親不知・子不知の海岸へと落ちる谷の中で唯一滝記号が記されているのが洞川である。しかもその水源である権現山は石灰岩ときている。親不知は花崗岩類であるため、石灰岩と花崗岩が直接接触する珍しい地域。これは行かねばなるまい。
スタートは日本海なので海水タッチしてから入渓。堰堤を越えると硬い岩に水が躍る小滝が連続する。そして北陸では珍しい照葉樹林によるジャングル感の演出が印象的だ。登りは快適そのものであり、クライミング的にも楽しい。水量は少なく水はぬるい。加えて水流沿いにホールドが豊富なので積極的にシャワーを楽しみたい。地形図の滝マークは計35mくらいの連瀑となっている。この登りもあくまで爽やか。標高200mの二俣から上部以降は傾斜が緩くなるが藪は少なく、自然と送電線巡視路へと出ることができる。標高200mくらいから石灰岩質の岩が散見されるが、花崗岩マグマの熱で焼かれたのか結晶質となっている石も多い。権現山にはカッレンフェルト、とまでは言えないが石灰岩ボルダーがちょこちょこあって面白い。こちらは結晶化していないので、川床の石はやはり花崗岩マグマの熱の影響があったのであろう。
自然観察だけではなく、沢登り的にもとても楽しい谷だ。クライミング要素も十分あるので沢登り入門としても推薦したい。小さい山なので下山を含めて4時間以内でも十分楽しむことができる。水量の心配をしなくても良いので降雨後、ちょっとした時間の合間など訪れるなど利用価値が高い。
<アプローチ>
国道8号線の深谷スノーシェッド手前のスペースに駐車して入渓する。下山は送電線巡視路を利用して子不知トンネル方向へ降りることを推奨したい。筆者らは勝山方面へと降りる谷を下降したが、この谷の上部が猛烈な蔦藪地帯で悶絶しながら這い這いしたり、乗り上がったりと大変苦労した。
<装備>
基本的に何もいらないが、沢慣れしていない場合はカムとピトンが少しあれば安心。
<快適登攀可能季節>
4月~11月。標高が低いので長い時期楽しめるだろう。
<温泉>
境温泉:たから温泉と境鉱泉の2施設ある。境鉱泉は備え付けの石鹸類が無いので要準備。
境温泉:たから温泉と境鉱泉の2施設ある。境鉱泉は備え付けの石鹸類が無いので要準備。
<博物館など>
護国寺:別名石楠花寺。とやま花名所に選ばれるだけある庭園。シャクナゲとツツジの時期が素晴らしい。謎の置物も気になる。
朝日町立 ふるさと美術館:昨今の大正アートブームで再注目の竹下夢二の作品を所蔵している。江戸~大正期、朝日町の泊は宿場町で大いに栄えており、その盛り場に夢二が訪れていたようだ。妻たまきとの破局事件の舞台は宮崎海岸だ。この情事の続きは朝日町の図書館で。
護国寺:別名石楠花寺。とやま花名所に選ばれるだけある庭園。シャクナゲとツツジの時期が素晴らしい。謎の置物も気になる。
朝日町歴史公園:縄文時代の不動堂遺跡が再現されている他、江戸時代町屋であった旧川上家の家屋が当時の状態を保ったまま移設されている。ここでは朝日町名産のバタバタ茶を自分で点てて試飲できる。12月~3月は閉館するので注意。
百河豚美術館:野々村仁清の作品を数多く展示している。デフォルメされた鶏が描かれコップもあり、仁清のモダンな感性を感じる事ができる。他にも話題の伊藤若冲や、尾形光琳に酒井抱一といった琳派ビックネームの作品も展示。
杉沢の沢杉:地口か回文のような名称だが素晴らしい場所。田園と防風林の中にポツリ広がる湿地杉林で、まるでもののけ姫の森のようである。近年、入善乙女キクザクラという桜の新種がここで発見されている。この原木は未だ杉沢の沢杉でしか発見されていない。北陸は菊咲きの桜の品種が多いらしい。
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