白山は大きな山群でどこの沢を登っても違った味わいがあり楽しい。そこを敢えて大きな括りで捉えてどこの地域が面白いかと問われれば、三方岩岳以北の山と答える。ここは地形図で面白そうな場所はどこも外れが無い。尾添川上流の雄谷は中流域にゴルジュ帯を有しながら上部では千丈平と清水平という平原が展開する変わった地形をしている。東西どこも急峻な地形が多い地域なのに何故ここだけ?という疑問が生じたら行かねばなるまい。
ゴルジュ帯でいきなり面食らった。大長谷や利賀で見られる飛騨帯の結晶質石灰岩が大スケールでゴルジュを形成していたのだ。片麻岩の横縞模様に入り込む結晶質石灰岩の美しさはうっとりしてしまう。愛着のある見慣れた岩で大ゴルジュができていることの嬉しさも相まって最高である。これだけでも、富山県民は訪れる価値があると断言できる。いや、飛騨帯片麻岩では最大のゴルジュなはずだから、全国民が訪れる価値があると明言しよう(でも小声です)。ゴルジュ帯は難しさはそれほどではないものの、登ることが困難な滝が幾つかあり、これを巻くとなるとライン取りには注意がいる。黒滝までがこの沢の全体としてのポイントとなるだろう。
筆者らは水晶谷を登りシンノ又を下降した。水晶谷は水晶滝の上部に注意を要するほかは容易である。それでも、突然礫岩ボルダーが現れ始めて側壁も礫化したり、流紋岩質と思われる美しいスラブナメが現れたり変化に富んでいて面白い。意外だったのは伏流し始めるのが早いこと。これは急峻な地形から突然平へと変化することと地質的なイベントが発生していそうなのだが、それを推し量るだけの知識がないのが残念であった。少々の藪漕ぎでシンノ又へ入ったが、こちらの上部から1250mの30m大滝まではスラブの発達した実に美しい谷である。スラブ状が続いて下降には少し気を払ったが楽しめる程度である。大滝以降は水晶谷と似た谷となった。
一泊二日での周遊ではこの山域の魅力は掴み切れないように感じた。境川、瀬波川、直海谷川くらいを股にかけて山行を組めばかなり面白いかもしれない。どれも下部から面白いので横断や往復びんたスタイルがいいだろう。例えば雄谷水晶谷~フカバラ谷下降~大畠谷遡行~瀬波川右俣(チョーゲージ谷)下降~瀬波川マサギ谷~ヨキノエ谷下降なんかどうだろう。これは一週間あれば十分できるだろう。もう少し癒し要素を押し出すのならば犀川倉谷川や二又川と直海谷川を組み合わせればしっとり系となるはず。とまれ、この山域でまだまだ遊びまっせ。
<アプローチ>
雄谷の第二発電所へ向かう林道を利用して林道終点に駐車する。ただし、林道の路面はものすごく凸凹で車高のかなり高い四駆車でないと終点までは入れない。筆者らはかなり手前に停めて歩いた。林道終点からは取水堰堤発電所へ向かう登山道を利用させてもらう。取水堰堤発電所まではとても歩きやすい。取水堰堤発電所から遡行を開始となる。この取水堰堤より上流は右岸側へ管理道が黒滝上部まで続いている。黒滝上の沢横断点は壊れた橋脚が目印となるし、赤テープが振ってあるので分かり易い。下山時にはこの登山道を利用すると簡単に下山できる。ただし、日当たりのよい箇所は草が生い茂っているところがあり、やや分かり難い(十分わかるレベルであるが)。この道は登山者、釣り人、電力会社関係者などの一定の利用者がいるようである。電力会社によって管理されていると推測するが、大雨の後などで使える前提とした計画を組むのはちょっと怖い。
<装備>
岩のギアは殆ど出番がないが、念のためパッシブプロテクション適宜とピトンくらい。
<快適登攀可能季節>
8月~10月。オロロが酷い地域なので注意。
<温泉>
比咩の湯:道の駅瀬女の向かいに2018年新しくできていた温泉。入っていないけどとてもきれいで良さそう。500円らしい。
<温泉>
比咩の湯:道の駅瀬女の向かいに2018年新しくできていた温泉。入っていないけどとてもきれいで良さそう。500円らしい。
<博物館など>
ハニベ岩窟院:日本唯一の洞窟美術館。知る人ぞ知る日本最高クラスの珍スポット。おどろおどろしい鬼気迫る作品に圧倒される。男女で行くと水子供養かと聞かれるのでそのつもりで突入しよう。
石川県立ふれあい昆虫館:標本の数はまずまず。なにより生きた昆虫を間近に観察できる。蝶の放し飼いされた温室は凄い。皇太子ご夫妻もこの昆虫館を訪れている。雅子妃が温室に入った際、雅子妃の頭に蝶がとまったシーンは何度もテレビ放送された。
ハニベ岩窟院:日本唯一の洞窟美術館。知る人ぞ知る日本最高クラスの珍スポット。おどろおどろしい鬼気迫る作品に圧倒される。男女で行くと水子供養かと聞かれるのでそのつもりで突入しよう。
石川県立ふれあい昆虫館:標本の数はまずまず。なにより生きた昆虫を間近に観察できる。蝶の放し飼いされた温室は凄い。皇太子ご夫妻もこの昆虫館を訪れている。雅子妃が温室に入った際、雅子妃の頭に蝶がとまったシーンは何度もテレビ放送された。
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