2019年1月5日土曜日

赤沢山 針峰PⅡ・PⅢフランケ中央チムニー





赤沢山の岩場は遠い。林道と平坦な登山道を延々約20km歩かなければベースとなる槍沢ロッジまで着かないのだ。単純に山登りの遠さならば我慢できるのだがこれは堪える。赤沢山の岩場に行きたいけど、遠いので錫杖岳でよしとしよう。なんていうのは大いなる誤謬である。赤沢山の岩場は当然赤沢山にしか無いわけで、そこにしかない超絶貴重な大自然なのだ。遠いだのと文句を垂れていては山の謎に迫ることは到底出来ないのである。

さて、本題の登攀である。赤沢左俣の岩場は主にフェース、スラブ状で冬らしいラインというのは少ない。そんな中で針峰PⅡ・PⅢフランケ中央チムニーは冬壁愛好家ならば一目で登りたくなる形状を呈している。針峰2つを脇に沿え、ぐいっと迷い無く一直線に食い込むチムニーは正に男前そのもの。しかし、その実態は優男で誰にでも好まれる好漢である。1P目は傾斜の強い草付きから始まりⅢ+程度のチムニーを登り雪壁を目一杯伸ばす。2P目はスラブ状フェースのⅣ級か、チムニーからルーフトラバースのラインが取れる。3P目は簡単なチムニーから長い雪壁を登りコルへ至る。

この岩場は花崗岩質のようだが、少し変成を受けているように思える。針峰槍沢側正面壁の下部は綺麗な花崗岩であった事を踏まえると、穂高岳の火山で岩が焼かれたのだろうか。赤みを帯びているのは本当に酸化鉄なのだろうか。訪れたものの謎は深まるばかりである。次は事前に調査をして正面壁でも登るとしよう。

<アプローチ>
沢渡か坂巻温泉に駐車。坂巻温泉の駐車料は一日600円。富山から大体2時間30分あれば着く。槍沢ロッジ周辺にテントを張ってベース方式で登るのが無難である。もちろん、続く岩壁を登りPⅡ頂上を踏んで縦走するのも興味深い。針峰PⅡ・PⅢは赤沢を詰めれば一目でそれとわかる。そして中央チムニーも一目瞭然である。下降は同ルートが簡単である。赤沢は雪崩のリスクはそれなりに高いように思う。南面にある沢なので、降雪直後の好天時には注意したい。

<装備>
カム一式、ピトン各種、トライカム

<快適登攀可能季節>
12月~4月くらい。チムニー内は日陰なので壁のコンディションは安定していると考えられる。

<博物館など>
福地温泉で日本最古の化石が発見されている。年代は古生代オルドビス期~デボン紀。即ち5億年~3億6000年前である。残念ながら冬期登攀後は観察できない。

<温泉>
坂巻温泉、平湯温泉

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