2017年9月12日火曜日

海川 鋸沢














沢登り界では多くの場合「流域で最も困難な」とか「悪絶なゴルジュ」や「最難」という文字列は「すっごく面白いからいってみ!」という言葉に変換可能である。これは沢登りの参考となる記録が古い事、或いは沢登りの記録を書く人が若干大げさであるためと考えられる。前者は時の流れだから致し方ないとして、後者は沢屋の罹患率が高いロマンティシズム病に由来するので筆者も大いに反省するところである。この病は直ぐに宇宙だの地球だの自然だのと、役に立たぬ戯言をひねもす騒ぎ立て一般社会の皆様へ迷惑を蒙る重篤な病である。筆者もこの病を古くから罹患しており、治療がままならぬまま而立を迎えようとしている。このまま病態が進行しては職場に迷惑がかかるのは必定。病気療養のため国外山岳地での集中治療が必要になるのではないかと危惧している。

鋸沢は登山大系に滝を完全に直登すれば海谷では最も困難な沢の一つと記載されている。登ってみたところ通例どうり面白い沢であった。遡行図の滝高は大分盛ってあるようで、出会いの2段滝は精々30mといったところ。ゴルジュの連瀑が続く序盤の突破と上部のスラブがポイントとなる。どちらもこれぞ海谷といった風情であり、楽しさ爆発にこにこスマイル地帯だ。稜線への抜けは撫でるような優しい草付きで藪漕ぎは一切無い。そこから鋸岳へのスリリングな登山道を経て山頂の雄大な景色を堪能して駐車場へ戻るころには貴方も宇宙が地球が自然がと騒ぎ始めているはずだ。

<アプローチ>
山峡パークに駐車し登山道を利用し取水堰堤まで。ここからは本流を遡行してエビクラ西壁手前の川幅が狭くなる地点で左岸から合流するのが鋸沢である。日帰りの場合下山は鬼が面山~駒ケ岳を縦走するのが面白いと思う。海川をベースとして利用する場合は1458mから海川へ下降する登山道を利用すると良い。この海川へ下降する登山道は地形図に記載は無いものの良く踏まれており快適な道である。山峡パークまで国道8号線経由で2時間くらい。

<装備>
カム少々。ピトンをナイフブレードからロストアローを少々。クラックはそれほど発達していないので出番は無いかもしれない。連瀑帯は海谷らしい滝が多く楽しいが、巻く場合はやや渋い草付登りとなる。

<温泉>
帰りしなならば、朝日町の境鉱泉、たから温泉、地中海などナトリウム泉の温泉がある。500円くらいで入浴可能

<快適登攀可能季節>
7月~11月。虫が少なく快適な時期がよい。

<グルメ>
たら汁が名物だが、はっきり言ってそれほどでもない。量を食いたいのであれば「きんかい」で定食のご飯大盛りを注文しよう。日本昔話級のてんこ盛りが食える。宮崎海岸のヤマザキショップは定食屋に負けないほど美味しい大盛りカツ丼弁当が500円程で食える穴場。

<博物館>
糸魚川有るフォッサマグナミュージアムは素晴らしい。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。

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