2022年5月30日月曜日

久婦須川 イオリ谷


 




 富山県内の河川すべてで一般的に楽しいと考えられる沢登りが出来るわけではない。県西部に目を向けて地形図を広げてみよう。久婦須川、野積川、大長谷川、百瀬川、利賀川では南北にほぼ直線的に流れている。これらの河川の支流を見ると、これまた直線的に少ない集水面積を短距離で稜へと上がるものが多い(野積川は比較的やや大きな支流を有する)。そのような地形の河川で行う沢登りでは一般的な享楽性は乏しい。先に挙げた河川の特徴は富山県の基盤岩である飛騨帯と呼ばれる変成岩を主とする事だと思う。県西部においては濃飛流紋岩の影響がおよぶ庄川水系とは異なる点に注目したい。俯瞰的な構造の観点では、県東部から西部にかけて東西に断層が走るが、庄川と小矢部川から断層は南北方向へと向きを変えているのも面白い。このような背景を踏まえて、県西部の直線河川の支流にはそれぞれどのような特徴があるのか、或いは特徴は無く一様なのか。探求の旅へバモス。

久婦須川の下流域の調査手始めとしてのイオリ谷である。この流域では比較的ゴルジュ地形となっていて微妙な蛇行もある。ちょっとだけ享楽性を期待しての入渓。堰堤を越えるとすぐに10mくらいの滝。岩は非常に硬くてSiO2リッチなことは想像できるがどのような岩石なのかは分からない。ただ、上流域でかつて遡行した黒谷とは岩石が異なるのは間違いない。予想外に美しい渓相で小滝も散発的に表れて楽しい。ちょっとしたナメも出てこれは最後まで楽しめるか・・・と思ったが三俣以降の上流は3つどれも平凡となり直ぐに涸れそうだったので退却した。

宮川水系のようなボロボロ、土砂土砂を予想したが見事に外れた。そして想像以上に沢登りとしても楽しめた(個人の感想)。果たしてこれより上流域にイオリ谷と同じ岩石が分布しているのだろうか。それは行ってみなければ解らない。行っても益々謎は深まる。こんな素晴らしい探求の旅が3時間でできるとなればやるしかない!家からの往復含めて5時間なのでお忙しい方にもお勧め。

<アプローチ>
イオリ谷は久部須川に275m右岸に合流する支流で上部で特徴的な三俣が目を引く谷。親水公園に駐車して歩いて入渓するか、入渓点近くの路肩に駐車する。筆者らは同ルート下降したが、稜に出て北、南、東の沢を下降するのも一興。なお、ダム上流の桐谷林道はダートとなるが車高の高い車ならばある程度は走破可能。ただし、先のゲートの有無は未確認。

<装備>
登攀具は何もいらない

<参考図書>
富山のジオロジー増補改訂版:初版は増刷されずに長らく購入不可であったが、地学ブームに乗り増補改訂版が出版された。飛騨帯の探求のお供にどうぞ。

<快適登攀可能季節>
5月~7月、9月~11月。オロロが出る時期は避けた方がいい。ブヨ、毛虫など害虫がいない時期を選ぶと快適

2022年3月14日月曜日

天狗尾根東壁 右上ルート

 






忘れられた岩壁という言葉はしばしば耳にする。そのような岩壁は大体1980年代後半~1990年前半に呼ばれるようになった雰囲気がある。このとき、忘れられた岩壁認定されなかった者たちは「覚えられなかった岩壁」に堕ちてしまい、その後一切顧慮されてこなかったと察する。

天狗尾根東壁は多くの登山者きっと一度は見たことがあるはずだが、登ったという話は聞かない。しかし、八方尾根や不帰沢から望む姿はさながらアンナプルナ南壁、堂々たる風格である。よく見ると八方尾根スキー場のトップページにも映っている。なのに誰も覚えてくれないのは何故だろう。

天狗尾根東壁を目の前にしたものの濃密なガスで壁全体は全く見えない。前日眺めた雰囲気と地図の標高差を合わせて考えると少なくとも標高差400mの岩壁であることは間違いない。目の前の岩場は不帰と似た花崗岩である。支点の取りづらいスラブとハングが組み合わさった構成であり、しかも春雪の支持力は全くなく不安定この上ない。おまけに雪までちらついてきた。もうちょっと登り易い岩場が出るまで天気が良くなるまで右上しよう、を続けるうちに気づけば登山大系の右上ルートを辿ることになった。不安定な雪壁とちょっとした岩場だけだったけど、雪がむちゃんこ悪く、それなりの緊張感があったので結構楽しめた。

