白山はでかい。そして白山の沢もまたでかい。尾上郷川は流域としては決して大きくないが集水面積は広く、岩質も火山岩、変成岩、堆積岩と豊富である。急峻な地形が多くないので滝を登ったりして楽しむ沢登りの対象が多くないのが実情ではあるが、自然に親しみのんびり過ごすのには良いエリアではないかと思う。安全で容易なアプローチの林道があるので登山を目的としない愛好家にもお勧めしたい山域である。では、滝を登ったりする対象としたときに面白いのはどこだろうかとなると、2箇所なんではないかと予想される。花崗岩と火山岩が分布しているカラス谷までの下流域と急峻で開析された別山付近である。一方、綺麗なナメがありそうなのは比較的新しい火山活動で硬い岩がありそうな大日ヶ岳~丸山の上流域ではないかと思っている。滝を登るにせよ、ナメを楽しむにせよ土砂の堆積量や植生との勝負なので行ってみないと分からないのが面白い。
750m左岸支流であるワサビ谷は御母衣ダムのバックウォーターに閉ざされる期間が長いため、行きにくい谷である。滝登り楽しい系として気になっていたが、やはりその通り楽しい谷であった。下部の大滝を巻くと美しい森が広がる。ここはこの辺に多い白亜紀の花崗岩だが比較的安定しており、苔が美しいしっとり渓。時折現れる滝は不思議と二段滝が多く美的ポイントが高い。1100m付近からは白山ではおなじみの硬い火山岩となり、滝登りとナメが楽しめる。白山の火山岩は赤色と青色があるがここは赤系。上流の登り楽しいゾーンはロープを出さずに登れて爽快そのもの。上手く流水溝をついていけば濃密な笹薮は回避できる。日照岳には最近登山道が拓かれた。いつなくなるかわからない道はレアなので歩いた方がいい。植生が変化する面白い道で秋山の恵みもいただくことができた。眺望もいい尾根なので大切に歩かれてほしい道である。
ワサビ谷は日帰り渓としては良質な谷でクライミングに心得があれば沢慣れしていない人でも存分に楽しめる。初心者に沢登りの楽しさを味わってもらうにはぴったり。秋限定なのでキノコや紅葉と併せてぜひどうぞ。
<アプローチ>
尾上郷川の林道を歩いてワサビ谷出合手前まで歩く。出合まで歩くと下降しずらそうである。バックウォーターが少ない時期を選んで渡渉して取りつく。日照岳は登山道が拓かれていなかったが、2024年に開拓された。筆者らは新道を堪能したが、保谷を下降するのも一興。
<装備>
出だしの15m滝の右岸でロープを出したほかは出さなかった。スリングのみでOK。ヌメリがあるのでフェルトの方がいいかも
<快適登攀可能季節>
バックウォーターが無い時期。
<温泉>
大白川温泉:硫黄泉ーナトリウムー塩化物泉。洗い場は無いので石鹸をもって行こう。道の駅にも温泉が併設されているがこちらはあっさりとした泉質。
<博物館>
白川郷の古民家には生活の知恵が詰まっている。一度は行っておくと良いでしょう。世界遺産だし。自然に溶け込んで非常に理にかなった建物である。
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