越中と飛騨を結んでいた街道の中で最も交通量があったのが飛騨西街道である。富山湾から年取り魚の鰤を運んだことから鰤街道という別名が与えられ多くの人に親しまれている。もう一つの街道として、飛騨東街道がある。この東街道は高原川の左岸に付けられている中道と右岸に付けられている東道に分岐するが船津で合流する。中道の蟹寺は安藤広重も描いた「籠の渡し図」で有名だ。飛騨西街道は商人や杣人の通行を主とし、東街道は長棟や茂住にある鉱山関係者の通行が主であったという。
さて、東街道中道の西茂住には「諏訪の滝」と呼ばれる滝がある。これは現在の国道41号線スノーシェッドの隙間から辛うじて眺めることができるが、九十九折りのスノーシェッド内では酔狂な沢屋以外は気に留めることは無いだろう。国土地理院発行の地図にも名称記載されていないし、地形図で沢登りが楽しめそうにも見えない。でも、見つけちゃったからには訪れるしかない。
中道は新猪谷ダムから続く送電線巡視路として未だに現役である。途中凡兆岩という句碑が残されている。野沢凡兆は芭蕉の弟子で彼を敬愛する加藤さんという人が江戸時代に掘ったらしい。凡兆岩を過ぎるとすぐに諏訪の滝沢(仮称)である。諏訪の滝は水量が少なければ左から登り、流心を跨ぎ登れそうである。雨後で水量が多く筆者らは右岸から巻いた。その後10mの滝と幾つかの小滝を登り終わると、あとはガレが続き沢登りとしては終了となる。
街道のすぐ近くを流れる滝というのは大変良い。古道を踏みながら山登りが楽しめるとあれば一石二鳥である。このほか越中ではマイナーな双体道祖神があったりして文化圏の境目も味わう充実した一日を過ごすことができる。
<アプローチ>
東茂住で高原川の左岸に渡りちょっと細い作業道を走らせて新猪谷ダムまで行き駐車する。ただし、仕事を行う人がいる場合もあるので道の途中の広いところに駐車する方が無難に思う。ガレ登りを耐えて稜線まで行くのであれば南側か北側の谷を降りる事になるだろう。
<温泉>
楽今日館
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