2026年2月2日月曜日

大木場ノ辻 東尾根1958m峰北東稜 (西尾地沢中央稜)

 












 錫杖岳の岩場はそれはもう有名であるが、ほとんどの登山者は前衛フェースか北東壁しか訪れない。しかし中央稜や北尾根岩稜も登山的視点で岩場を捉えると面白いものである。さらに視点を広げるとクリヤ谷右岸の支沢に岩場が展開しているという解釈もできる。
 西尾地沢の中央稜ともいえる大木場ノ辻東尾根1958m峰北東稜はキノコ雪とピナクルを林立させる異様な尾根である。地形図の等高線表現と実物がこれほど違って見える尾根も珍しい。遠目からはブッシュがあり登れるようにも見えるし岩塔となっている箇所は登れないようにも見える。こういう尾根は結果はどうあれ面白い登山ができるのだ。

 尾根末端からもの凄い傾斜でアックスを使いながらのラッセル。キノコ雪はスコップで崩すのが早い。藪というより灌木が繁茂しているので邪魔になりがちである。沢から目立つピナクルは一見どでかく見えるけども上手いこと躱すことができる。序盤はリッジ状を登ったりトラバースしたりしながら登るが思ったよりも順調に進める。左右のルンゼが近く見えるので圧迫感に乏しいのがちょっと寂しい。1700m付近のピナクルは少し左から稜上へと登るか、左から大きく巻いてルンゼから上部へ繋ぐかの二通りの方法がある。当然ストロングな稜上を目指すが岩は脆いか摂理ゼロのスラブで見た目よりも難しく危ない。草付きも殆ど無いので緊張感がある。この尾根の岩塔はどこも同じ様相なのでブッシュが途切れていると殆ど登れないものと認識しておいた方がよいだろう。1750m付近から終盤の核心に入る。更にピナクル帯が出てくるがこれは稜上を登れず一旦懸垂して左へトラバースして活路を探索する。しかし、どこのルンゼを詰めても結局ヤバいピナクルの根本にたどり着いてしまいそう。終盤のリッジの所要時間を考慮すると時間が足りなくなくなることは明白。さらにエスケープするルンゼは昇温すると明らかに危険だったので引き際を早めに判断する。

 前衛壁のスマートなクライミングとはかけ離れた泥くさクライミング登山である。潅木が豊富なくせに謎に困難度は高い。オンサイトで登りきるには二泊三日必要なのではないだろうか。雪の状態によっても印象は大きく変わるだろう。比較的敗退は容易なので何かにつけて遊ぶ尾根として使える気がする。

<アプローチ>
西尾地沢出合からラッセルして直ぐに出合う尾根である。凄い傾斜でピナクルが目立つので間違うことはない。西尾地沢は雪崩リスクがかなり高い沢であり、尾根向かって左の沢からは大きな雪崩が出ていることもある。尾根末端から岩になっているので積雪で埋まっていないと取りつけない。中盤まではピナクルの前後に時々整地すれば快適な幕営点が得られる。下降は左右どちらのルンゼも降りられるが右側の谷の方が傾斜は緩い。尾根の標高次第でどちらかのルンゼが近くなっているのでエスケープは比較的容易。どこでも懸垂を2回くらいすればルンゼに降りられるだろう。

<装備>
ピトン各種、カム少々、トライカム少々。藪が生えていないと登れない岩なのでカムを置いていくという選択肢もあり。敗退する場合でも潅木が豊富なためロープは一本でよいと思う。

<快適登攀可能季節>
1月~3月。新雪ふかふかだと登れないし、雪が少なすぎても登れない。しっかり積雪が有って雪が落ちついているタイミング。2月中旬がベストかもしれない。

<温泉>
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。