2021年7月26日月曜日

二又川 ヤスタテ

 











 二又川の支流の登山記録は多くない。古くから猟師や杣人に親しまれてきた山域だし、地元の山岳会はきっと古くから調査を行ってきたので地道に探せば見出すことができるのだろうが、如何せんそれが難しい。それが叶わないのであれば、まずは訪れてみるしかない。
 二又川支流のヤスタテは流域の中では急峻な谷表現がなされており、何かありそうな匂いを感じる。しかも、上部には岩崖マークが付記されこの山域特徴のスラブなのでは・・と期待は高まった。そしてそれは確かにあったのだ!!
 出合はこれといった特徴もない谷でちょっとした小滝で標高を上げる。懸案の520m付近には15mの美しい滝が掛かり、その上部は期待通りの幅広スラブ滝が展開していた。段瀑状の下部はロープを使用せずに直登したが、最上部のスラブは確保を要した。それ以降もスラブ滝や登れる小滝が続き遡行は楽しい。最後まで楽しめる渓相のまま、無名ピークの肩へと出る。

手近な場所にヤスタテがあったら、そこそこ人気の沢になっているのではないだろうか。これだけで訪れるのは難しいので継続遡行で訪れるのがいい。板尾大谷側から山越えのを一泊二日で計画したら面白いだろう。

<アプローチ>

ヤスタテは地形図に谷の名称が示されていない、二又川標高425m付近左岸から合流する支流である。林道をやたらと歩く羽目になる犀川ダムから入山するよりも順尾山登山道から沢を下降して取り付くのが良いと思う。或いは刀利ダムから小矢部川上流部へ車で入り、山越え入山だろう。下降は北側の支流である白山谷か南側のセト谷を下降することになる。筆者らはセト谷へ下降した。上部は下ヨコビヨ谷という名称なのだが、上部は癒し渓、970m付近からは連瀑帯で30mクラスの大滝の大滝も有する興味深い渓谷であった。これを遡行するのも面白そう。




なお、この山域における各支沢の名称は長崎幸雄著「わが白山連邦~ふるさとの山々と渓谷」に詳しい。


<装備>
スリングとピトン

<快適登攀可能季節>
7月~10月 早い時期だと残雪が残っているはず。7月末から8月末まではオロロが発生するので避けた方が良い。

<温泉>
福光温泉:刀利ダムから降りるとすぐにある温泉。さっぱりとした天然温泉で毎日は入れる地元民の憩いの場。

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