2023年8月1日火曜日

笛吹川東沢 法螺の貝~釜ノ沢
















何たらの名山、かんたらの名山と称される山があると登りたいと思う。誰かが良いといった事柄には何か理由がある訳で、それが言われ続けているのであればやはり魅力があるのだろう。他者の価値観に相乗りすることは決して悪い事では無く、新たな発見の種と捉えたい。数多ある国内の名山業界の頂は深田久弥選の日本百名山ではないだろうか。これまで幾つ登ったのか分からないが、本州中部の百名山山は登った。と思っていた。何!甲武信ヶ岳は百名山とな。ならば、法螺の貝から釜ノ沢を経て登る豪華絢爛コースから登るしかない。

富山からのロングドライブを経て到着する西沢渓谷入り口は想像以上のハイカーで賑わう。首都圏から近く美しい渓谷が手軽に親しめるためだろうか。登山者以外にも気軽に自然に親しみ楽しんでいる人がいると何だか安心する。
全然調べていないため、どこが法螺の貝ゴルジュなのか解らないまま、最初に出てくる滝を登る。滝の左に良いクラックがあり登り易い。後から、ぐーと狭くなるところが出てきてそこが法螺の貝ゴルジュだった。アベレージより水量はずいぶん少ないようで威圧感なく楽しめる。4mくらいの滝の左岸を登るところが悪くフリーだと5.10bくらいだと思う。カチ持ちからのスラブ面立ちこみ、ガストン切り返しと結構ムーブがあったような。この部分は残置は無いし、丁度いいリスとクラックもないので否応なしにフリークライミングとなるかも。あとは泳いだりヌメヌメをロープ出して登ったりしたら終了。ゴルジュ以降は川原歩きが続く。東のナメ沢なんか壮観で登ってみたくなる。所々現れるナメ滝と釜にうっとりしながら釜ノ沢へ。ここもナメ滝が続いたのちに広河原に出て以後はガレがメインで散発的にスラブ状を巻いていく。甲武信小屋に直接出る沢が容易そうだったので、そちらを選択するとポンプ小屋に出て道を使い登山道へ出る。甲武信ヶ岳の山頂は想像よりずっと素晴らしく眺望をたのしんだ。たまには遠出でメジャーな山も悪くない。沢の中に看板が有ったり、巻き道が示されていたりと吃驚するよ!

ところで、時代は価値の多様化甚だ著しい令和である。もっといろんな名山を選定して広く登山普及を狙ってはどうだろうか、水、土壌など環境DNAを指標にした生物多様性の名山、逆の生物多様性が低い名山というのも面白そうだ。他にも日本有史以来歴代総生産額(GDP)百名山、陸生貝類の名山、土木建築の名山、北東の風が卓越する名山、土壌カンタリジン濃度が高い名山、ハネカクシ生息の名山、ドロムシの名山、木地師の名山、アニメ聖地の名山など幾らでも指標設定はできそうな気がする。何を指標にするかによっては全ての山が名山に成り得る。そうなれば誰でも山に登ってみたくなるかもしれない、裾野が広い遊びなのである。名山とは心の所作、いつも心に名山を。

<アプローチ>
西沢渓谷入り口に市営駐車場があるのでそちらに駐車する。うっかり遅出すると満車となり、売店横の有料駐車場を利用することになる。少し林道を歩いてから鶏冠沢手前の吊り橋付近から川原を歩き始める。下山は登山道を利用すると楽。早立ちすれば日帰りも可能だが、富山から遠いのでのんびりお泊りした方が楽しい

<装備>
カム少々、ピトン(ナイフブレード、ペッカー)、持って行かなかったがクライミングシューズが有効だと思う。足回りはラバーソールの方が登り易い。ウェットスーツも有った方が快適

<快適登攀可能季節>
全然知らないけど水遊びなら7月~9月が快適そう。

2023年7月24日月曜日

日野川 大河内川前谷支流源平谷

 











登れる小滝が続くというのは沢登り愛好家が最も惹かれる内容ではなかろうか。大河内川の源平谷はまさしく登れる小滝がじゃんじゃん続き、その最後は眺めの良い山頂へと至る。沢屋にとって完璧な沢である。

出合からいきなり滝になっている。ここからノーロープで登れる小滝が続く。やがて一旦緩むが670m付近からは再び連瀑。一見のぼれそうにないすらりとした直瀑は滝左をカムを使ったフリークライミングで楽しい。小滝を挟んで現れる4連瀑は3段目を如何に登るかがポイントとなる。雪国らしいプロテクションワークを活用すれば割合安心して登ることができる。更に続く20m2段滝は難しくはないもののヌメリがきつく少し支点が取りづらいので緊張する。以後も最後まで小滝が連続するが、部分的に侮れない所も有り油断ならない。山頂は通称ロボットピークという奇抜さ。完璧である。下山は折角なので大河内川方面へ下降することを推したい。登山道が無い山は谷を繋いで楽しみたい。比較的下降し易い谷だが懸垂下降を含み時間がかかるので注意。

あれ、そういえばロボットってどういう意味だっけ。アンドロイドとロボットって何が違うのだ?

