2022年6月19日日曜日

親不知 三段滝






富山県内で登山課題を探索するには動体視力は重要である。越中は雪国だ。国道、林道など山がちな地形を切り開いた道路の多くはスノーシェッドや隧道になっていて、外の景色は運一瞥することしか叶わない。その一瞬で壁はあるのか、滝はあるのか、エスケープできるのかといった情報を摂取せねばならない。

三段滝という名前は富山の山屋ならば薄っすらと記憶にあるはず。そう、国道8号線市振から最初の長いスノーシェッドの名前だ。三段滝という立派な名前を冠した谷はスノーシェッドの隙間にあり、普通運転をしていると一瞬しか見えない。見えない短い谷への食指は中々伸びない。ところが、昨年からスノーシェッドの改修工事のため、片側交互信号が敷設されその手前で駐車することになった!じっと観察する訳ではないのだが、目を合わせる時間が長くなっていく。しかし、そのお姿は葉に隠れている。うっすらと意識していただけだったのだが、いつも間にやら親しみの念が。

あれっ?水が無い。まあ、滝マークまで少し先だから出てくるやろ。楽観バイブスで小滝と堰堤を越えると植林の平坦地が・・・。早々の終息宣言発令である。以前はもっと水が有った印象だったのだがどうしたんだろうか。新幹線のトンネル工事で水が枯れちゃったとかかなぁ。次は雨の時にでも登ってみようか。

<アプローチ>
国道8号線の三段滝スノーシェッドを抜けた地点(標高31.4m地点)に駐車スペースがある。そこから少し歩いてスノーシェッドの合間から入渓。上部まで沢を詰めずに降りる場合は適当に右岸の斜面を下降し、スノーシェッドの上に降りる。スノーシェッドには階段があり安全に下降可能。

<装備>
悪い草付きがあるのでロープはあった方がいい。

<快適登攀可能季節>
4月~11月。標高が低いので長い時期楽しめるだろう。

<温泉>
境温泉:たから温泉と境鉱泉の2施設ある。境鉱泉は備え付けの石鹸類が無いので要準備。

<博物館など>
護国寺:別名石楠花寺。とやま花名所に選ばれるだけある庭園。シャクナゲとツツジの時期が素晴らしい。謎の置物も気になる。

朝日町歴史公園:縄文時代の不動堂遺跡が再現されている他、江戸時代町屋であった旧川上家の家屋が当時の状態を保ったまま移設されている。ここでは朝日町名産のバタバタ茶を自分で点てて試飲できる。12月~3月は閉館するので注意。

朝日町立 ふるさと美術館:昨今の大正アートブームで再注目の竹下夢二の作品を所蔵している。江戸~大正期、朝日町の泊は宿場町で大いに栄えており、その盛り場に夢二が訪れていたようだ。妻たまきとの破局事件の舞台は宮崎海岸だ。この情事の続きは朝日町の図書館で。

百河豚美術館:野々村仁清の作品を数多く展示している。デフォルメされた鶏が描かれコップもあり、仁清のモダンな感性を感じる事ができる。他にも話題の伊藤若冲や、尾形光琳に酒井抱一といった琳派ビックネームの作品も展示。

下山芸術の森発電所美術館:きらりと光る興味深い展示をやっている。こちらも12月~3月の冬季は休館するので注意。

杉沢の沢杉:地口か回文のような名称だが素晴らしい場所。田園と防風林の中にポツリ広がる湿地杉林で、まるでもののけ姫の森のようである。近年、入善乙女キクザクラという桜の新種がここで発見されている。この原木は未だ杉沢の沢杉でしか発見されていない。北陸は菊咲きの桜の品種が多いらしい。

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