天狗尾根東壁を壁ど真ん中、真っ向勝負で登るとなると間違いなく難しい。クライミングの難易度に加えて東南面という方角による壁のコンディションを掴む難しさ、高差と長さ。どれをとっても容易ではない。天狗さん、安心してくれ俺は覚えたぞ。忘れずに、きっとまた来るからね。

<アプローチ>
南股入を遡行する、或いは八方尾根から下降したのち不帰沢を登り返して奥天狗沢を詰めて岩壁に向かう。天狗尾根の頭付近から稜線を下降できる可能性もあるが、雪庇の状態に左右されるので賢明ではないと思う。また、不帰の稜線は風が良く抜けるので稜線上にベースを設けるのは難しいだろう。奥天狗沢入り口左岸には平坦地があるのでここをベースとするのが好適。ただし、融雪による落雪には注意。雪の量によっては奥天狗沢内にはシュルンドが多数現れる。急雪壁でシュルンドだらけのアプローチとなると下降は容易ではないので注意。

<装備>
カム一式、トライカム少々、ピトン各種。細いクラックが多いのでボールナッツが有効だと思う。

<快適登攀可能季節>
12月~3月。雪の状態と壁の状態のバランスを考慮すると2月中旬~2月下旬がベストシーズンなのだろうか。東南面にべっとりと付着した雪に支持力があるかと言えばそんなことない気がする。はっきりしない壁の形状から夜間登攀は難しく、2月に壁真っ向勝負するとビバークになるだろう。

<温泉>
みみずくの湯:日本有数の強アルカリ泉です。周辺の温泉は有名。入って損は無し。
倉下の湯:みみずくの湯を含む白馬八方温泉とは源泉が異なり、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉。価格も同じ600円なので気分応じて入り分けられる。

2022年2月27日日曜日

抜戸岳南尾根 2421.6m峰東南壁 2ルンゼ

 









 山を歩いていて、地形図を眺めていて面白そうだなと思う場所は必ずと言っていいほど先人によって登られている。登られていて残念、なんて全然思わなくて人間の好奇心と探求心が文化を創っているのだなぁとしみじみして嬉しくなる。

抜戸岳南尾根 2421.6m峰東南壁は飛騨山岳会によって拓かれた岩場で、新穂高という好立地にありながら通年を通して訪れる者は殆どいない(と思われる)岩場である。岩場は前衛壁と奥壁で構成される。奥壁は横に広い岩場で南尾根の南壁コルからずらーと広がっている。岩は非常に硬く絶妙にリスとクラックが存在しているので、まだまだラインは引けるんじゃないかな。

2ルンゼは南尾根南壁コルから岩小屋沢を下降すると圧倒的な存在感を示しており、「冬壁愛好家の皆さんこちらへどうぞ」よろしく語り掛けている。気持ちの良いゴルジュ状ガリーを2ピッチ登ると、上部雪壁前の核心部である。草付きの浅い凹角からハングをワイルドに乗越して抜ける。落ち着いて丹念に支点を探せば安全な支点が取れるので思い切って突入してみよう。あとは易しい雪壁を快適に登り、雪庇の張り出しが小さい場所を探してトップアウト。穴毛谷の景観が圧倒的である。
 
 2ルンゼはラインの合理性と下部の登攀内容が素晴らしい。お隣の3ルンゼも面白そうだったのでまた来よう。そして、抜戸岳南尾根 2421.6m峰東南壁から穴毛谷4ノ沢へと継続するという計画もきっと面白い。こんな素晴らしい遊び場新穂が近い富山万歳!

<アプローチ>
南尾根からもアプローチ可能だが最も楽なのは岩小舎沢を詰めるアプローチである。穴毛谷同様、雪崩のリスクが高い沢なので雪の状態には留意したい。登攀終了後の下降路は南尾根を少し北上し、雪庇の小さい場所を選んで下降する。或いは南尾根を南下し南壁を懸垂下降(65mくらい)し岩小舎沢を下降する。岩小舎沢は夕方日が当たらなくなった時間帯に下降するのが安全

<装備>
カム一式(小さいサイズが有効)、ピトン各種、トライカム少々、ボールナッツ有効。なお、当岩場の開拓は主に飛騨山岳会によって為されている。商業誌として発行された資料で詳しいのは岳人1985年5月~7月に掲載された開拓記録である。詳細で正確な概念図と写真で大変解りやすい。

<快適登攀可能季節>
12月~3月中旬。岩小舎沢に入れるコンディションのとき。気温が低くて高曇りの日がベストコンディション。2ルンゼは氷雪の状態が非常に重要となるので、2月中が良いだろう。ただし2月だと谷筋の雪がしまり切っておらず、ラッセルは覚悟したい。朝日が当たると瞬く間に雪崩るので息せき切って標高差を一気にラッセルできる能力が求められる。