<アプローチ>
広野ダムから日野川上流へと向かう林道へと車を走らせる。林道途中に取水堰堤があり、そこから先はダートとなる。道が悪く転回も難しいので無理せず早めに駐車が吉。日野川400m地点左岸より流入するのが前谷である。前谷500m付近右岸より流入するのが源平谷である。これを詰めると1290mの通称ロボットピークである。少し藪が低く眺めは大変良い。下降はロボット尾根という北西稜も下降できるようだが、筆者らは大河内川長トコ谷を下降した。長トコ谷は総じて下降しやすいものの懸垂下降は複数回行う必要がある。長トコ谷中で大きな滝がある地点は両岸切り立っているので、大高巻きをするより滝の近くを早めに懸垂して川床へ降りた方がいいと思う。

<装備>
カム少々、草を束ねてプロテクションにするので長いスリングを多めに持って行くといい。磨かれているがヌメリもあるのでフェルト推奨。

<快適登攀可能季節>
6月~10月。標高は低いし長期間たのしめるのではないかと思う。

日野川 大河内川前谷支流スギ谷












登山道がある山はよい。登山道の無い山はもっとよい。奥美濃は道路のアプローチが良いにも関わらず、国境稜線に道が無い山が多い。そんな山に突き上げる谷は地形図で魅力的に示されており、事実大いに沢登りが楽しめるのである。

スギ谷は前谷の中でも易しい沢であるが、美濃俣丸へ直接登ることができる。前谷に入り、胸までつかる小滝を登り少し歩くと入り口である。出合いからいきなり見所核心でゴルジュ状に小滝が連続する。ところで、奥美濃といえば付加体の山である。この地域は砂岩&泥岩の変成岩というのだが、水に磨かれてつやつやした見た目は火山溶岩や火砕流と一見して違いが読み取れない。珪質成分が豊富な砂岩が変成したのであろうか。泥岩の方も海谷のそれとは全然違っている。なぜこのような違いが生じるのか、そもそも本当に付加体なのだろうか。思いを巡らせる時。やはり全国の山に登るのは楽しい。谷の傾斜が一旦緩むところは水の流れが広がりサワグルミの森が広がる。夏の日差しは葉を通りやわらかになる。その光は玲瓏で希望に満ちている気がする。しみじみ山登りをやっていてよかったなぁと思う瞬間だ。あとは淡々と標高を上げて美濃俣丸へ。山頂の藪は薄くなっており眺望のよい山。日差しは強いが乾いた風が吹き抜け気持ちがいい。下山も登山道は無いのでどこかの沢を下降することになる。美濃俣丸から金ヶ丸谷へと下降して継続しても面白い。

<アプローチ>
広野ダムから日野川上流へと向かう林道へと車を走らせる。林道途中に取水堰堤があり、そこから先はダートとなる。道が悪く転回も難しいので無理せず早めに駐車が吉。日野川400m地点左岸より流入するのが前谷である。前谷480m付近左岸より流入するのが杉谷である。美濃俣丸登頂後は鈴谷川美濃俣谷を下降する。美濃俣谷は下降しやすい谷で楽勝。

<装備>
下降用に念のためロープ。磨かれているがヌメリもあるのでフェルト推奨。

<快適登攀可能季節>
6月~10月。標高は低いし長期間たのしめるのではないかと思う。

2023年6月29日木曜日

寂地山 深谷川 河津峡







文字は人類史上最大の発明だと思う。意味と音を記号を組み合わせ表現するなんて思いつくとは狂気じみたていて人の所業とは信じ難い。加えて世界にある文字はどれも芸術的造形のようで見ていて楽しい。漢字の表語文字、音節文字のひらがな&カタカナ、音素文字であるアルファベットと複数文字を扱う本邦に出生したことは実に幸運であった。

寂という文字が好きな人って割といるはず。仏道に関する意味と結ばれる文字で落ち着いた雰囲気があるうえ、じゃくという音も面白い。寂好きは歌人や仏門に多いが、その方面に縁がない筆者も寂フリークの一人である。

