八右衛門沢は三本槍沢を分けるとずーと右岸側に岩場が続いている。しかしどの岩場も決定的なラインを見出すのは難しい。スラブ状で傾斜が緩かったり、極端に脆そうだったり、ぶっ立ちすぎていたり。初めての来訪で下からアプローチをした筆者らはあれよあれよと最奥の稜線直下まで行ってしまった。下の岩場の顕著なガリーを登るため登ろうか逡巡したが、幸い美しい垂直のゴルジュから稜へと上がるラインが現れたのでそちらに取り付く。
傾斜が無さそうに見えたゴルジュはチムニー内に雪が詰まっただけでしっかり90°あり、チョックストーン部分はハングしている。除雪作業をたっぷりい行ってから快適なワイド&ステミングで楽しく登れる。ここはプロテクションばっちりだ。緩傾斜の草付きから左へ入ると脆い岩の凹角へと入る。コーナー状で登り易いが支点は取りづらく緊張する。続く草付き帯もスラブ状でピックの効きは悪く、灌木も細いので結構怖い。がっちりとした灌木が現れてからは普通の岩稜を1ピッチ登り稜線へ至る。丁寧に区切ると3~4ピッチで終了するはず。日帰りの場合、ここから霞沢岳を経てから下降すればとても充実するだろう。
そういえば、六百山から霞沢岳方面を眺めた時に三本槍沢左岸にも岩場があった。次はそちらを探検してみようか。
<アプローチ>
筆者らはシンプルに八右衛門沢を詰めあがるアプローチとした。表六百沢や三本槍沢に間違って入らないように注意。三本槍沢を分けて比較的すぐに右岸壁が展開してくる。奥壁は稜線直下にあるため、場合によっては稜線から下降するというアプローチも有効だろう。下降は主稜線に出てから霞沢岳方面へ向かい、適当なルンゼを降りる。奥壁へ至る途中にある岩壁で登攀ライン候補となりそうな岩壁幾つかあった。
下から見た感じすべてのルンゼを下降可能だと思う。八右衛門沢は北面で急傾斜の谷なので雪崩のリスクは高い。
<装備>
カム一式、トライカム、ピトン各種。
<快適登攀可能季節>
1月~3月くらい。雪崩のリスクが高いので入谷は慎重に
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