2017年10月11日水曜日

鉾ヶ岳 島道川 丁字滝沢















山登りをするとき、その山域・地域と親密になりたいと常々思っている。初めての山塊を訪れる際、最難とされている場所や綺麗と評判の場所へ入山する場合が多いとだろう。しかしそれだけで終わってしまうのは寂しい。山とも一度限りの関係ではなく末永くお付き合いしたいものである。筆者の場合、お隣の沢や尾根はどうなっているのか、違いがあるとすれば何が原因なのか、その自然に対して人は何を感じているのか。みたいな事が気になってきて、その地域の郷土史を図書館で調べたり、下山後に聞き込み調査をする。するとその場所に愛着が芽生え、故郷のような気がしてくるのである。郷愁に浸れる場所は多いほど豊かな気持ちになるはずだ。この活動を全日本故郷化計画と命名し誓願成就にむけ日々精進している。

鉾ヶ岳の沢といえば島道川滝ノ内沢が一番星だ。中部地域でも屈指の内容を誇る登攀沢だと思っている。では島道川のほかの沢は、というと訪れた話は殆ど聞かない。丁字滝沢は島道鉱泉から程近い沢で標高230mで温泉マークの無い方の沢である。この沢は能生町史では御宮内沢と記載されているが、本稿では登山大系で用いられている丁字滝沢を呼称とさせて頂く。地形図では上部の傾斜が非常に強く興味がそそられる沢だ。入渓後、堰堤を越えて最初に現われるのは美しい四連瀑だ。直登は難しいと判断し右岸から一気に巻き上がった。そこからは渋い小滝と10~20mクラスの滝が現われる。滝の部分は岩は概ね安定している。難しすぎないフリー登攀が続くので楽しめる区間だ。登山道が横切ると土砂の流出が多くなり水量は少なくなる。そのため上部はゴルジュ地形となるものの大きな困難は無い。しかしここも渋い小滝は続くので油断しないようにしたい。最上部はスラブ状を呈してくるので慎重に登ろう。藪漕ぎは10分程度で登山道へ抜ける。北陸周辺では珍しい日帰りで楽しい登攀沢だ。水量も少ないので、条件に左右される事は少ないだろう。足並みの揃ったパーティーならば充実の1日が過せるおすすめの沢である。

先の全日本故郷化計画の進捗は思わしくなく、未だ北陸圏を脱していない。これは私の不徳のいたす所であるが、先立つ資金が無いのも一因かもしれない。勧進は口座振込み、普通為替、現金書留、その他有価証券のほかビットコインでも受け付けております。ご希望の方はご連絡くださいませ。誓願成就の暁には最高級のスマイルをお届けに参ります。

<アプローチ>
入浴客の邪魔にならないよう島道鉱泉の手前の広場に駐車しよう。幕営適地は無いので、足並みの揃ったパーティーで颯爽と日帰りで登りたい。下山は登山道を利用するのが楽である。朝方に富山から国道8号線で大体2時間30分で能生に着くと思う。時間を優先したい方は北陸道を利用すると良い。

<装備>
カム一式。ピトン各種、クライミングシューズは無くても何とかなる。念のため鐙。お守りとしてボルトキットもあったほうが良いのかな。

<快適登攀可能季節>
8月中旬~10月上旬。残雪が無くなってからが楽しいと思う。

<温泉>
島道鉱泉:入山口にある鄙びた温泉。鉱泉だが近くから採取される天然ガスで加温している。一応入浴は17:00までとなっている。500円也

大平やすらぎ館:ゴルフ場に併設されている温泉。泉質は島道鉱泉と異なる。400円也。日帰り入浴は18:30までなので残業の場合は注意である。

<博物館など>
フォッサマグナミュージアム:地学系の博物館で興味深い展示に見入ってしまう。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。

糸魚川市民図書館:糸魚川市、能生町の郷土史は重厚な作りで読み応えが有る。青海町の郷土史は発刊は古いがシニカルな語り口が面白い。ジオパーク関連資料も豊富で嬉しい。なお、能生町、青海町にも分館があるのでそちらでも資料は閲覧可能である。

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