白馬岳から蓮華岳までの後立山東面は一般的な楽しい沢登りは期待できない。それはこの山で激しい噴火があり、その後傾動を伴った急激な造山運動が働いたためなのだろうか。東面のため氷河の発達が顕著だったことも見逃せない。この「沢登り面白くないかも」エリアは長栂山北東稜線で区切られている気がするので、今後調査を続けたいところである。
さて乗鞍沢だが、これも特段盛り上がる場所があるわけではなく淡々とした沢である。中盤の開放感抜群の渓相はなかなか気持ちが良い。上部はわかりにくい地形になるが、一番傾斜の強い沢に入ったら大きな滝があった。これを登るとなると苦労するはず。ひとり沢登りだったので大人しく高巻いた。その後は泥付きと草付きと這い松漕ぎで山上の別天地白馬大池に至る。白馬大池は乗鞍や御嶽であるような溶岩ブロック石がゴロゴロしていて火山活動を物語っている。溶岩の質が似ているとこのようになるのだろうか。
あっという間に終わってしまう沢で、日帰りで遊ぶにしても何だか勿体無い。思い切って白馬岳への登路として捉えてはどうだろうか。或いは天狗原、栂池での自然観察と抱き合わせ計画が面白い。筆者はこの沢を白馬岳への登路として利用し、白馬頂上宿舎のテント場を利用したのだが、そこのテント止め石が余りに比重が大きいのでびっくりした。頂上山荘(山頂に近い方)からテント場までの岩を観察すると蛇紋岩が多い。白馬八方の塩基性温泉は蛇紋岩由来とされているが、こんな所で出会うとは。プレートが押し上げた岩だと感慨に耽れば良い夢が見られる、かもしれない。
<アプローチ>
蓮華温泉登山口へ駐車して橋から入渓。登山道を利用して下山すると楽。
<装備>
特に何もいらない
<快適登攀可能季節>
7月~9月
<温泉>
蓮華温泉:4つの野天風呂のほか内湯もある。野天風呂はお客さんがいると順番待ちになり入れない
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