文字は人類史上最大の発明だと思う。意味と音を記号を組み合わせ表現するなんて思いつくとは狂気じみたていて人の所業とは信じ難い。加えて世界にある文字はどれも芸術的造形のようで見ていて楽しい。漢字の表語文字、音節文字のひらがな&カタカナ、音素文字であるアルファベットと複数文字を扱う本邦に出生したことは実に幸運であった。
寂という文字が好きな人って割といるはず。仏道に関する意味と結ばれる文字で落ち着いた雰囲気があるうえ、じゃくという音も面白い。寂好きは歌人や仏門に多いが、その方面に縁がない筆者も寂フリークの一人である。
となると行かねばならぬ。寂地山へ。寂地山では既に犬戻峡を味わったので、次にお手頃な河津峡へ向かう。入渓して直ぐに長ーい美ナメが迎えてくれる。開けた明るい谷なのでキラキラで気分がいい。林道がすぐ横に有るけど、そういう時はナメと林道の対比を楽しめばいい。原始状態も良いが人類とのコラボも良かろう。やがて2段の大きな滝が現れる。滝芯は登れないけど近くのルンゼを登ることができるし、大きく巻くのも難しくはない。以後も綺麗な景色と富山とは異なる森の雰囲気を味わっているとヤブコギも無く山頂付近の登山道へ飛び出した。山頂の展望は無いがブナの優しい空気に包まれた美しい山である。
ところで、山という字は形としてはギャグ要素があっていいけど、競争的にも感じられるんので好みではない。祈★ピース。真ん中の棒を左右同じ高さに揃えた。そして横向きにしたらEになった。形の均衡を保ったらEquilibriumになった。うはーダブルミーニングおもろ。あ、横向きにしなかったら歯ブラシみたい。そういえば家の歯ブラシふしゃふしゃで平和主義的山文字とかけ離れとるわ。買いに行かんと。といった具合に場合によっては新たに歯ブラシを買いに行くことを思い出させてくれるのが、本邦の文字文化なのである。我が国は沢登りもできて文字で遊べるいい国だなぁ。
<アプローチ>
特定の駐車場は無く、民家の周辺に駐車せざるを得ない。橋の袂の少しだけ広いスペースに邪魔にならないように駐車させてもらう。林道をしばらく歩いて綺麗な雰囲気のところになったら適当に入渓。下山は寂地山から南下する登山道を利用すると早い。登山道の状況が分からなかったので、右谷山まで行かずに適当な所から左岸支流へと下降して林道に戻った。
<装備>
スリングのみでOK。たぶん。
<快適登攀可能季節>
3月~11月。たぶん