2015年11月23日月曜日

高原川 赤谷















かつては暴れ川だった神通川も今は富山市内を撫愛するように流れている。その一大支流である高原川には温かみの有る渓が多い。ひとたび谷に入れば子宮に回帰し羊水に満たされるような気持ちになるはずだ。真緑の苔とスラブがおりなす景色はさながら日本庭園である。苔が美しいのは水量が安定していることを示している。高原川は65万年前貝塩給源火道と呼ばれる火口から噴出した火砕流堆積物で構成されている。この火砕流溶岩は流紋岩質で軽石や火山灰を含み流動性の高いものであった。そのためそれまでの凹凸は埋められてしまうそうだ。水源の稜線が台地状になっているのもそのためだろう。その台地に気候がマッチし広葉樹林帯を形成し保水力が生じているのだろうか。自然への興味は尽きることがない。

遡行は1150m二俣までは突破可能なゴルジュ帯が続く。二俣は左も右も秀麗な大滝を掛ける。二俣ベースでどちらかを遡行し、他方を下降する周遊が楽しい。りょうせんまで最も合理的に上がる左俣の左を詰めあがればスラブ状大滝や平坦地の美しいナメが現れる。炭焼き小屋遺産も観察できるので、こちらも大変興味深い遡行となる。

<アプローチ>
国道沿いの駐車スペースに駐車する。本流を渡渉し入渓。春先は水量が多いと渡渉が厳しい。左俣の左を遡行後にオソブ谷を下降する場合にはヤブコギをしてでも岩壁マーク部分を避けた方がいい。ここは溶結凝灰岩の垂直以上の60~70mの岩壁帯であり、さらにその下はスラブ状の谷となっているので下降は非常に困難となる。1319m地点へと下降する谷は驚くほど平和な谷である。溶岩が流れた境目が明確で興味深い

<装備>
小滝が連続するので沢慣れしたパーティーならば少々のパッシブプロテクションだけで十分だと思う。でかい滝は比較的容易に巻ける。二俣から先はスラブで行き詰らないように注意しよう。写真にある入渓して最初の滝は激シャワーで登ると痺れる。水量の少ない秋ならば登攀可能。

<快適登攀可能季節>
6月~10月 5月でも登れると思うけど本流の水量が多いと渡渉が厳しそう。高原川にはアブはあんまりいない気がする。

<温泉>
割石温泉

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