2022年2月13日日曜日

三方崩山 大ノマ谷第二岩稜

 










 悩み事無さそうだね。と問われ、世界には興味深い凸部や壁面が多すぎる。しかも住んでいる近辺には凸部が多い上に周辺の自然環境も極めて魅力的であるのが悩みである。と回答したところ、ほら無いじゃないかといった反応をされる。こちとら深刻な悩みを吐露したにも関わらず、能天気な奴の烙印を押されるのが業腹である。真剣に答えすぎたのが悪かったと判断してすかさず、次の休暇時の天候であると答えるともう相手にされない。想像の範囲外の世界に居住する他者への態度は厳冬の剱岳の雪よりも、穂高の稜線の烈風よりも、ずっとちべたい。想像力と共感に乏しい世間は実に世知辛いものである。
 
 三方崩山に存在する美しい雪稜の存在は知っていたものの、やはり訪れるならば積雪最大となる2月だなと極め込み幾星霜。どうしても2月はアプローチのリスクアセスメントが容易な穂高や頸城にばかり足が向かってしまう。何せアラウンド富山はトゥーメニイマウンテンなので、限られた休暇ではすべての山との交流は困難なのだ(言い訳)。ようやく各種の好機が重なり漸く訪れることができたので大ノマ谷と弓ヶ洞谷の雪稜を継続登攀とした。

 第二岩稜はパっと見た感じ4つの尾根の中でも中間的な難しさなんだろうなという印象であった。登ってもシンプルに雪壁とキノコ崩しが続きややこしいギャップや絶壁は現れないので組し易しと感じた。それでも山だらけのロケーションの中、圧倒的な積雪量のある尾根は登り応え十分。この手の雪稜に登り慣れていれば4~5時間で終わると思うが、慣れていないと全然進めないかもしれない。南尾根に接続してから山頂へと自然に登れるのも素晴らしい。いいじゃん!大ノマ谷。2月に取り付く判断は戸隠よりも難しいが是非とも触れてほしい山域である。

 それでは、貴殿の憂慮する事態とは一体なんぞや?と尋ねたところ、子の進学先と習い事との回答。そうですね、お子様の将来に関わる一大事ですのでお子様と共により良い選択をされるように祈念いたしますと相槌。相手方の吹雪に対して、曇天~小ぬか雨くらいには収まった気がするがどうだったのであろう。大ノマ谷の雪質を想察するよりも難しいことがある。ギブミー・ア・想像力! 

<アプローチ>
大ノマ谷は三方崩山南東の谷の事で大ノマとは「大きな雪崩が出る谷」の意である。岩場や雪稜は登攀クラブによって初めて登られ、以後一部の愛好家に細々と登られてきた。谷の上流から第一、第二、第三、第四岩稜と命名されているようだ。なお、第二岩稜は上部で第三岩稜と接続している。何となくそうなんじゃないか概念は以下の通り。


近年(と言っても20年位前)では名古屋ACCが紹介し一時脚光を浴びた模様。アクセスとしては雪がしまり切っていない2月ならば道の駅飛騨白山に駐車して平瀬尾根を登り下降するのが安全で合理的な気がする。下降の際には面白そうな尾根が4つ綺麗に並ぶ姿におおっ!となるはず。3月に入ると大白川方面から林道を歩いて大ノマ谷を詰めるのが楽だろう。尾根上には幾つも幕営可能点があるので何時に取り付いても問題ない。

<装備>
スコップを振り回す時間が圧倒的に長いので、携行しやすい工夫が必要。もちろん要バックアップ。雪特有の支点構築品は特にいらない。藪は出ていないが安定した平地が多いので座っての腰がらみ、肩がらみで十分確保可能。

<快適登攀可能季節>
2月~3月。積雪がたっぷりある時期に登りたい。

<温泉>
くろば温泉:国道沿いに有るのでわかり易い。600円也
五箇山荘:高速のインターを少し過ぎたところにある綺麗な温泉。500円也

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