立山の地図を広げて弥陀ヶ原を眺めてほしい。鬼ヶ城谷と妙壽谷の浸食具体に目を引くはず。弥陀ヶ原火山溶岩台地の浸食地形なのだから浸食されたゴルジュが面白いのは瞭然。ザクロ谷が称名川の子供だとすると、この2つの谷は水量が少ないので玄孫くらいのDNAを受け継いでいるといえよう。それに加えて下部は飛騨帯を含んで溶岩の懸崖があるのだから名渓の要素は揃っている。
入渓して直ぐに登れない小滝が現れるので右岸から小さく高巻く。出合からヤバい谷なのかと焦るが、以降は懸崖部までゴーロと美しい小滝が続き一安心。快調に進むともの凄い両門の滝が目の前に現れる。本流の女性的な流れの滝に対して、左支流の滝は魔羅の如く屹立しており男性的。妙壽谷の雌滝と雄滝と称すべき夫婦美瀑である。惜しむらくは水量の乏しい秋だったので勇壮さと耽美さをやや欠いていたこと。この滝を眺めに来るのであれば初夏がよいのだろう。なお、節理はないので登れる可能性は一切ない。雌滝を左岸ルンゼから高巻くが、下流の大谷にある下部大滝よりも易しい巻きで難しくは無い。懸垂下降なく降りると又しても大滝出現。この滝も容易に巻くことができる。
巻き終わるとスラブが200m以上続く信じられない地形が展開する。航空写真と地形図から傾斜が緩いスラブ滝だと予想していたが、これほど快適なスラブ滝が立山にあるとは。スラブ滝登りは難しくは無いのだが緊張感はそれなりに続くのが面白ポイントである。
これが終わるとポットホールとスラブだけの緑色ゴルジュが約1.5km続く。序盤は強烈なゴルジュで登れない滝が1箇所出てくる。その後ゴルジュは強弱を繰り返して続くが全て突破可能である。徐々に緩まって平坦なナメが出てくるとアルペンルートの七曲りが近い。藪っぽくなってきたら適宜脱渓するとすぐに登山道である。
妙壽谷は鬼ヶ城谷の飛騨帯&柱状節理ジオと双璧をなす名渓であった。夫婦大滝の存在だけでもこの谷を訪れる価値はあるが、スラブとゴルジュと変化に富んだ渓相が素晴らしい。常願寺川の右岸谷は、この妙壽谷、鬼ヶ城谷に加えて大谷と津之浦谷も魅力的である。そしてこれらは日帰りで登れるというのが嬉しいポイント。カラスギ谷や大迫戸谷といった骨太登山となる左岸支流よりもライトでエンジョイ指数が高いので県民の皆さんはぜひ遊んでみて欲しい。
<アプローチ>
妙壽谷は常願寺川630m右岸より合流する谷。その時々の状態に合わせていい感じで出合いまで行く。下山はアルペンルートの横にある登山道を利用するか弥陀ヶ原からバスで下山。
<装備>
筆者らはスリングのみで問題なく登れた。カムが多少あっても良いかも。上部ゴルジュは水水に結構漬かるのでウェットがあるといい。
<快適登攀可能季節>
8月~10月。南面で標高は低いが残雪が残りやすい地形のため積雪量による。
<温泉>
ホテル森の風立山、吉峰グリーンパーク
<博物館>
立山博物館:別館まんだら遊園の異空間を一度は味わってほしい。
カルデラ砂防博物館:いい。僕の好きな治水の恩人ヨハネスデレーケの展示もある。
<博物館>
立山博物館:別館まんだら遊園の異空間を一度は味わってほしい。
カルデラ砂防博物館:いい。僕の好きな治水の恩人ヨハネスデレーケの展示もある。