地形図を刮目して閲覧している総合計時間は一体何時間になっているのだろうか。作成に従事する職員以外で登山者が最も地形図を眺めている人種ではないか。その中でも富山県内区画の総合計閲覧時間長さでは結構上位ランカーに位置するのではないかと自負している。
別又谷一ノ谷上部には気になる地形があった。1261m地点が記されている尾根のコルへと本谷が抜けているのだが、一旦ここで平坦地になる。にもかかわらず、上部へと沢筋が続いている。この谷の状態は一体どうなるのだろう?そして謎の小凹地の存在は何なのだろうか。そして、北側の別又谷二ノ谷へと流れる支流はこの1261m台地を水源としているのだろうか。もう一つ広い視点で地図を眺めたとき、三角点1600.1mの成谷山から西側の地形が1000m~1200m付近で突然緩い傾斜となる特徴がある。成谷を遡行した際に1050m付近から平坦になり突然美しい苔が発達した渓相となり驚いた経験がある。これは何らかの境界線があるに違いない。
入渓してしばらくするとちょっとしたゴルジュ帯となる。小滝が幾つか連続するが技術的には全く問題ない。ゴルジュ帯を過ぎるとやや土砂が多い川原となる。具体的な地点は未確認だが途中山抜けが発生しており、その土砂の流出により河床が浅くなっている。650m以降は小滝と7m前後の滝が散発的に表れる。4段瀑の最上段は直登が叶わず左側をロープを出して登ってみたが、右岸を大きく巻けばロープを出す必要は無いだろう。遡行は簡単だが全体を通してポイントとなりうるのはこの4段瀑であろう。
1100m付近からゴーロとなり水が枯れる。谷筋が広く明瞭で有るにも拘らず伏流するのは小沢と同じ傾向である。花崗岩の保水性が無い特徴なのだろう。結晶質片麻岩を含む巨岩をも現れるので飛騨帯変成岩が多くなってきたのであろう。懸案の1261mのコルは確かにコルであったが、川床には植物は生えていないので定期的に水が溜まったか流れたと推し量られる。それでも谷筋は見事に上流へと続いていた。きっと、雪解けや大水の際には沢の表層に水が現れているのだろう。その後成谷山へと直登するルンゼを登ったが、特に悪い箇所は無く、マッサージ程度のスウィートなヤブコギ少々で登山道へと至った。困難は無いが行程がそこそこ長く、バランスの良い内容なので沢登り体験には丁度良い対象だと思う。
結論として、平坦地となっている原因を推察することはできなかった。これは筆者の知識不足と観察力不足によるところだろうが、杉とブナの幼木が点在しつつ、不思議なコルを見物することができただけで十分な収穫であった。ところで、遡行中にドロムシ類の成虫を何度も見かけた。何度か片貝川流域の谷を遡行した時もよく見かけているが、他の山域よりもエンカウント率が高い気がする。この流域に特に多い甲虫なのだろうか。それとも、たまたまドロムシの生態として目につきやすい9月に訪れる確率が高いだけなのか、はたまた偶然なのか。ドロムシの種分類はやや混迷しているようだし、富山県内の上流域における生息種調査はあまり実施されていないと勝手に予想している。小さなヒメドロムシ類も熱いと思うなぁ。さあ登山と水生昆虫が大好きな貴方、富山県内のドロムシについて調査してみてはいかがでしょうか。
<アプローチ>
片貝川別又発電所に駐車して入渓。下山は登山道を利用するのが無難なので、登山口に車か自転車をデポしておくと良い。
<装備>
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