となると行かねばならぬ。寂地山へ。寂地山では既に犬戻峡を味わったので、次にお手頃な河津峡へ向かう。入渓して直ぐに長ーい美ナメが迎えてくれる。開けた明るい谷なのでキラキラで気分がいい。林道がすぐ横に有るけど、そういう時はナメと林道の対比を楽しめばいい。原始状態も良いが人類とのコラボも良かろう。やがて2段の大きな滝が現れる。滝芯は登れないけど近くのルンゼを登ることができるし、大きく巻くのも難しくはない。以後も綺麗な景色と富山とは異なる森の雰囲気を味わっているとヤブコギも無く山頂付近の登山道へ飛び出した。山頂の展望は無いがブナの優しい空気に包まれた美しい山である。

ところで、山という字は形としてはギャグ要素があっていいけど、競争的にも感じられるんので好みではない。祈★ピース。真ん中の棒を左右同じ高さに揃えた。そして横向きにしたらEになった。形の均衡を保ったらEquilibriumになった。うはーダブルミーニングおもろ。あ、横向きにしなかったら歯ブラシみたい。そういえば家の歯ブラシふしゃふしゃで平和主義的山文字とかけ離れとるわ。買いに行かんと。といった具合に場合によっては新たに歯ブラシを買いに行くことを思い出させてくれるのが、本邦の文字文化なのである。我が国は沢登りもできて文字で遊べるいい国だなぁ。

<アプローチ>
特定の駐車場は無く、民家の周辺に駐車せざるを得ない。橋の袂の少しだけ広いスペースに邪魔にならないように駐車させてもらう。林道をしばらく歩いて綺麗な雰囲気のところになったら適当に入渓。下山は寂地山から南下する登山道を利用すると早い。登山道の状況が分からなかったので、右谷山まで行かずに適当な所から左岸支流へと下降して林道に戻った。

<装備>
スリングのみでOK。たぶん。

<快適登攀可能季節>
3月~11月。たぶん

2023年6月20日火曜日

野積川 真川谷本谷














 無雪期、県内で一番好きな山は白木峰かもしれない。思い立ったらふらっと行けるのに、池塘は綺麗、森もいい感じ、山菜も取れて釣りもできる。この山の一番の適期は6月から7月のお花のシーズン。夜明け前から登り誰も居ない浮島の池でのんびりするのがいい。

 ハイキングでは言わずもがなの名山だが谷も滋味に富み味わい深い。真川谷は県内では有数の遡行距離が長い沢である。小気味よく小滝が連続する東又谷と白木峰に詰めあがる本谷が割合スケールも有る良き沢だ。本谷は下部標高800m地点まで発達したゴルジュが散発的に表れる。ゴルジュ地形となっている箇所は明確に石灰質片麻岩(大理石のような岩)に角閃岩が交じり合い芸術性に富む。技術的にはさほど難しくはないものの、ピリ辛要素もあり楽勝でないためロープでの確保は欲しい。800m以降も美しい小滝と温かみのある優しい森に抱かれながら楽しく遡行する。浮島の池へ直接ぬけるため1080mから左俣へ入った。不思議なことに左俣へ入ると割合直ぐに水が伏流する。水が涸れた石灰質片麻岩の川原は白く眩しい。岩の白に木々草木の緑が一層映えて嬉しい。水が流れないと鳥のさえずりも澄みわたり、のんびりしたくなる。辿り着いた浮島の池ではワタスゲが満開。一輪だけ咲いたニッコウキスゲもまたよかった。

山登りの魅力が濃縮されあらゆる要素が散りばめられたルート。総合点で県内屈指の名渓と評したい。難渓指向派には物足りないかもしれないが、逍遥系をお好みならば是非ともどうぞ。

<アプローチ>
白木峰の登山口へ車を一台デポしてから猟師ヶ原堰堤へ行き入渓。山頂からは小白木峰へ行って第四発電所へと下降するルートを推奨したい。こちらの方が池塘が美しく森も綺麗。

<装備>
ピトン少々。足回りはフェルト

<快適登攀可能季節>
7月~10月。6月中旬~7月上旬に訪れてほしい。

<温泉>
大長谷温泉:小さいけどアットホームな良いお風呂。露天風呂はいつもぬるい。

2023年6月11日日曜日

虫川 150m左岸支流








青海の岩場のコンディションは読みにくい。石灰岩のため遅れてくる染み出しで登れない事もままある。そんな時は近くにある山でハイキングや沢登りを楽しんで乾きを待つのはどうだろう。

