2018年3月19日月曜日

スバリ岳中尾根














屏風尾根を登りスバリ岳を眺めると、山頂へ伸びる2本の岩尾根が否が応にも登高意欲を掻き立てる。スバリ岳中尾根と西尾根主稜である。西尾根主稜は黒部湖から続いており、稜線上から眺める部分は側稜でちょっと興味が薄れる。一方、スバリ岳中尾根は迷い無く一本の尾根となっているので美しい。

その登攀内容はというと、コンテを含めて7Pと短いが一級品の岩稜登攀だ。岩塔の傾斜の強い部分ではⅣ~Ⅳ+級程度のピリリとした瞬間最大風速も吹くので侮れない。北アルプスの岩稜らしく脆い部分も多いので山屋的な能力が問われるのも大変面白い。P5~P2の各岩塔への登高ラインは比較的自由度があるが、ギャップとなって繋がっていない部分も有るかもしれないので注意が必要だ。

この尾根を登って個人的に大変意義深い発見をした。スバリ岳は花崗閃緑岩で構成されている疑いがあるということである。岩の外観と性質が剱岳や龍王岳とそっくりだったのである。その為登攀内容もそれに類しスラブが中心でホールドも逆層な部分が多い。また、草付きの発達も乏しい。スバリ岳は大スバリ沢や北西壁など赤沢岳の岩場と同じ岩だと思っていたが、今は違うような気がしている。赤沢岳の岩場はもう少し早く冷却されたタイプか、後の火山活動によって変成したタイプなのかもしれない。では、どこがその境目かというと2569mのピークではないかと感じた。素人の戯言ではあるが登攀の際には考察していただければ幸いである。

クライミングが楽しめる岩場が幾つもあってその性質が違っていると本当に面白い。その点において赤沢岳とスバリ岳の魅力は穂高にも勝るとも劣らない。クライミングの質においても言わずもがなである。この愛すべき富山県内(実は立山町)の岩場を末永く楽しみたい。

<アプローチ>
日向山ゲートから扇沢まで歩いて大沢小屋から屏風尾根に取り付く。屏風尾根の稜線直下は絶好のベースキャンプ地である。スバリ岳方面へ行き、2580mコルの辺りから適当にトラバースして中尾根末端P5へ取り付く。日向山ゲートまで富山市内から国道8号~148号で3時間と少々。

<装備>
カム一式、ピトン各種、トライカム、ボールナッツが有効

<快適登攀可能季節>
12月~4月上旬 3月になれば積雪状態次第で1泊2日で大スバリ沢や北西壁を併せて2本登ることが出来る。概念を把握していて気合を入れれば日帰りも可能だと思う。ただ、扇沢は東面なので谷筋をアプローチにするのは賢明ではない。

<博物館など>
大町山岳博物館:資料館が素晴らしい。剥製の展示も豊富で躍動感、物語性があり見入ってしまう。ボルダリング壁も一回100円で一日利用可。

塩の道ちょうじや:庄屋であった平林家を展示。千国街道から運ぶ塩は瀬戸内産だったそうな。北前船で糸魚川まで運ばれ、そこから大町まで運んだとか。にがり甕の知恵に感動。

<温泉>
上原の湯:410円で石鹸&シャンプーが付いている温泉。
薬師の湯:温泉博物館と酒の博物館が近くにある。
みみずくの湯:白馬にある日本有数の強アルカリ泉。入って損は無し。

<グルメ>
昭和軒:大町駅近くにあるカツ丼の店。大盛りはプラス100円で凄い量が食べられる。

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