2023年7月24日月曜日

日野川 大河内川前谷支流源平谷

 











登れる小滝が続くというのは沢登り愛好家が最も惹かれる内容ではなかろうか。大河内川の源平谷はまさしく登れる小滝がじゃんじゃん続き、その最後は眺めの良い山頂へと至る。沢屋にとって完璧な沢である。

出合からいきなり滝になっている。ここからノーロープで登れる小滝が続く。やがて一旦緩むが670m付近からは再び連瀑。一見のぼれそうにないすらりとした直瀑は滝左をカムを使ったフリークライミングで楽しい。小滝を挟んで現れる4連瀑は3段目を如何に登るかがポイントとなる。雪国らしいプロテクションワークを活用すれば割合安心して登ることができる。更に続く20m2段滝は難しくはないもののヌメリがきつく少し支点が取りづらいので緊張する。以後も最後まで小滝が連続するが、部分的に侮れない所も有り油断ならない。山頂は通称ロボットピークという奇抜さ。完璧である。下山は折角なので大河内川方面へ下降することを推したい。登山道が無い山は谷を繋いで楽しみたい。比較的下降し易い谷だが懸垂下降を含み時間がかかるので注意。

あれ、そういえばロボットってどういう意味だっけ。アンドロイドとロボットって何が違うのだ?

<アプローチ>
広野ダムから日野川上流へと向かう林道へと車を走らせる。林道途中に取水堰堤があり、そこから先はダートとなる。道が悪く転回も難しいので無理せず早めに駐車が吉。日野川400m地点左岸より流入するのが前谷である。前谷500m付近右岸より流入するのが源平谷である。これを詰めると1290mの通称ロボットピークである。少し藪が低く眺めは大変良い。下降はロボット尾根という北西稜も下降できるようだが、筆者らは大河内川長トコ谷を下降した。長トコ谷は総じて下降しやすいものの懸垂下降は複数回行う必要がある。長トコ谷中で大きな滝がある地点は両岸切り立っているので、大高巻きをするより滝の近くを早めに懸垂して川床へ降りた方がいいと思う。

<装備>
カム少々、草を束ねてプロテクションにするので長いスリングを多めに持って行くといい。磨かれているがヌメリもあるのでフェルト推奨。

<快適登攀可能季節>
6月~10月。標高は低いし長期間たのしめるのではないかと思う。

日野川 大河内川前谷支流スギ谷












登山道がある山はよい。登山道の無い山はもっとよい。奥美濃は道路のアプローチが良いにも関わらず、国境稜線に道が無い山が多い。そんな山に突き上げる谷は地形図で魅力的に示されており、事実大いに沢登りが楽しめるのである。

スギ谷は前谷の中でも易しい沢であるが、美濃俣丸へ直接登ることができる。前谷に入り、胸までつかる小滝を登り少し歩くと入り口である。出合いからいきなり見所核心でゴルジュ状に小滝が連続する。ところで、奥美濃といえば付加体の山である。この地域は砂岩&泥岩の変成岩というのだが、水に磨かれてつやつやした見た目は火山溶岩や火砕流と一見して違いが読み取れない。珪質成分が豊富な砂岩が変成したのであろうか。泥岩の方も海谷のそれとは全然違っている。なぜこのような違いが生じるのか、そもそも本当に付加体なのだろうか。思いを巡らせる時。やはり全国の山に登るのは楽しい。谷の傾斜が一旦緩むところは水の流れが広がりサワグルミの森が広がる。夏の日差しは葉を通りやわらかになる。その光は玲瓏で希望に満ちている気がする。しみじみ山登りをやっていてよかったなぁと思う瞬間だ。あとは淡々と標高を上げて美濃俣丸へ。山頂の藪は薄くなっており眺望のよい山。日差しは強いが乾いた風が吹き抜け気持ちがいい。下山も登山道は無いのでどこかの沢を下降することになる。美濃俣丸から金ヶ丸谷へと下降して継続しても面白い。

<アプローチ>
広野ダムから日野川上流へと向かう林道へと車を走らせる。林道途中に取水堰堤があり、そこから先はダートとなる。道が悪く転回も難しいので無理せず早めに駐車が吉。日野川400m地点左岸より流入するのが前谷である。前谷480m付近左岸より流入するのが杉谷である。美濃俣丸登頂後は鈴谷川美濃俣谷を下降する。美濃俣谷は下降しやすい谷で楽勝。

<装備>
下降用に念のためロープ。磨かれているがヌメリもあるのでフェルト推奨。

<快適登攀可能季節>
6月~10月。標高は低いし長期間たのしめるのではないかと思う。