白山蛇谷支流の沢は言わずもがな素晴らしい。のだが、歩行禁止、自転車も禁止の有料道路とその開門時間制限のため登山者を寄せ付けない雰囲気に満ちている。日帰りが基本となるのも遠方からの登山者を遠ざける一因なのだろう。遡行内容が絶品なだけに惜しいものである。
ジライ谷は取り付きにくい蛇谷支流群のなかでも、料金所ゲート手前であるため組し易い。遡行内容も蛇谷の中では易しめでありながら纏まっており期待を裏切らない。序盤は大岩の合間を縫ったクライミングで基本エンヤコラ系の登りとなる。シャワークライミングもあるので暑い日が良いだろう。ザラザラの岩肌が足底に吸い付くようで気持ちい。下部は飛騨帯変成系の岩だが、上部は流紋岩質となり少しだけヌメリと脆さが出る。標高1000mからはスラブ滝連瀑帯となる。右岸から巻き登りしたが、スラブ系の沢らしく甘くない。ここから中盤は気持ちの良い小滝登りと時々現れるナメを楽しもう。1418mピークに向かおうとしたら悪い滝が出てきたので少し戻って尾根を乗越す別の沢から途中谷へ降りる。上部は非常に降りやすいの助かる。途中谷は登られることは多くないけれども散発的に出現する滝の形は面白いのでこの山域の入門には悪くないかも。最後に堰堤が2つ出てくると取水導水の巻き道が現れ林道に出る。
沢慣れしたパーティーならば早立ちして昼には終了するだろう。よく考えると富山からは海谷に向かうのと同じ距離と時間である。スタートが遅くなっても一泊するつもりで気軽に訪れるのもいいかも。
<アプローチ>
ホワイトロード(旧スーパー林道)の料金所手前のゲートが7:00~19:00に締まるようになっている。初日はどんなに早くても7:00からしか車が入れないことに注意。なお、前日からゲート内に入っていれば問題なく早立ちできる。或いは早朝にゲート手前に駐車して自転車で中宮展示館へ向かうのもいいかも。中宮展示館に車を駐車して蛇谷本流を少し歩いて入渓する。下降は途中谷が無難である。途中谷の下降は取り立てて難しくはないものの、慎重なクライムダウンと複数回の懸垂下降を要する。
<装備>
カム少々、ピトン数枚。足回りはフェルトでもラバーでも大丈夫
<快適登攀可能季節>
6月~10月。オロロが酷い地域なので注意。
<博物館>
中宮展示室:一般的な日本の動物に関する展示は普通だが、中宮の歴史が面白い。出づくりでの生活や学校といった近代山人の生活を垣間見れる。昔から発刊している「白山の自然誌」は地域を概観するには好適で全号PDFで無料閲覧可能。いい時代だなぁ。
<温泉>
中宮温泉露天風呂:歴史1300年という由緒ある温泉で24時間入浴可能。ただし、洗い場やシャワーは無くもちろん石鹸も無い。飲用温泉としても用いられており、胃腸の霊泉と呼ばれる。確かにおいしい。源泉かけ流しなので体を綺麗にするというより温泉に浸かって楽しむスタイル。
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