六百沢の岩場は雪崩のリスクを除けばダブルアックス入門にぴったり。ウォーターアイスの大滝とミックスの側壁、緩傾斜ベルグラから始まり意外にスケールのある右岸支流。どれも困難度は高くないが小さなエリア内ではあるが色々なクライミングが楽しめる。
大滝のあるルンゼの上流右岸に見栄えのする凹角があり気になっていたので登ってみた。登り始めは若干かぶり気味で草付きダブルアックスにパワーを要するのももあとは緩傾斜の容易な雪面となり60m1ピッチで尾根状の樹林帯に出た。カッコいい見た目とは異なる意外な内容に驚いたが、これもまたよし。
登ってみて気が付いたが、この岩場には落ち葉が堆積していたり苔が露出していたりと明神2263峰の岩場とは異なる雰囲気を強く感じた。明神が安山岩質溶岩に対して六百沢は風化した花崗岩で、明神が南面に対して六百沢は北面である。この岩質と方角の違いによるものだろうか。それとも冬期上高地周辺に特有の日中梓川下流から穂高主稜線側へと吹き上げる強い風の有無の影響だろうか(この方角の風が卓越する理由は考えてみてね)。落ち葉や苔が堆積していると表層を流れる水の表面積が減少するため、氷の発達が少なくなるだろう。スラブのベルグラ発達が悪かったのはそのためだろうか。もちろんこれらの現象の原因は一つではないだろう。あれやこれやと自然の摂理に思いを巡らせるのは至福のとき。そのきっかけとなった右岸凹角はやっぱりいいラインであった。
<アプローチ>
六百沢の入り口は解り難い。初めてであれば明るくなってから取り付いたほうが無難。六百沢はゴルジュ地形内にルンゼが多く集まっており、非常に雪崩のリスクが高い谷である。北面であることを勘案すると、一雨入り冷え込んだタイミングが安全でベルグラの発達も期待できる。
<装備>
カム少々
<快適登攀可能季節>
1月~3月くらい。
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