富山県民にとって頸城の山といえば海谷渓谷や早川流域、それに鉾ヶ岳山塊といった北側の山が身近な存在。小谷村の南側は少し回り込む経路となるため何となく遠く感じてしまう。況や東側の妙高となれば異国である。
小谷村中谷川上流の渓谷は粒ぞろいでよろしい。浅海川のゴルジュ造形美、横沢のナメと大滝連続コンボ、どちらも素晴らしかった。では、中谷川の本流とも呼ぶべき大倉沢はどうだろうか。
黒沢出合いまでは緩やかな川原を淡々と歩くだけである。そこからV字状渓谷となっていく。黒々としたボロイ岩は正に海谷上流と同じ。加えて水の濁り具合、ちょっぴり苦い味も同じ。住み慣れた地獄はほっとする。周囲の光景がイカツイいうえ屈曲点が多数ある。角を曲がる度にくるのか・・と身構えるが全然来ない。快適に小滝を登るうちにゴルジュ帯を終了していた。以後も淡々と進み、1930mの二俣を左に入ると急なルンゼ状となる。ここから高差50mくらいがこの谷の核心である。下部が容易なだけに油断せずに登りたい。最後は竹のようになった笹の密生を漕ぎ分けて登山道のある稜線にやっとこさ出る。
頸城の沢の雰囲気は漂っているのだけれども遡行は比較的容易といえる。取り付きにくい印象のある山域の中で日帰りで丁度いい遡行距離で、金山に登ることもできる。at 頸城沢登り入門にいかがだろうか。
<アプローチ>
小谷温泉の雨飾山登山道入り口に駐車して任意の場所から入渓。下降は登山道を利用してもいいが、アップダウンが多い。茂倉峰からの右岸支流や黒沢を下降すると合理的である。筆者は黒沢を下降したが、最後に大滝がある以外割合下降し易かった。
<装備>
沢慣れしていれば懸垂用のロープのみでOK。フェルトの方がいい。
<快適登攀可能季節>
8月~10月。残雪が多い時期だと不安定な雪渓が残る。やはり秋がよいだろう。
<温泉>
小谷温泉:雨飾荘、山田屋温泉旅館など複数あるが日帰り温泉終了が早いので要注意
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