2020年8月17日月曜日

正沢川 幸ノ川









 幸ノ川はとにかく快適でぐいぐい登れる沢だ。傾斜は緩いが高さがある似たような滝がとにかく連続する。同じ花崗岩の片貝川モモアセ谷の危険度を2割減らした感じ、といえばイメージが伝わるだろうか。川原なんかまるでないので小気味よいまま終了することができる。ただ、あまりに快適で早々と終了するので、これだけを目的に富山からわざわざ向かうのは勿体ない。旅がてらや転進先として楽しむくらいでちょうどいいかもしれない。
 木曽駒ケ岳へ向かう登山道なのでそれなりに登山者が多かった。衝撃だったのは女性は皆さんお化粧バッチリ(しかも乱れていない)で過ぎ去ったあとにはシトラスの香りがすること。そして男性の服装はトレラン風か高級ブランド一式だったことである。普段、県外にある人気の山を歩かないので登山時流を掴んでいなかったが夏山世界がすっかり都市化しているようだ。翻って自身はというと、学生時代から着用している穴だらけの囚人みたいな服(しかも猛烈に臭う)に地下足袋という姿。さながら昭和の日雇い労働者で、辛うじて有する登山者要素は先日の山行で拾ったストックのみである。周囲の男性登山者が米津玄師ならば俺は広沢虎造ってくらいの距離感で、私がひとたび婦女子の群れに向かえば紅海を渡るモーセと化すのは明白。そうなんだ、もう俺は変なおじさんなんだ。自らに言い聞かせながらゆったりと下山した。ついでにシトラスの香りを鼻腔いっぱいに充電しながら。でも、もう少し足掻いてみたい思いもあるので今、米津玄師の「感電」を聴きながら書いている。おしゃれな山服が買える日はまだ先である。

<アプローチ>
コガラ登山口(旧木曽駒高原スキー場)に駐車して福島Bコースを少し歩いて幸ノ川合流点から入渓。麦草岳のトラバース道が横切るのでそこで終了してもいいし、無視して山頂へ向かうのもいい。

<装備>
ちょっと沢慣れしていれば何もいらない。本当に慣れていない人がいると、しっかりとした確保をした方がいいがキリがないかも。

<快適登攀可能季節>
6月~10月。良く知らない山域だがこれ位の期間は快適そう。

<博物館など>
義仲館:木曽義仲の資料館。県民には火牛の計で御馴染み義仲公である。旗揚げまではこの地で育った。ここから北陸道進撃が始まったと思うと感慨深い。

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