超ざっくり常念から焼岳の東側の地域は堆積岩主体である。この付加体の堆積岩一帯が崩れやすいのか沢登り的に興味がある地形が乏しいように見える。
島々谷川もその中に含まれている。古くから杣人に登り降りされているこの谷に未知は無いだろうし、沢登り的に面白いものもないかもしれない。とは言えちょっと気になるゴルジュ地形と訪れたことが無い山域を楽しみに一ノ沢へ。
登山道の雰囲気がいいので歩き始めから気分がいい。入渓して直ぐになるほど、チャートと固そうな砂岩の中に土砂と黒い泥岩が混じっている。土砂が多く水量が少ないので基本歩きなんだろうと推察される。ちょっと歩くとゴルジュ地形となってきてその奥に8mくらいの滝が架かる。登るのは難しそうなので巻いて降りる、小滝を登ると谷は開ける。チャートの固い地帯がゴルジュになっていたようだ。以後ながーい土砂歩きとなる。樹高が高く森が深いので気持ちが良いのでのんびりしたくなる。初めての山域は新鮮で土砂歩きでもいい感じだ。標高1600m付近で開けて15m滝が現れる。これは右の小流れルンゼから簡単に登り巻ける。小滝を幾つか挟んで二段30mの滝。これも滝の右側からやや気持ち悪い登りで直登できる。以後は再び土砂渓となり悪さは無く尾根に出る。至った尾根は美しい森でとても気持ちがいい。これまたのんびりしたくなるところ。期せずして稜線まで出てしまったが時間に余裕が欲しいところだ。下部でのんびりしすぎたので森を堪能するのは程々にして出シノ沢へ下降を開始。こちらはチャートが分布していないようで土砂だけの谷である。上部は急傾斜であるため懸垂を要するが下降しやすいほうではないだろうか。望まれる幕営地が無く大滝山を登ることができなかったのが悔やまれるが良い登山であった。
一ノ沢は沢登りとして決して一般的になるような沢ではないだろう。それなりに悪い個所があるものの冗長な感もあり、これを好む沢屋は珍しいと推察する。しかし地質図では穂高の東側でチャートが纏まってゴルジュを形成している稀有な沢であり、訪れる価値はある。また、三木(姉小路)秀綱の妻が捕縛されて亡くなった悲話の地ということもあり、戦国歴史好きにもお勧めしたい。ところで秀綱妻の芳名が知りたいが資料を調べても出てこない。日本の歴史では女性は名前がわからないことが普通ではある。しかし現代の感覚では心を寄せる際に名を呼びたくなるので少し寂しく感じる。時を経て価値が変容するというのも面白いことだ。
<アプローチ>
島々の有料駐車場に駐車して徳本峠へと続く林道から登山道を歩き一ノ沢へ。下山はどこからでも良いが出シノ沢を下降するのが近い。出シノ沢は上部で懸垂下降が続くが1670mの二俣以降はガレの続く下降が容易な沢となる。下降する沢を含めて幕営箇所適地は殆どない。特に上部に行ってしまうとゴルジュ地形で土砂が多いので絶望的となる。一ノ沢下部で泊まるか下降する沢で探しながら降りる。増水に耐えられる快適な箇所は乏しいので晴れている日を選びたい。
<装備>
カム小さいのとピトン少々。足回りはフェルトの方がいい。
<快適登攀可能季節>
6月~10月 標高が高いので寒いこともあるかも。雪は少ないのでシーズンは長そう。
<温泉>
竜島せせらぎの湯:小さいけれど落ち着く温泉。なぜか糸魚川市の海産物がお安く手に入る。
<温泉>
竜島せせらぎの湯:小さいけれど落ち着く温泉。なぜか糸魚川市の海産物がお安く手に入る。