2015年10月27日火曜日

洞谷奥壁 大氷柱~チムニー
















平湯から富山へ帰る途中、酒屋ゴリラ正面にパタゴニアを思わせる岩峰が林立しているのが見える。そして目を凝らしてみると青白い氷が掛かっているのが分かる。洞谷大氷柱だ。

 洞谷へと至る林道から複数の堰堤を越えて幾度も渡渉をするちょっと面倒なアプローチをこなすといつも眺めていた岩峰が目の前に現れて感動するだろう。しかし大氷柱は陰になっている。最も顕著に屹立するペイニス岩の隙間に垂れる氷柱を登ると、ペイニス岩のヘッドウォールにぶち当たる。ここは正面のチムニーを登るのが自然だ。このチムニーは序盤は快適なフッキングやジャミングが可能なクラッククライミングだが、上部はルーフに押さえつけられたスクイズチムニーとなり非常に苦しい。フットホールド、フッキングポイントが無い中ハングを越えるのでリアルなワイドクラック技術が求められる。夏に登っても5.9~5.10aくらいあるのではないだろうか。筆者らが訪れた際にはチムニー内には薄氷が張っていてフリクションが低下し、しかも幅が狭くなった状態でさらに悪くなっていてトップアウトするのが精いっぱいであった。そこから雪を被ったリッジを辿れば山頂へと至る。
 4ピッチの中で氷、岩、雪すべての要素をこれほどまでの難易度で備えたルートは稀有で素晴らしいラインだ。しかも雪崩のリスク判断とコンディションを捉える登山力も要求される。周囲の岩は錫杖岳と同じ流紋岩質で非常に硬い。大氷柱以外のラインも取れるだろう。だが、節理に乏しいので登るラインは慎重に選んだ方がよい。短いながらも難度の高いミックスクライミングもできるはずだ。

<アプローチ>
堰堤の林道を車で上がり広場に駐車。林道を少し歩き、洞谷本谷に降りる。本谷は雪の量次第で歩きやすさが大きく変わる。雪が少なければ渡渉する場合も有る。谷筋でアバランチパスをアプローチとするので入山には注意を要する。

槍見まで富山大学からおよそ1時間50分。

<装備>
ひん曲がったアックスと縦爪のアイゼンが有効。岩のギア一式とアイススクリュー8本くらいあれば十分。キャメロットは##0.3~5.0までをワンセット、#0.75~#2までをもうワンセットあると安心。意外にも残置が所々にある。

<快適登攀可能季節>
1月~2月上旬。東南面なので晴れた日に登らない方が良い。高曇りの日を狙おう。

<温泉>
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。

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