2019年7月17日水曜日

犀川 倉谷川














犀川上流は山深い印象があるエリアである。二又川と倉谷川という長大な沢を抱えているものの、入下山に少々難が有るためか登山者や釣り人は少ないようだ。倉谷川は登山大系で白山でも屈指の名渓と称えられている。地形図を眺めてもその片鱗は想像し難いのだが、訪れてみれば正にその通り。白山らしさを随所に感じることができる素晴らしい谷であった。

水量豊富な序盤に現われる多段の滝からが本番である。スラブの発達したゴルジュと滝が続く。この多段の滝は水量が少なければ左岸を水際をトラバースできるだろう。少々水量が多めだったので我々は左岸から右支流へと高巻いた。次に2つ続くスラブ滝も弱点に乏しい。1つ目は気合を入れれば滝の右を登れそうであったが、無難に右岸からスラブをトラバースした。ここのスラブが濡れているとやや悪く感じるかもしれない。一端沢が開けてから再び始まるゴルジュ帯は突破系。どれも簡単すぎず易しすぎない小滝が続く。美しい廊下を舐めるように堪能ところだ。10m前後の滝が現われ始めると登攀系になる。これも同じく簡単すぎず易しすぎない。概ね快適に直登することが可能だが、巻くにしても特に難しさはないだろう。筆者らは大門山を目指して登山大系に記載の無い左俣を登ったが、こちらも美しい渓相と小滝がいくつか現われて最後まで十分に楽しむことができた。

序盤の赤みを帯びたスラブゴルジュ、ぬらりとした流紋岩系のゴルジュ、節理のある滝群と白山らしい渓相が一度に堪能できる名谷である。この長さでも中弛みを感じさせる事は無い。足並みが揃ったパーティーならば、小矢部川から山越え入山することで一泊二日での山行も可能だ。この計画ならば、小矢部川との地質構造の違いを感じられるのも嬉しい(瑪瑙みたいな石が沢山あるよ!)。総合的に考えて白山の沢入門として最適ではないだろうか。

<アプローチ>
下山の便を考えると、犀川ダムから入山するよりも刀利ダムから山越えをして入山する方が良いように思う。刀利ダムから小矢部川上流部へ車で入り、標高375mの橋がある場所に駐車する。ここは瀬戸の長瀞の入山口でもある。そこから、小矢部川本流ではない沢(沢の名前は未確認)の林道を歩いたのち、沢を登り赤堂山の南北いずれかのコルから倉谷川へ下降する。この入山方法であれば、ブナオ峠から県道54号線を使って車へ戻る事が可能だ。ただし、県道54号線は荒廃しているので藪漕ぎのつもりで臨む必要が有る。安全な幕営場所はゴルジュが発達しているので限られる。そこそこの場所なら随所にあるので、好天が約束されている場合はゴリゴリ進んでも問題ないと思う。最も安全な場所としては標高631m上流の川原である。

<装備>
トライカム少々、ピトン少々。

<快適登攀可能季節>
7月初旬~中旬、9月~11月 早い時期だと残雪が残っているはず。ゴルジュ内に残っていた場合は処理に難儀するだろう。7月末から8月末まではオロロが発生するので避けた方が良い。岩魚のコンディションも合わせて考えると7月中旬が最も良いのかもしれない。

<博物館など>
縄ヶ池:五月連休あたりに水芭蕉が満開になる。駐車場から砺波平野の散居村を一望できるのも魅力。5月ならば田植えの時期、水田の水面に反射する夕日を眺めたい。10月ならば実りの時期、赤く染まった揺れる稲穂を堪能したい。

福光美術館:福光は棟方志功が6年ほど疎開していた土地である。そのため作品が多くの作品が残されている。企画展も渋く見逃せない。別館の愛染苑も訪れたい場所である。厠にまで絵を描く棟方志功の自由な人柄が感じられる家だ。

南砺バットミュージアム:日本プロ野球の往年の名選手のバットが触れる。メジャーリーガーのバットもある。タイカッブとベーブルースが使用したバットを触って大興奮!親父さんも気さくで良い時間を過せる。

井波彫刻総合会館:井波彫刻は県外にそれほど認知されていないように思う。豪快かつ繊細な技術に感動する。瑞泉寺も行っておこう。

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