2019年3月11日月曜日

滝谷 C沢右俣奥壁 雲表ルート






C沢右俣奥壁雲表ルートは志のあついひと、即ち篤志家向けのラインではないだろうか。何故か。それは逆層気味の岩質で傾斜は強い上に岩が不安定だからである。筆者らはゆらゆらと滝谷へ行き、さほど調べもせずにゆるゆると取り付いたので、面を食らう形となった。クライミングの内容は大変興味深く面白いのは間違いない。

登攀は浅いチムニー状から始まる。この出だしはライン上で最も岩が硬くて快適な楽しいところだ。次はルーフに押さえつけられたチムニーを登ってカンテを跨ぎ再び浅い凹角へ入る。氷雪が着いて手でしっかり持てるホールドが少ないのでフッキングで登ることになる。やがて7~8mの垂壁が始まる。先ほどの凹角が徐々に細くなってくるので登りにくい。これを登れば凹角が一端開け傾斜も落ちるが、決して易しくなるわけではない。左右に展開するスラブを避けながら、登れるラインを探すと岩の不安定なゾーンに突入する事になる。技術的な核心は下部だが、精神的な核心はこの稜線に抜けるピッチとなるだろう。不安定な岩を静かに優しく紳士的に取り扱うことが肝要だが、何せ傾斜が強いので時には思い切った動きが要求される。緩傾斜帯に出たときは本当にほっとした。

重ねての記載になるがクライミングの内容はとても面白い。相応の実力を持ち合わせていないのにゆらゆら取り付けば、心拍数上昇ファクターが推定約5倍となり、お腹ははち切れんばかりに一杯になる。何事も過ぎたるは猶及ばざるが如し。志はちょっぴり篤め、きっとそれが長生きの秘訣。

<アプローチ>
滝谷C沢右俣のどん突きまで行けば自然と奥壁に行き着く。下降はC沢左俣を取るが、意外に遠く、それらしいコルがいくつか有るので注意が必要。松濤岩を巻き、第二尾根を確認してから下降するのが良い。視界が無いと下降は難しくなるだろう。

<装備>
カム一式、ピトン各種(ナイフよりちょい厚めがいい)、ナッツ小さめ、トライカム少々、ボールナッツが有効。

<快適登攀可能季節>
12月~3月。岩が脆いので氷で固まっている時期がお勧め。夏は危ないと思う。

<温泉>
新穂高温泉なのでどこでも入ることが出来る。価格帯は高い。

栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。

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