2019年11月28日木曜日

前穂高岳東壁 北壁~Aフェース










生来の偏屈ぶりから人が多い場所へは足が向かない。富山市の代表的なショッピングモール、ファボーレは手で足りるほどしか行ったことしかないし、高岡イオンに至っては未だ訪れていない。前穂高岳東面はわんさか人がいる上高地へバスを使わないと行けなかったり、長々と林道を歩かないといけなかったり、きっと人が沢山いるのだろうと思っていたりと高岡イオンの如し存在であったのである。長年賑わっている場所、即ち魅力のある場所というのは自明の理。前穂高岳東壁はとてもいいところだった。

訪れたのは11月下旬だったので中畠新道を利用し奥又白池をベースとした。ここは大変雰囲気が良くライチョウの生息地でもある。概念把握に最適とされる北壁~Aフェースだが、奥又白池からの下降も含めたアプローチがやや難しい上、雪崩の危険が高いので積雪期は注意を払う必要があるだろう。クライミングの内容は程よく難しく程よく長い。北壁はどこから登るべきか迷う形状だが傾斜の強いチムニー(松高カミン)を目印にすると大体いい感じで登れる。クラシックのⅢ+はハードボイルドグレーディングなので油断ならない。Aフェースは右側から登ったがこれまた面白いクライミング。結構傾斜のあるフェースからちょっとしたスラブ、最後はチムニーから尾根へと抜け出してフィニッシュ。前穂高岳は目と鼻の先で実質の終了点なのが洒落ている。

前穂高岳東壁がこれだけ素晴らしいエリアだったことを踏まえると、高岡イオンや小矢部アウトレットも凄くいいところに違いない。昨今増床してさらに高難度エリアと化したのでもう少し鍛錬してから訪れることとしよう。となると次はCBAフェースとか北条・新村かな。

<アプローチ>
雪がない時期や少ない時期は中畠新道を利用できる。11月~12月上旬は利用できそう。その時は奥又白池がベースとなる。積雪が不安定な時期は北尾根Ⅲ・Ⅳ峰のコルなどから下降して取り付くのが無難だと思う。北壁へはC沢からB沢へ尾根を乗越すのが一般的だろう。乗越せる場所は限られるので割合分かり易いはず。前穂高から奥又白へ下降するのが少々わかりずらい。明神側の尾根を岳沢側を巻きながら降り、下降可能なコルからルンぜを一旦標高差200mくらいだったかな?下降して尾根を再び乗越し奥又白へ通じるルンぜを下降する。この下降ルンぜも雪崩のリスクが高いので、下からのアプローチだけではなく山頂からの下降も見越した積雪状態判断が必要となる。

<装備>
カム一式、トライカム少々、ナッツなど。支点が特別取りにくい訳ではないが、ジャンジャンとれるわけでもない。

<快適登攀可能季節>
通年楽しく登れると思う。初冬は標高差がある登山道を利用して壁が登れるとあって冬山の体慣らしに最適だと思う。

<博物館など>
穂高岳周辺の地質は原山智・山本明著『「槍・穂高」名峰誕生のミステリー』に詳しい。ぱっと見、前穂東壁は花崗岩ではなさそうなのだが果たして。

<温泉>
坂巻温泉、平湯温泉