2026年10月7日水曜日

水無川 真沢

 
































 恥ずかしながら、いい加減な登山をしている。有名なところだと各種色々な情報がある時代で遡行図や谷の情報が多分得られるのだが、じっくり読んで理解し行くことができない。遡行図を持っていくことも無いので、概念把握も適当で地形図を見ながら成り行きで適当に登っている。安全上望ましくないことは明白であり危険な登山者と罵られても仕方ない。ただ、理解していないからこそ良かった!と思えることも多いのも事実である。
 真沢はその昔友人に良い所だと教えてもらって以来気になっていた沢。二俣に大きな滝が架かっていてそれがもの凄い景観とのこと。大体そのくらいの情報だけで行ってみることになる。

 滝ノ沢を過ぎるといきなりゴルジュになってきて既に猛烈に綺麗だ。一見すると登れなさそうな滝でも取りついてみると簡単だったり、際どかったりしつつ登れる。登れない滝はクライミングして草付きに入り高巻く。関門の滝下は普段は雪で覆われているのだろうか。定石は不明だが綺麗で楽しいゴルジュである。関門の滝から先はそれはもう筆舌に尽くしがたい美渓で圧倒される。ロープを出さずに登れてしまう滝ばかりだが、高いので落ちたらアウトで緊張感が高い。危険なのでちょっと嫌だが時間を掛けると困るのも事実であり受け入れる。楽しみにしていた二俣の景観は世界遺産級で想像よりずっと素晴らしい。見慣れない渓相から腰を抜かす大滝が二つ架かっている様は圧巻だ。真沢って沢登り界で有名なのだろか?子の景色は越後だと当たり前なのか?登山界のみならず広く一般に知られていても良い場所だと思う。その後も登れる大滝、スラブ状滝、ナメが連発し感激の土石流、感動の火砕流が同時多発発生する。そんなこんなでわーわー騒ぎながら登ることになる。祓川という支沢を登るつもりだったが、概念を間違えており気づいたら真沢本流?を詰めて中ノ岳の北側へ出る。祓川には大滝が架かっており凄い大滝だねぇ~と言いいながら、のんきにやり過ごしていた。真沢には美景ナメが連発していたのでこれもたよし。ハードな笹薮漕ぎをして稜線に出るとこれまた美しい山に囲まれて幸せになった。登山道も美しい森で楽しくゴール。

 富山県近隣には見られない景観の味わえる空前絶後の名渓であった。謎の変性岩群である上越帯がなせる業なのだろう。登っていても堆積岩の変性岩っぽさと火山岩っぽさが混合していた。理解が及んでいない世界で親しく遊ぶのは実に興味深いこと。遡行景観は独特で相対的に表現しがたいが強いて類似した雰囲気を挙げるならば白山のよう。雪国では貴重な秋シーズンだが、たまには遠出して名渓を訪れるのも良きものである。

<アプローチ>
越後三山森林公園の駐車場から林道を歩いて廃道化してきたら適当に沢に降りて入渓。幕営適地は北沢との出合にある大滝を登った大岩地帯。といっても、薪が比較的豊富にあるだけで決して平らで安全というわけではない。車が二台あったので事前に十字峡に一台デポしていたので中ノ岳から登山道で容易に下りられた。

<装備>
カム一式、ピトン各種、足回りはラバーの方がいい。クライミングシューズがあると大滝で安心。

<快適登攀可能季節>
残雪が多いので9月~10月くらいだと思う。

<博物館など>
トミオカホワイト美術館:歴史的に変色や割れのない白色の油絵具の使用が難しかったことを初めて知った。富岡 惣一郎が作り上げた油絵白色の抽象的な世界は心地よい。

2026年9月28日月曜日

滑川 奥三ノ沢














 都市圏地域の友人と一緒だったり、天気のいい場所をさがしたりすると南進しがちになる。そんなとき中央アルプスは何かと便利なのでよく行くことになる。快晴の山を楽しむべく木曽を代表する谷と名高い奥三ノ沢へ。