<温泉>
新穂高温泉なのでどこでも入ることが出来る。価格帯は高い。

栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。

2022年2月23日水曜日

戸隠 表山奥社右稜












庭園が好きだ。庭園というのは自然物を利用して現す人工的な表現である。外で遊んでいる時間が長いので割と自然の風景には明るい人種なので、造園された景色が自然風景とは全く異なることは直ぐに分かる。重森三玲の作庭した庭園を見たとき、漲る緊張感と自由な表現が混在することで独特のリズムを感じることに衝撃を受けた。不自然な石の配置なのだが、悠久の時間ではそのような一瞬もあったかも・・と思わせる妙味。一瞬を表現して観る者に永遠を想像させるところが素晴らしい。自然の美がエントロピーが環境に応じた極大安定に達する状態であるならば、人間営為の美とは一瞬を切り取ることでのみ存在しうるのではないか。

キノコ雪が林立する尾根を歩くと素敵なお庭を散策しているような気がする。奥社右稜は表山の中で最も取り付きが分かり易い。下部の樹林帯から上部の岩峰3つが認められるものの一見すると難しくなさそうに見えた。「昼に下山してランチ、蕎麦でも手繰るか!」と舐め腐った態度でいたら、しっかりやられた。岩峰は1650m付近から始まる。最初は氷化した草付きをダブルアックスで距離にして120mくらい登る。キノコ雪を崩してコルを経ると岩峰が立ち塞がる。傾斜が強い上、壁の基部は雪が空洞となることも有り、重心移動には気を遣う。小乗越は常にハングした雪帽を崩さねばならず時間を要する。あれよあれよと時間が過ぎて、残り標高100m弱のところで黒雲が迫ってきて退却。奥社周辺は九頭龍山周辺より威圧感は無いが、見た目から困難度が推し量り難いと感じるのであった。

雪稜は人間の時間間隔でも十分に捉える事の可能な自然の瞬間美。その稜を攀じる遊びは今も昔もこれからも変わることなく、三玲曰くの永遠のモダンだろう。都へ出て東福寺やら松尾大社にでも参じたくなってきたわい。

<アプローチ>
有料の奥社駐車場か戸隠スキー場に駐車。奥社まで歩いてすぐ右側に延びる尾根に取り付く。表山の中で最も分かり易い尾根かも知れない。難しい箇所は限られて短いので日帰りアタックの方が臨みやすいだろう。とはいえ、幕営可能箇所は割と多いので時間をかけて取り組んでもよいと思う。積雪が安定しているのであれば懸垂下降をしてルンゼを降りればあっという間に戻れる。そうでない場合は複雑な同ルート下降又は何とかして稜線へと至り登山道のある尾根から下降する。

<装備>
スコップは登攀具として必須。キノコ崩しはもちろん、段差を乗り越す時にはピッケルよりも安定感がある。不安定な場所で振り回すので要バックアップである。藪が発達しているので支点はスリングのみでよい。ダブルアックスで登る箇所も多いのでアックスは小指が引っ掛かるタイプがいい。

<快適登攀可能季節>
2月~3月上旬。岩峰が発達していて昇温による雪の脱落は早い。適期は2月中と考えた方がいいかも。

2022年2月14日月曜日

三方崩山 弓ヶ洞谷第一岩稜

 










 雪稜の継続登攀を気軽にできる山域は貴重である。同じ谷に複数の雪稜が展開することはあっても、丁度いい距離にある異なる谷に丁度いい雪稜があることは少ない。また、有ったとしても後立山のように高差が大きすぎて継続するのが億劫になる。
 三方崩山はその貴重な山の一つだ。南の大ノマ谷、北の弓ヶ洞谷へと流れるように継続できる。弓ヶ洞谷第一岩稜は終始同じような難易度が続く中だるみしない良きルート。登る速さはスコップワークが鍵となるはず。岩峰のように顕著なピークが威圧的だが、筆者らが登った時はしっかりと安定した雪が付いており登り易い状態であったと思う。北東面に位置するため、若干大ノマ谷よりも雪の付着が多い気がした。大ノマ谷と同じく大きなギャップと断壁が現れることが無いので割合気軽に取り付ける。元々ギャップがある地形ではないが、雪の付着によって段差が発達しているのかもしれない。最上部はルンゼとの高差が無くなってやや緊張感が薄れるがご愛敬。山スキーをやる人であれば滑りと併せて楽しんではいかがだろうか。
 
<アプローチ>
弓ヶ洞谷は三方崩山の北尾根ぼ東面にあるスキーヤーには割と滑られている谷である。雪稜は恐らく名古屋ACCによって初めて登られたものと想像するが詳細不明。尾根の南側から第一、第二、第三岩稜と命名されている。何となくそうなんじゃないか概念は以下の通り。