虫川150m左岸支流はフリークライミングしかやらない人ともOKなお気楽な沢だ。川床の濃いしはチャートの赤い岩で鮮やかで印象的。入渓してしばらくは広い川原状を気持ちよく進む。春はコゴミやウルイといった山菜が得られるはず。やがて谷はゴルジュ地形を呈する。何か出てきたらどうしようと不安になるが、安心してください登れますよ。時折現れる小滝は簡単でロープは不要。ただし、ホールが乏しいので少しだけ注意である。のんびり、ゆらゆらと登っていくと林道へ到着する。林道歩きの帰りには不動滝を見物してくといい。

青海に行く前の朝活、乾き待ち、午後の日陰タイムまでの時間調整、夕飯のお采採取など意外に利用価値が高いように思う。これだけを目的とするのは勿体ないので、他の遊びと合わせてどうぞ。

<アプローチ>
青海から行くならば岡倉谷林道を利用する。千丈峰の大ギラ、小ギラ、中ギラのスラブを見物しながらの運転は楽しい。ただ、ちょっと運転距離が長くなるので虫川集落から行く方が合理的かも。入渓場所の駐車スペースが広いので心配はいらない。帰りは林道を歩く。

<装備>
何もいらない。やや滑りやすい岩なので注意。

<温泉>
帰りしなならば、朝日町の境鉱泉、たから温泉といったナトリウム泉の温泉がある。500円くらいで入浴可能

<快適登攀可能季節>
5月~11月

<博物館>
糸魚川有るフォッサマグナミュージアムは素晴らしい。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

翡翠園:散策可能な日本庭園。よく考えられていて、どこから見ても趣が有る。島根県足立美術館の作庭が有名な中根金作による庭園である。構成から考察するに、彼はあの巨大なヒスイ原石を嫌悪していたのではないかと邪推してしまう。

玉翠園:同じく中根金作による庭園。こちらは観覧庭園でガラス越しにしか眺めることは出来ない。柔らかな丘による高低が印象的。

神通川支流 長良谷

 







 神通川では神岡から楡原の区間は右岸と左岸で地質構造が異なる。左岸は飛騨帯由来の花崗岩で右岸は堆積岩のように示されているのだ。この左岸側の沢について、これまで宮川水系では比較的探索してきたが、神通川本流に流れる支流は未訪であった。これだけ近いにも関わらず、このような体たらくは一重に不徳の致すところ。余りに短くて一日休日で行くには勿体ない、というケチ根性が良くなかった。それならば雑穀へ行く前に朝活でいくぜよ。

 長良谷といっても地形図に記載が無いため恐らく誰も分からない。神通川標高120mの左岸に流入する沢である。洞門にその名が示されているので沢名が推定できた。入渓すると意外に森の雰囲気と沢がマッチしていていい感じ。倒木や木々が覆いかぶさるような沢を想定していたので嬉しい誤算である。地質図通り花崗岩質であるために、マサ化した砂が堆積し水深は浅い。しっとりとした緑をゆったり味わいつつ、318mの左岸支流前へ到着。この左岸支流の入り口はスラブ状の滝で直登は難しく、滝の近くを登るのも中々悪そう。無理せず右岸から巻きあがる。以後も花崗岩質の滝が散発的に表れて楽しめる。飛騨帯の花崗岩のイメージは宮川水系で固着していおり、崩壊沢多しという印象だったがここは異なる。滑らかなスラブ滝が多い。宮川水系では花崗岩とその他の岩が圧力変成しており、違う岩体の接触する箇所で花崗岩が脆弱になっているのかもしれない。とは言え、脆いことは脆いので詰めまで慎重に登ろう。657mのピークを踏んで一本北の松ヶ谷へ下降する。こちらもスラブ滝が多い谷で上部には意外に滝が多かった。出合い付近が藪っぽいのが不思議である。

 小さい谷ではあるが予想以上に楽しめた。周回して正味4時間程度だったと思う。久婦須川水系へ下降して1日コースで継続するのもよいだろう。朝活はもちろん、初めての沢登りにも良いかもしれない。でも、特別綺麗だったり華やかな滝の登攀は無いからね。行って外れだったとか言わないでね。行く方は過度に期待せずによろしく。

<アプローチ>
庵谷の旧国道41号線が新国道41号線と合流する手前の駐車スペースに停める。長良谷は橋の袂から下降できる。谷へと降りると鉄道管理用の歩道が脇にしばらく続いている。どこへ詰め上げてどこを下降するかにも依るが、筆者は一本北の松ケ谷を下降した。




松ケ谷の下降は難しくは無いが、スラブ状の滝が多くクライムダウンしずらい。巻きおりようとすると寧ろややこしい事にもなりうる。面倒がらずに懸垂下降したほうがいい。

<装備>
下降用にロープ

<快適登攀可能季節>
5月~11月。沢はじめや秋の紅葉シーズンにいいと思う。

<温泉>
楽今日館