 林道歩きと川原歩きをこなしてたどり着いた出合は日が当たらず寒い。F1は登れそうだがどうみても巻きが容易なのでさらりと巻いた。次も大きな滝が出てくるが、こちらは登るのが難しそう。登るなら右壁からだろうが、これも容易に高巻けるのでさっさと進む。川原は殆どないのでナメ滝と小滝を快調に登ったり、小さく巻いたりして進む。F5は雄滝と雌滝と呼ばれる二俣となっている。本流は雄滝であるが、直登が難しいのでロープを出して登る。雄滝側の凹状を登ったが岩が脆く崩壊している箇所もあるので、雌滝側を登って高巻いた方が快適だと思う。ぼろぼろの草付きコンタクト箇所で1点人工登攀した。以降はロープの出番んは無く快適な滝登りと小さい巻きを繰り返していく。巻きが余りに簡単な地形なので滝を登るのであれば「登る!」という堅い意思がいるだろう。陽が当たり始めると解放感も感じることができて大変気持ちがいい。2500mくらいで水が涸れてあとは淡々と登る。三ノ沢岳では期待通りの快晴で抜群の眺望であった。稜線が気持ちいいので予定を変更、縦走して上松Aコースから戻った。上松Aコースは地面が土で身体に優しいうえ、富山では馴染みのないキノコが生えており楽しい。3000m級の山を登って身体すっきり爽やか登山であった。

 奥三ノ沢は幕営適地が少ない。奥三ノ沢だけで考えたら日帰りでサクサク登ったほうが楽しい気がする。もちろん、下部から滝登りを時間を掛けて楽しむのもよし。テントを持って行って稜線で幕営し宝剣岳の岩場と抱き合わせで登るのも魅力的だ。大混雑の伊那川にはない静かさがあるのもいい。あ、冬に奥三ノ沢から宝剣へ継続登攀したら面白そうだ!

<アプローチ>
堰堤のある砂防公園に駐車して滑川上流へ向かう。敬神の滝小屋から上流方面へは林道跡が続いておりしばらくはそれを歩ける。川原に出てからが見ての通り長いが特に何も出てこない。奥三ノ沢は特徴的な二条滝で出合っているので間違うことは無い。幕営できる箇所は少ないが、2350m付近の二俣手前右岸に幕営できる平坦地がある。ただし、ルンゼの押出付近なので自然落石や雨の時は多少リスクはある。三ノ沢岳に出たら沢を降りるもよし、縦走して上松Aから帰るもよし。

<装備>
カム少々。割合ぬめるがラバーでもフェルトでも可能。

<快適登攀可能季節>
7月~9月。良く知らない山域だがこれ位の期間は快適そう。

<博物館など>
義仲館:木曽義仲の資料館。県民には火牛の計で御馴染み義仲公である。旗揚げまではこの地で育った。ここから北陸道進撃が始まったと思うと感慨深い。

尾上郷川 ワサビ谷






















 白山はでかい。そして白山の沢もまたでかい。尾上郷川は流域としては決して大きくないが集水面積は広く、岩質も火山岩、変成岩、堆積岩と豊富である。急峻な地形が多くないので滝を登ったりして楽しむ沢登りの対象が多くないのが実情ではあるが、自然に親しみのんびり過ごすのには良いエリアではないかと思う。安全で容易なアプローチの林道があるので登山を目的としない愛好家にもお勧めしたい山域である。では、滝を登ったりする対象としたときに面白いのはどこだろうかとなると、2箇所なんではないかと予想される。花崗岩と火山岩が分布しているカラス谷までの下流域と急峻で開析された別山付近である。一方、綺麗なナメがありそうなのは比較的新しい火山活動で硬い岩がありそうな大日ヶ岳~丸山の上流域ではないかと思っている。滝を登るにせよ、ナメを楽しむにせよ土砂の堆積量や植生との勝負なので行ってみないと分からないのが面白い。

 750m左岸支流であるワサビ谷は御母衣ダムのバックウォーターに閉ざされる期間が長いため、行きにくい谷である。滝登り楽しい系として気になっていたが、やはりその通り楽しい谷であった。下部の大滝を巻くと美しい森が広がる。ここはこの辺に多い白亜紀の花崗岩だが比較的安定しており、苔が美しいしっとり渓。時折現れる滝は不思議と二段滝が多く美的ポイントが高い。1100m付近からは白山ではおなじみの硬い火山岩となり、滝登りとナメが楽しめる。白山の火山岩は赤色と青色があるがここは赤系。上流の登り楽しいゾーンはロープを出さずに登れて爽快そのもの。上手く流水溝をついていけば濃密な笹薮は回避できる。日照岳には最近登山道が拓かれた。いつなくなるかわからない道はレアなので歩いた方がいい。植生が変化する面白い道で秋山の恵みもいただくことができた。眺望もいい尾根なので大切に歩かれてほしい道である。

