中央アルプスの越百川は豊富な水量の本流下部に狭溢なゴルジュを有しており、お手軽な本流ゴルジュ突破を楽しめる。しかしながら、これ以降は川原とガレとなり遡行となり、全体的な興味が薄くなる。
では、ゴルジュを楽しみながら面白いラインは無いだろうかと地図を眺めれば、安平路山山頂を踏んで遡下降をすることができる興味深いラインが浮かび上がる。上流側は中南沢であり、下流側は下南沢というそうだ。地図で示された滝マークはいかなるものか厭が応でも期待は高まる。
筆者らが訪れた際の下部ゴルジュの水量は大変猛々しく、最狭部は巻かざるを得なかった。取水堰堤を越えて上部ゴルジュはちっともゴルジュ感はなく拍子抜けである。さて、本題の中南沢である。出合いから標高200mくらいは全然ぱっとせず、外したか!と心配になる。しかし、滝マーク付近から岩が固くなり、連瀑が始まり一安心。花崗岩の谷らしい美瀑でうっとりするところだ。登れない滝が多いものの、流芯を絡めて登れる滝も幾つかあり十分に楽しめる。詰め上部まで比較的開けており大した苦労はない。そして藪は笹系で易しい。稜線へ出ても登山道が整備されておらず、山本来の姿が楽しめるのが素晴らしい。安平路山山頂もひっそりとしていて良い雰囲気であった。さて、下降である。下南沢の上部は燕岳のような風化花崗岩によって演出される日本庭園調の風景が楽しめる。1950m付近から滝が現れ始め小気味よく下降できるだろう。やがて徐々に水量が増し増しとなって豪快な谷となる。滝マーク2つとゴルジュ箇所がポイントとなるだろう。下南沢を遡行しても素敵な時間が過ごせるのは間違いない。最後はゴルジュの下降だが、簡単に巻けるので全然問題ならない。
中南沢と下南沢を遡下降することで越百川を最大限楽しめる計画となると思う。越百川の沢登りで越百山へ登らないのはいかがなものか、というご批判はあるかと思う。でも登山者の少ない安平路山の方が沢屋向きじゃないかな。
<アプローチ>
越百川林道のゲート前に駐車し林道をしばらく歩いて入渓。釣り師も多いようなので入渓には注意が必要。中南沢1550m付近に平坦地があったので泊まった。これ以外にもぼちぼちの場所であれば作れると思う。下南沢の方は平坦な幕営適地が多い。一泊二日で回ろうとすると足並みがそろったパーティーでないと辛いかもしれない。
<装備>
ゴルジュ用にカム少々、ピトン少々。支流はヌメリがきつめなのでフェルトがお勧め。
ゴルジュ用にカム少々、ピトン少々。支流はヌメリがきつめなのでフェルトがお勧め。
<快適登攀可能季節>
7月~9月。良く知らない山域だがこれ位の期間は快適そう。盛夏、広い川原には意外とオロロがいる。
<博物館など>
義仲館:木曽義仲の資料館。県民には火牛の計で御馴染み義仲公である。旗揚げまではこの地で育った。ここから北陸道進撃が始まったと思うと感慨深い。
義仲館:木曽義仲の資料館。県民には火牛の計で御馴染み義仲公である。旗揚げまではこの地で育った。ここから北陸道進撃が始まったと思うと感慨深い。
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