2020年1月15日水曜日

明神岳2263m峰 西壁大洞穴左












西壁S字ルンゼのゴルジュに入ると右側にスラブ凹角がなかなかのスケールで広がっている。その上部を観察すると立派な洞穴が見える。この凹角から取り付いてあとは適当に登るというのが、西壁第二フェースの粋な冬壁スタイル。洞穴手前から右へ行っても草付きブッ差しクライミングが楽しいし、洞穴左を直上して左面(S字ルンゼ側)を登れば草付きと岩のミックス壁、洞穴左を直上後に右に入ると大ハングを持つ威圧的な岩場がある。いずれのルートも洞穴までは大体同じライン取りになると思う。上部の派生ラインを登りこみたくても出だしから2P目となる脆くて支点が取りにくい岩場が非常に嫌らしいので、「忘れたころ」に上部の派生ラインを登ろうという気分になる。

洞穴左の弱点を突いていった場合、小リッジをトラバースして草付きの窪みを辿る。そののち、灌木が疎らに生えた岩場を登り尾根へトップアウトする。洞穴以降は明神にしては比較的支点が取り易い。

下降の難しさも明神の魅力。S字ルンゼを下降するか、同ライン中に目星をつけた藪で懸垂するかの判断が肝要。加えてS字ルンゼは雪崩頻発ルンゼなので天候判断も重要となる。錫杖前衛フェースとは違った、登山している感を深く味わえるよき岩場なり。

<アプローチ>
S字ルンゼの入り口は樹林帯の何でもない所で非常にわかりにくい。初めての場合、遠目で眺めて取り付くとよいと思う。下降はS字ルンゼのコルまで行くか、同ルート下降。同ルート下降の場合ロープは60mでないと難しくなる。

<装備>
イボ数本、ピトン薄刃~ロストアローサイズ。カムはあまり有効でないが0.2~1.0は使える場所がある。潅木で支点を取るのでスリングは多目に。

<快適登攀可能季節>
12月~3月上旬くらいか。西面は南面、東面と比べると遅くまで楽しめそう。

<博物館など>
福地温泉で日本最古の化石が発見されている。年代は古生代オルドビス期~デボン紀。即ち5億年~3億6000年前である。残念ながら冬期登攀後は観察できない。

<温泉>
坂巻温泉、平湯温泉

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