2016年12月12日月曜日

天狗尾根










西穂沢右岸から天狗ノ頭へ伸びる天狗尾根は、マイナーな尾根ではあるが、締まった山行内容を組める良い尾根だ。筆者らは白出沢を少し詰め適当な所から尾根に取り付いた。末端から取り付いた場合、緩やかな尾根が1850m付近でいきなり顎が突くような傾斜となり面食らうだろう。ここは状態に応じてロープを出したほうがよさそうだ。以降も脹脛に堪える傾斜が続く。2350m付近からは尾根も所々細くなるので、山慣れしていないメンバーがいる場合は注意したい。尾根そのものの核心は2500m付近の樹林帯のナイフリッジである。それ程難しくはなく、支点も藪で取れるので問題ない。
 
この尾根の魅力は、何と言っても厳しい穂高の稜線のど真ん中に突上げる点である。涸沢岳まで縦走して涸沢岳西尾根を下降する、或いは西穂高岳独標まで縦走して千石尾根を下降すれば、週末1泊2日の日程で緊張感のある山行が出来るはずだ。ただ、どちらの縦走もそれなりに手間が掛かるので時間配分にはご注意を。

<アプローチ>
先述の通り、白出沢を少し詰め適当な場所から尾根に取り付くと楽だと思う。天狗尾根中に快適な幕営場所は乏しい。2300m付近の平坦地ならば1張可能。同ルートも下降出来るだろうが、中途半端な傾斜のため面白く無い割りに面倒な気がする。穂高西面の谷筋の雪は風に叩かれて締まっている事が多い。積雪状況次第では、西穂沢や小鍋谷にエスケープする事も可能。

<装備>
スリング数本。稜線の岩はボロイので注意したほうがよい。縦走は力量の揃ったパーティーでスピーディーに抜けるのが吉。

<快適登攀可能季節>
12月~4月。尾根が狭いので雪が少なすぎると幕営場所の整地が辛い。

<温泉>
新穂高温泉なのでどこでも入ることが出来る。価格帯は高い。

栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。