北アルプスのど真ん中に鎮座する赤牛岳へ突上げる口元ノタル沢は赤い花崗岩に秀麗な小滝を幾つも落とす秀渓である。地形図では入り口からゴルジュ記号が付いているが進退に窮するような地形ではない。全体的に調子よく小滝を登り時々大滝を高巻く感じである。夏期の場合2000m二俣付近から雪渓が現われるが、谷の形状もあってかそれ程悪いことにはならないと思う。これで終わりかと思っていた上部では天国への階段かと思うような気持ちのよい滝が現われる。ここはすこぶる爽快なのでロバートプラントばりにシャウトしたくなる。上部のガレには閉口するが、山頂が余りに素晴らしいので苦労は直ぐに忘れてしまうだろう。遡行の小気味よさと3000mクラスの山頂へ突上げるスケール感が魅力だ。
赤牛岳からの縦走もすばらしいが、温泉沢を直接下降すると面白い(登山道ではなく沢を降りる)。沢の中の岩盤は安山岩質のマグマに取り込まれた石がぽこぽこと川床を覆っているのだ。
これらの石は川原の石が火山活動によって流出したマグマに取り込まれたのだろう。雲ノ平火山が活動する以前、黒部川の本流は現在の東沢だったそうだ。河川略奪の歴史に思いを馳せつつ、その原因となった火山の温泉に浸かる。これ以上幸せな時間ってあるのだろうか。
<アプローチ>
<装備>
カム少々、或いは適当なパッシブプロテクション。
カム少々、或いは適当なパッシブプロテクション。
<快適登攀可能季節>
7月下旬~10月。標高が高いので秋は寒いかもしれない。
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