錫杖岳の中でも中央稜はあんまり人気が無い。前衛フェースからアプローチするとP2左の凹角が余りに顕著で面白そうなラインなのでそちらに吸い込まれていくので、牧南沢側へ入ることは少ないのだ。しかし、牧南沢側にもしっかりと岩場はあるし、錫杖でも最大級の氷柱一角獣もある。
P3正面壁は登山大系に記載されているものの、行ってみると概念がよく理解できない。どの壁に行ってもそうなので、筆者の空間把握能力が乏しいのだと思う。幾何は得意ではないし、道路は全然覚えられない。それでも何とか登山が楽しめるのは地図とコンパスがあるから。実に有難いことである。閑話休題。浅い凹角に雨後特有の薄いベルグラがびっしり張っていて面白そうなのでそこから取り付いた。草付きはズルズルだし、ベルグラが張っていてホールドは埋まっている。錫杖では珍しいスラブで、当日のコンディションも相まってとても面白いラインであった。弱点を探して草付きを少し登り左へ入ると、どでかい凹角に合流する。凹角に入ると岩が脆くて中々危ない。フェース面や浅いクラックから支点が取れないのでコーナーへ逃げざるを得ない。ビレイポイントが落石フォールラインに被るので特段の注意が必要だ。上部がハングしているので雨雪が当たらないため、この大凹角は大体乾いているのだと思う。とはいえ、当日は気温が高すぎて凹角コーナーの岩もボロボロ、草付きは田起こし状態。P3山頂は次回の楽しみとした。
中央稜は前衛壁よりちょっぴり遠くて、岩が不安定なので人気が無いのかもしれない。それでも、クライミングはすごく面白い。富山から近くていい山を遊びつくそう。
<アプローチ>
北沢を横断して尾根末端の岩壁を回り込む。尾根末端からダケカンバの大木が立っている浅い凹角から登り始めてもいいし、もう少し牧南沢を登りとても大きなルンゼから登り始めてもいい。どちらもP3の頂上へと向かう事が出来る。雪が安定している場合、P3山頂からはP2とのコルへ降りて牧南沢側を下降すると早い。
<装備>
カム一式(0.2~3まで2セットあると安心)、凍ったクラック用にトライカム、ピトン各種
<快適登攀可能季節>
12月~2月。岩が脆く日当たりもいいので寒いタイミングがいい。
<温泉>
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