富山から行ける冬のクライミングゲレンデといえば言わずもがな錫杖。近年、早朝駐車場の便が悪くなったとはいえ明神2263峰周辺を要する上高地もよい練習場である。しかし、北アルプスでのクライミングは氷雪の影響を強く受けるがゆえ、フッキングやフットホールドに乗る感触を確かめるように登のが難しいのも事実である。
その点において足尾の岩場は気候はマイルドかつ純粋な岩登りとなるので、爪先の感覚を研ぎ澄ますことに集中できるのがいい。ウメコバ沢中央岩峰正面凹角(大凹角とも呼ばれる)は足尾の看板ルートと称される。登ってみて正しくその通り、ラインの合理性、内容、難易度どれをとっても特級品で楽しいの一語に尽きる。1~3ピッチはクライミングは相応に難しいもののラインは明瞭だし、プロテクションは抜群に良いので悪さは感じない。ドライツーリングするために岩があるのではないかという位に掛かりのいい岩が気持ちよく、とろけそう。4ピッチ目がルートファインディングが必要となり、ラインを誤ると大変難しくなりしかも岩が脆いところに入る。正規ラインでも支点が取りづらくなるようで、実質の核心は4ピッチ目なのではないだろうか。あとは比較的優しいクライミングを2ピッチで稜上へ抜ける。
充実のクライミングの内容と特異な景色は足尾ならでは。このルートが北関東の冬壁愛好家のスタンダードなのだろうか。足尾でマルチピッチ難しい冬壁シリーズが拓かれると面白そうだ。
<アプローチ>
富山からは言わずもがな遠い。上越から下道に降りて湯沢インターから沼田まで行き、山越えで銅親水公園まで行く。大体5時間半くらい。ベースは割と自由に設営できる。かつて鉱毒汚染された川も今は飲水可能である。ウメコバ沢内は要所にフィックスが張ってあるものの傾斜が強いところが多いので出合でアイゼンを履いたほうがいい。クライミング後はフィックスロープの方向へ下降していくと、懸垂下降用のフィックスが現れる。このフィックスで懸垂した後は歩いて取りつきに戻れる。
<装備>
カムを1セット+2番までをもうワンセットあるとよい。トライカムは要らない。ピトンはあったら使える。
<快適登攀可能季節>
多分年中楽しめる。
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