 ワサビ谷は日帰り渓としては良質な谷でクライミングに心得があれば沢慣れしていない人でも存分に楽しめる。初心者に沢登りの楽しさを味わってもらうにはぴったり。秋限定なのでキノコや紅葉と併せてぜひどうぞ。

<アプローチ>
 尾上郷川の林道を歩いてワサビ谷出合手前まで歩く。出合まで歩くと下降しずらそうである。バックウォーターが少ない時期を選んで渡渉して取りつく。日照岳は登山道が拓かれていなかったが、2024年に開拓された。筆者らは新道を堪能したが、保谷を下降するのも一興。

<装備>
出だしの15m滝の右岸でロープを出したほかは出さなかった。スリングのみでOK。ヌメリがあるのでフェルトの方がいいかも

<快適登攀可能季節>
バックウォーターが無い時期。

<温泉>
大白川温泉:硫黄泉ーナトリウムー塩化物泉。洗い場は無いので石鹸をもって行こう。道の駅にも温泉が併設されているがこちらはあっさりとした泉質。

<博物館>
白川郷の古民家には生活の知恵が詰まっている。一度は行っておくと良いでしょう。世界遺産だし。自然に溶け込んで非常に理にかなった建物である。

2026年9月25日金曜日

海川 鉢沢








 海谷支流の沢は短く急な沢が多い。スケールは小さいけど岩壁に囲まれた海谷というロケーションの只中でのミニゴルジュと小滝登りは結構楽しい。鉢沢は登山体系に記載がある大きな滝があるということ、それ以外の情報を得ることは難しい。

 出合は渇水時には枯れてしまうほど貧弱だ。少し登ると水流は復活するので安心して進んでほしい。ゴルジュ状の二段瀑を超えると側壁は一層立ってきてのっぴきならない雰囲気となる。記載通り35mくらいの大滝が姿を現す。直登はできそうだが支点を取るのは苦労しそうだ。少し手前に絶妙な獣道が続いていたのでそれを利用して高巻いた。そこから先は水量が少ないものの美しい小滝が現れる。登るのに怖い滝もあるので油断せずロープを出したり無理せず巻いたりした方がよさそう。この沢は安山岩の岩のようである。海川上流の泥岩や砂岩と違って硬くホールドもあるので比較的登り易い。小滝ゾーンが終わるとボサっとした沢になるので、1273mの方に登った。開けた場所から観察すると左俣の最上部は岩壁に吸収されており阿弥陀山南峰へと続いている。後ろ髪を引かれつつ右俣へ下降した。右俣は地形図で何かありそうな雰囲気であったが、ゴルジュは土砂で埋まって困難は無かった。

 左俣を楽しいところまで登って右俣を下降するのであれば門戸が広い行程である。左俣を詰め上げて阿弥陀沢右俣を下降すると、総合力を要求される登山となるだろう。
 ところで、9月に海谷に行くとドロノキらしき綿毛の舞う光景で出会うことができる。本当に視界一面綿が待っており、自然の意外性と美しさに嘆息が漏れる。ドロノキは陽樹であるため、開けた海谷高地に多く自生できるのだろう。海谷はその地形的特性から二十四節気が正しく刻まれている気がする。そして海が近い山地であるため朝と夕にも別の顔を示す。登山をどうこう言わなくとも、そこにいるだけで価値を感じてしまう面白い山だ。

<アプローチ>
山峡パークに駐車し登山道を利用し取水堰堤まで。そこからほどなく阿弥陀沢が出合となり、次に鉢沢が出合う。左俣を登って右俣を下降するほか、左俣を最後まで詰めて岩壁沿いに登り、阿弥陀沢右俣を下降するという手もある。阿弥陀沢右俣はどうやら強烈なゴルジュっぽいので下降の時間は注意。

<装備>
カム、ピトン少々。フェルトでもラバーソールでも可ではないか。下部の大滝はクライミングシューズが有ったら安心して登れるはず。

<快適登攀可能季節>
7月~11月。虫が少なく快適な時期がよい。