2020年10月18日日曜日

庄川 タキノツボ谷














産業構造が変化する現代社会、特に巨大IT企業4社GAFAの台頭が目覚ましい。山登りにおいて、その権勢を痛感する機会はあまりなかったのだが、今回ばかりは舌を巻いた。

庄川タキノツボ谷なんて谷は国土地理院発行の地形図に収載されていない。あるとき、目的地への道筋をGoogle MAPで調べていたら、全くの何の観光地的な場所でもないのに滝の名前が示されているのに気付いた。タキノツボ谷の滝。聞いたことがない。写真には岩壁も映っているし、地形図で谷が少し深そうに描かれていているのも興味をそそられる。秋深まる10月半ば、良い形の山に埋められた三角点ゲットとキノコ狩りを兼ねての山行とする。

林道に掛かる下山橋から望むタキノツボ谷はものすごい傾斜の谷だ。奥には写真で確認した大滝が見える。ちょっとした小滝を登ると大滝とご対面。石灰質が混じった飛騨帯片麻岩はよく磨かれたスラブ状の岩質なので登ることは難しい。右岸から巻きに入る。少しだけ悪い部分もあるが、富山的にはフレンドリーな部類な巻きである。大滝以降はおとなしい渓相となる。荒れたた印象はないものの、水量が少ないためか谷内に倒木は多い。地形図であらわされているほど深い谷には感じなかった。ときどき小滝が現れるが快適に登ることができる。無事に1001.6m三角点を踏んで(驚くべきことに新しい赤テープがあった!)、南側の清水谷へ下降する。清水谷の方が平均傾斜が強いためか小滝の数が多い。沢登りとしては清水谷の方が楽しめるかもしれない。下降は殆どクライムダウンでこなすことができた。

Googleさんにはノーマークだった谷を気づかさせてくれて感謝なのだが、一体どうやってこの谷の情報を収集して載せているのだろう。滝マニアのサイトをAIが監視していて、地図上に名称を加えていくのだろうか。そういえば、沢登りの対象となる谷にも名称記載があったりするなぁ。

<アプローチ>
祖山ダムから大牧温泉へと続く林道へ入り、清水谷出合い付近の広場に駐車して歩いて入渓。

<装備>
スリングのみでOK

<快適登攀可能季節>
6月~11月新緑と紅葉の時期が素晴らしいと思う。

2020年10月12日月曜日

片貝川 南又谷支流 小沢久塚谷

 










南又谷支流の小沢久塚谷には毛勝三山西面中最大の滝があると登山大系の記載がある。にもかかわらず、周囲では登ったという話は聞かない。となると行くしかない。

最終堰堤からすぐに大系で記載のある2段40m滝が現れる。この滝は弱点に乏しく、巻くことにした。右岸から巻いたのだが、お馴染みの泥草付きと強傾斜の貧弱ブッシュで悪い。資料ではこのあと10m滝2つが続くことになっている。実際に滝の存在は視認したのだが、ガスで滝形状が判別できなかったため下降せずにそのまま2つとも巻いた。この連瀑帯以降は問題のない歩きとなる。北谷右支流が素晴らしい滝となっているのを横目に久塚谷を目指す。

久塚谷を眼前にして愕然とした。全然水がないのである。お隣のシブキ谷が音を立てながら水を落としているのにも関わらず、無音でちょろちょろと流れるばかり。そして、出合いに最大の滝など見当たらない。距離にして50mほど遡行するとすぐに伏流した。とはいっても、これはこれで面白くて涸連瀑帯のようなゴルジュ地形では乾いた快適な岩登りが楽しめた。1500mまでは基本的に伏流で時々水が現れる状態であったが、岩はかつて水が流れていたように浸食されている。ガスガスの残念な天候だったので1850m付近にて尾根を乗り越し宗次郎谷へと下降した。

久塚谷に毛勝西面最大の滝は無かった。もしかして、登山大系の著者は北谷右俣と間違えたのだろうか。それとも最大の滝が埋没してしまうほどの山抜けが発生したのだろうか。山抜けによって、水が伏流している可能性も否定できない。北谷を遡行するとなると、二段40mの悪巻きをもう一度する必要があるので、忘れたころに検証することとしよう。

<アプローチ>

南又谷の洞杉駐車場に駐車して、小沢最終堰堤へと続く林道を歩く。この林道は小沢橋手前から続いているので見落とさないように注意。この沢を登った後の下降の方が注意が必要である。筆者らは宗次郎谷を下降した。上部は急峻なザレ場となっていて大変な注意を要したが、谷中に入ると物凄いスケールのガレ場で意外に下降しやすかった。広大なガレ場は一見の価値あり。


このほか、釜谷支流や大明神谷への下降が考えられるがいずれも相応の時間は見積もっておいた方がいい。

<装備>
沢慣れしていればプロテクション類は要らない。滝中の岩は硬いのでピトンやカムなど十分に使えると思う。花崗岩だがヌメリがきついのでフェルトがいい。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。小沢、下降する北面の沢、どちらも夏は残雪が多そうな地形である。久塚谷の上部は夏期には水が流れていると考えられる。これも確認したいところ。

<博物館など>
洞杉:魚津が誇る岩を抱えるように発達した杉の巨木群。南又方面へ向かう際には訪れてみるといい。



魚津水族館:歴史有る水族館で主に県内に生息する魚を展示。こじんまりとしているが魅力的な水族館。可愛いPOP解説も面白い。
魚津埋没林博物館:でっかい木が沈んでいるだけなのだが、なぜか趣がある。

2020年10月10日土曜日

片貝川 南又谷支流土倉谷














片貝川は富山市の中心部からとても近く、短時間で遡行可能な支流も多い。朝起きて、天気がいいから山でも行くかっ。て感じで気軽に足を運べるのがいい。

土倉谷も気軽に行ける楽しい谷だ。ほとんどは気軽な歩きなのだが、950m付近で連瀑となる。難しくはないが、ゴルジュ状の景観で水を落とす様は雰囲気十分。岩は硬い花崗岩なので思い切って登れる。これを越えると難しいところはなく大倉山へと登ることができる。北側の支流を下降したが、こちらも登ったらそこそこ楽しめそうな谷だ。

<アプローチ>

洞杉駐車場から歩いて土倉谷出合いまで。大倉山まで登ったあとは、一本北側のお隣の谷を下降したが、やや際どいクライムダウンが多いうえ、スラブ状の大滝も出てくる。スリリングな下降を求めないのであれば同ルート下降の方が易しい。

<装備>
沢慣れしていればプロテクション類は要らない。滝中の岩は硬いのでピトンやカムなど十分に使えると思う。花崗岩だがヌメリがきついのでフェルトがいい。

<快適登攀可能季節>
6月~11月。水は少なく、濡れも多くないので晩秋も行けると思う。

<博物館など>
洞杉:魚津が誇る岩を抱えるように発達した杉の巨木群。南又方面へ向かう際には訪れてみるといい。



魚津水族館:歴史有る水族館で主に県内に生息する魚を展示。こじんまりとしているが魅力的な水族館。可愛いPOP解説も面白い。
魚津埋没林博物館:でっかい木が沈んでいるだけなのだが、なぜか趣がある。