2021年9月22日水曜日

大杉谷川 ハチブセ










ハチブセは白山の中でも登攀的な谷。行程は長くないが、フリークライミングに人工登攀を存分に味わい、丸一日の充実した山行が楽しめるだろう。1090m左俣からかかる連瀑はとても面白い。ヌメリのきつい前衛滝を効きの良い快適な人工登攀で登ると60mの大滝である。ホールドはポジティブで岩は概ね固い。加えて支点は取り易いので危険な状況に陥ることなく快適なフリークライミングが楽しめよう。大滝から先はちょっと退屈な渓相になるので下降して右俣へ。

右俣の最初に現れるのは関門の滝と呼ばれる入り口が狭まったと特徴的な滝である。ここも猛烈なヌメリによってフリーは厳しいが、右側のクラックを使って快適な人工登攀を楽しめる。その上の4mくらいの小滝のクライミングも面白い。以降、大きな滝も現れ始めるが巻きも容易になり始めるので時間はかからない。ナナコバ山の山頂付近は藪だらけで三角点は探し出せなかった。ナナコバ山からナナコバ谷への下降点は分かり難いので読図は慎重に。谷筋に入ってしまえばあとは下降しやすい。

支点状況は良好なのでクリーンな渓谷登攀入門として最適ではないか。沢慣れしている人はぜひとも左俣大滝と右俣のセットで登ってほしい。あまり沢登りをやらないクライマーの人もネイリングの練習、ちょっとした人工登攀の練習と思って訪れると新しい発見があるかも!

<アプローチ>
大杉谷林道の道路状況や開放状況如何による。白峰集落を過ぎて手取川右岸に渡るが、まれにゲート封鎖されていることがあるが近年は解放されている模様。イモイワ谷を過ぎてすぐに右側へと続く林道が地形図に示されている。これは現在も利用可能なので橋を渡り、ナナコバ谷出合い付近にひらかれた場所に駐車する。大杉谷川850m付近の左岸から合流するのがハチブセだ。ハチブセは1090m付近で二俣に分かれる。下山はナナコバ山からナナコバ谷を下降するのが合理的である。ナナコバ谷は懸垂下降1回くらいで降りられ下降は容易。堰堤が出始めると右岸側へ林道が出始めるので歩いて駐車場まで帰れる。基本的に日帰りで楽しむこととなるが、時間的にはややタイト。泊りで左右ゆっくり楽しむのも良いと思う。

<装備>
カム一式、ピトン各種。ヌメリがきついのでフェルト一択

<快適登攀可能季節>
7月~10月

<温泉>
白峰温泉総湯:昔は安くて汚くて良い銭湯だった。綺麗になって値段も上がった。

<博物館など>
石川県立ふれあい昆虫館:標本の数はまずまず。なにより生きた昆虫を間近に観察できる。蝶の放し飼いされた温室は圧巻である。皇太子ご夫妻もこの昆虫館を訪れている。雅子妃が温室に入った際、雅子妃の頭に蝶がとまったシーンは何度もテレビ放送された。

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