪いので行きづらいが遡行は早く終了する。篤志家かつ午後から予定がある時にちょっと遊ぶ、ちょっと雨の日に軽くお散歩したい、庄川の地形と土砂崩れを研究している、大牧トンネル推し活で建設遺構を見学したいなど多くの人に訪れる理由が見いだされる渓谷といえよう。

<アプローチ>
駈足谷橋から次のスノーシェッド隙間にある路肩パーキングに駐車して本流へと下降する。駐車は大牧トンネル入り口より少し手前である。沢登りよりもこの本流への下降と支流入口までのへつりのほうが悪い。本流への下降が悪いと感じたら懸垂したほうが安全。下降は十八谷右俣か採石場から続く林道を利用する。

<装備>
カム少々

<快適登攀可能季節>
6月~11月。早い時期だと残雪が残っている。

<温泉>
大牧温泉:舟で対岸に向うという、火曜サスペンス劇場的なロケーション。もちろん行った事は無いが一度行ってみたい。

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