山を歩いていて、地形図を眺めていて面白そうだなと思う場所は必ずと言っていいほど先人によって登られている。登られていて残念、なんて全然思わなくて人間の好奇心と探求心が文化を創っているのだなぁとしみじみして嬉しくなる。
抜戸岳南尾根 2421.6m峰東南壁は飛騨山岳会によって拓かれた岩場で、新穂高という好立地にありながら通年を通して訪れる者は殆どいない(と思われる)岩場である。岩場は前衛壁と奥壁で構成される。奥壁は横に広い岩場で南尾根の南壁コルからずらーと広がっている。岩は非常に硬く絶妙にリスとクラックが存在しているので、まだまだラインは引けるんじゃないかな。
2ルンゼは南尾根南壁コルから岩小屋沢を下降すると圧倒的な存在感を示しており、「冬壁愛好家の皆さんこちらへどうぞ」よろしく語り掛けている。気持ちの良いゴルジュ状ガリーを2ピッチ登ると、上部雪壁前の核心部である。草付きの浅い凹角からハングをワイルドに乗越して抜ける。落ち着いて丹念に支点を探せば安全な支点が取れるので思い切って突入してみよう。あとは易しい雪壁を快適に登り、雪庇の張り出しが小さい場所を探してトップアウト。穴毛谷の景観が圧倒的である。
2ルンゼはラインの合理性と下部の登攀内容が素晴らしい。お隣の3ルンゼも面白そうだったのでまた来よう。そして、抜戸岳南尾根 2421.6m峰東南壁から穴毛谷4ノ沢へと継続するという計画もきっと面白い。こんな素晴らしい遊び場新穂が近い富山万歳!
<アプローチ>
南尾根からもアプローチ可能だが最も楽なのは岩小舎沢を詰めるアプローチである。穴毛谷同様、雪崩のリスクが高い沢なので雪の状態には留意したい。登攀終了後の下降路は南尾根を少し北上し、雪庇の小さい場所を選んで下降する。或いは南尾根を南下し南壁を懸垂下降(65mくらい)し岩小舎沢を下降する。岩小舎沢は夕方日が当たらなくなった時間帯に下降するのが安全
<装備>
カム一式(小さいサイズが有効)、ピトン各種、トライカム少々、ボールナッツ有効。なお、当岩場の開拓は主に飛騨山岳会によって為されている。商業誌として発行された資料で詳しいのは岳人1985年5月~7月に掲載された開拓記録である。詳細で正確な概念図と写真で大変解りやすい。
<快適登攀可能季節>
12月~3月中旬。岩小舎沢に入れるコンディションのとき。気温が低くて高曇りの日がベストコンディション。2ルンゼは氷雪の状態が非常に重要となるので、2月中が良いだろう。ただし2月だと谷筋の雪がしまり切っておらず、ラッセルは覚悟したい。朝日が当たると瞬く間に雪崩るので息せき切って標高差を一気にラッセルできる能力が求められる。
<温泉>
新穂高温泉なのでどこでも入ることが出来る。価格帯は高い。
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。
新穂高温泉なのでどこでも入ることが出来る。価格帯は高い。
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。
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