2026年6月15日月曜日

金木戸川 葡萄大谷左俣









 金木戸川の上流域は興味深い渓谷が多い。翻って下流域はというと直線的で一様な傾斜な谷が多く遡行意欲はあんまり沸かない。そんな下部で最も面白そうなのは葡萄大谷であろう。葡萄大谷は左俣と右俣が序盤で分かれるのでどちらも楽しめば2度おいしい谷である。特筆すべきは森の美しさでサワグルミとトチの天然林は明るく爽やかで癒しの時を過ごすことができる。

 左俣に入ると直ぐに連瀑帯となる。登るのはとても難しそうな雰囲気なのでおとなしく高巻く。巻きはそんなに悪くない。右岸を高巻いていたら驚くことにトラロープが張ってあった。山仕事か釣りであろうか。連瀑帯が終わると谷は一気に落ち着いた雰囲気になる。1250mの平らなところまではゴーロを基調としつつも沢登りらしい小滝も出てきて楽しい。危なさや難しさは無いので気楽に登れるのがいい。1250mには地図には示されていない下佐谷へと通じる林道が横切る。一旦杉の植林となるが直ぐに元に戻る。苔むした岩の周りは山葵が群生しており有難くいただく。筆者らは1440mを左俣へ入り金木戸川へ下降したが、藪漕ぎは最後の高差50~70m程度でそこまでひどくなかった。下佐谷方面へ降りてみるのも面白そうだ。

 同じ行程を日帰りすることもできるがそれは勿体ない。葡萄大谷の魅力はのんびり行程で山の恵みを感じることにある。富山の渓谷に漂う登山者を拒む雰囲気はなく、身体が自然に馴染んでいくのが気持ちいい。こんな渓谷が市内から一時間ちょっとで行けるのというのは実にありがたいことだ。

<アプローチ>
双六ダム手前に駐車して歩いて葡萄大谷出会いまで行く。双六ダムはR8年まで工事中のため工事実施日は上流に車を入れる事が出来ない。昔は金木戸川の上部まで林道が入れたものだが、今はゲートは解放されていないし、鍵は割合厳重。葡萄大谷左俣は穏やかで幕営場所に困ることは無い。薪が豊富な適当な箇所で泊まればいい。筆者らは1804mピークの東肩コルより金木戸川へと下降した。下降した沢は1220mと金木戸川合流手前50mに大滝と連瀑となっているが難しい下降ではない。

<装備>
筆者らが登ったラインであれば登攀具は不要。懸垂用にロープ

<快適登攀可能季節>
5月~10月 高原川流域にアブはあんまりいない気がする。

<温泉>
割石温泉

<博物館など>
江馬氏館跡公園:江馬氏は室町時代~戦国時代に北飛騨地域を治めた豪族武将である。その時の武将が室町時代に命じて作庭させたのが会所庭園である。来客をもてなす為に作られた石庭は失礼ながら地方豪族が設計したとは思えない瀟洒さで都の風を感じる。作庭費用は鉱山で得た資金を投下したのであろうか。飛騨が天領となった元禄以降は田に埋められてしまったが、昭和に発掘され再現されている。すごくいい庭なのにお庭を眺めながらお弁当を食べられるというフレンドリーさよ。

高原郷土館:鉱山資料館、神岡城、旧松葉家と3つの博物施設が集まった公園。神岡城内では神岡の歴史を概観でき、鉱山資料館では昭和における採掘~精錬までの工程をビデオで学習できる。鉱山資料は少し情報が古いものの鉱業の現場を知ることができるので貴重。そして最も推したいのが松葉家。神岡に現存した合掌造りで農具、山仕事道具(刃物含む)養蚕具が3階建ての中に所狭しと並ぶ。背の高い人は上階で頭をぶつけないように注意。
なお、近現代の生活に関する書物は「奥飛騨山郷生活文化の記録」が面白く、土木開発については「土と木と水と人と : 建設概史」が概観にふさわしい。どちらも国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可


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