2023年1月10日火曜日

錫杖岳 P4右チムニー






 

前衛壁P4を正面から見たとき、正面を切り裂くようにかち割るチムニーがある。これがP4右チムニーの入り口で右を辿っていくと右チムニーに入り込むと思っている。とにかくP4はチムニー迷路状態なので古い概念図と照合するのが難しい。

取り付きは氷瀑が垂れるP4チムニー銀座大通り入り口から。簡単な氷瀑か左の草付き交じりの岩を登ったのち雪壁を左へと入る。冬期クライミングでは累計3ピッチ目が5.10aとなっているが、技術的には2ピッチ目が最も難しいと感じた。薄かぶりの凹角をフッキング、トルキングはたまたジャミングやワイドテクを交えて登る。筆者らが取り付いたタイミングは氷雪が付着しておらず、岩真っ向勝負だったので難しく感じたのかもしれない。3ピッチ目は物凄い威圧感のあるチムニーだが、内面にはホールドとフッキングポイントが豊富なので落ち着けばそれほど難しくないし、内面に入れば傾斜も殺せるので割合快適である。ただし、雪がぎっしり詰まっていると除雪やフリクションが悪くなって大変かもしれない。4ピッチ目も草付き抜け口が被っていて登りずらい。ここも3ピッチ目より難しく感じた。クラック内に氷が張っていて支点は取りにくいので慎重に登りたい。4ピッチ目の岩交じりの雪壁を登るとダイレクトルンゼ最終ピッチと合流する。ここは細かいフッキングとフットホールドが面白い。小さい目のカムで支点を取ったら思い切って体を上げ、抜け口の草付きへアックスをぶち込もう。

氷登りは無いけどクライミングの大部分の要素が詰まった秀逸なライン。前衛壁P4は全天候対応で冬壁登りを楽しむあなたをお待ちしております。

<アプローチ>
槍見から登山道を経て前衛壁へ。小氷瀑が垂れるルンゼ入り口からクライミングスタート。右チムニーと左チムニーの1.5Pは共通である。右チムニーは2P目の出だしチムニーから右へ向かい、立派な灌木を終了点とする。この灌木から左チムニーへ入るのは難しそうなので、左チムニーを目指す場合は一段下の岩でビレイポイントを作成するのがいいだろう。左チムニーの入り口は非常に悪く感じて登れるのか今一つ予想できなかった。右チムニーのクライミングそのものはP4ダイレクトと同様にブッシュ帯に出て終了となる。懸垂下降は同ルート、ダイレクトルンゼどちらでも大差なく3ピッチで下降できる。

<装備>
カム一式(0.4~3まで2セットあると安心)、凍ったクラック用にトライカム

<快適登攀可能季節>
12月~3月。夏に登っても楽しいラインだと思う。

<温泉>
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。

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