南又谷支流の小沢久塚谷には毛勝三山西面中最大の滝があると登山大系の記載がある。にもかかわらず、周囲では登ったという話は聞かない。となると行くしかない。
最終堰堤からすぐに大系で記載のある2段40m滝が現れる。この滝は弱点に乏しく、巻くことにした。右岸から巻いたのだが、お馴染みの泥草付きと強傾斜の貧弱ブッシュで悪い。資料ではこのあと10m滝2つが続くことになっている。実際に滝の存在は視認したのだが、ガスで滝形状が判別できなかったため下降せずにそのまま2つとも巻いた。この連瀑帯以降は問題のない歩きとなる。北谷右支流が素晴らしい滝となっているのを横目に久塚谷を目指す。
久塚谷を眼前にして愕然とした。全然水がないのである。お隣のシブキ谷が音を立てながら水を落としているのにも関わらず、無音でちょろちょろと流れるばかり。そして、出合いに最大の滝など見当たらない。距離にして50mほど遡行するとすぐに伏流した。とはいっても、これはこれで面白くて涸連瀑帯のようなゴルジュ地形では乾いた快適な岩登りが楽しめた。1500mまでは基本的に伏流で時々水が現れる状態であったが、岩はかつて水が流れていたように浸食されている。ガスガスの残念な天候だったので1850m付近にて尾根を乗り越し宗次郎谷へと下降した。
久塚谷に毛勝西面最大の滝は無かった。もしかして、登山大系の著者は北谷右俣と間違えたのだろうか。それとも最大の滝が埋没してしまうほどの山抜けが発生したのだろうか。山抜けによって、水が伏流している可能性も否定できない。北谷を遡行するとなると、二段40mの悪巻きをもう一度する必要があるので、忘れたころに検証することとしよう。
<アプローチ>
南又谷の洞杉駐車場に駐車して、小沢最終堰堤へと続く林道を歩く。この林道は小沢橋手前から続いているので見落とさないように注意。この沢を登った後の下降の方が注意が必要である。筆者らは宗次郎谷を下降した。上部は急峻なザレ場となっていて大変な注意を要したが、谷中に入ると物凄いスケールのガレ場で意外に下降しやすかった。広大なガレ場は一見の価値あり。
<快適登攀可能季節>
洞杉:魚津が誇る岩を抱えるように発達した杉の巨木群。南又方面へ向かう際には訪れてみるといい。
魚津埋没林博物館:でっかい木が沈んでいるだけなのだが、なぜか趣がある。
0 件のコメント:
コメントを投稿