アクセスとしては雪がしまり切っていない2月ならば道の駅飛騨白山に駐車して平瀬尾根を登り下降するのが安全で合理的な気がする。雪が締まっているならば谷を詰めればいい。尾根から下降する場合、雪庇の張り出しが少ない箇所を選んで下降することになるが恐らく第一岩稜と北尾根の接続部が最も降り易い。3月に入ると林道を歩いて弓ヶ洞谷を詰めるのが楽だろう。尾根上には幾つも幕営可能点があるので何時に取り付いても問題ない。下降は平瀬尾根を降りるより弓ヶ洞谷をそのまま降りて国道を歩く方が最終的に早いかもしれない。

<装備>
スコップを振り回す時間が圧倒的に長いので、携行しやすい工夫が必要。もちろん要バックアップ。雪特有の支点構築品は特にいらない。藪は出ていないが安定した平地が多いので座っての腰がらみ、肩がらみで十分確保可能。

<快適登攀可能季節>
2月~3月。積雪がたっぷりある時期に登りたい。

<温泉>
くろば温泉:国道沿いに有るのでわかり易い。600円也
五箇山荘:高速のインターを少し過ぎたところにある綺麗な温泉。500円也

2022年2月13日日曜日

三方崩山 大ノマ谷第二岩稜

 










 悩み事無さそうだね。と問われ、世界には興味深い凸部や壁面が多すぎる。しかも住んでいる近辺には凸部が多い上に周辺の自然環境も極めて魅力的であるのが悩みである。と回答したところ、ほら無いじゃないかといった反応をされる。こちとら深刻な悩みを吐露したにも関わらず、能天気な奴の烙印を押されるのが業腹である。真剣に答えすぎたのが悪かったと判断してすかさず、次の休暇時の天候であると答えるともう相手にされない。想像の範囲外の世界に居住する他者への態度は厳冬の剱岳の雪よりも、穂高の稜線の烈風よりも、ずっとちべたい。想像力と共感に乏しい世間は実に世知辛いものである。
 
 三方崩山に存在する美しい雪稜の存在は知っていたものの、やはり訪れるならば積雪最大となる2月だなと極め込み幾星霜。どうしても2月はアプローチのリスクアセスメントが容易な穂高や頸城にばかり足が向かってしまう。何せアラウンド富山はトゥーメニイマウンテンなので、限られた休暇ではすべての山との交流は困難なのだ(言い訳)。ようやく各種の好機が重なり漸く訪れることができたので大ノマ谷と弓ヶ洞谷の雪稜を継続登攀とした。

 第二岩稜はパっと見た感じ4つの尾根の中でも中間的な難しさなんだろうなという印象であった。登ってもシンプルに雪壁とキノコ崩しが続きややこしいギャップや絶壁は現れないので組し易しと感じた。それでも山だらけのロケーションの中、圧倒的な積雪量のある尾根は登り応え十分。この手の雪稜に登り慣れていれば4~5時間で終わると思うが、慣れていないと全然進めないかもしれない。南尾根に接続してから山頂へと自然に登れるのも素晴らしい。いいじゃん!大ノマ谷。2月に取り付く判断は戸隠よりも難しいが是非とも触れてほしい山域である。

 それでは、貴殿の憂慮する事態とは一体なんぞや?と尋ねたところ、子の進学先と習い事との回答。そうですね、お子様の将来に関わる一大事ですのでお子様と共により良い選択をされるように祈念いたしますと相槌。相手方の吹雪に対して、曇天~小ぬか雨くらいには収まった気がするがどうだったのであろう。大ノマ谷の雪質を想察するよりも難しいことがある。ギブミー・ア・想像力! 

<アプローチ>
大ノマ谷は三方崩山南東の谷の事で大ノマとは「大きな雪崩が出る谷」の意である。岩場や雪稜は登攀クラブによって初めて登られ、以後一部の愛好家に細々と登られてきた。谷の上流から第一、第二、第三、第四岩稜と命名されているようだ。なお、第二岩稜は上部で第三岩稜と接続している。何となくそうなんじゃないか概念は以下の通り。


近年(と言っても20年位前)では名古屋ACCが紹介し一時脚光を浴びた模様。アクセスとしては雪がしまり切っていない2月ならば道の駅飛騨白山に駐車して平瀬尾根を登り下降するのが安全で合理的な気がする。下降の際には面白そうな尾根が4つ綺麗に並ぶ姿におおっ!となるはず。3月に入ると大白川方面から林道を歩いて大ノマ谷を詰めるのが楽だろう。尾根上には幾つも幕営可能点があるので何時に取り付いても問題ない。

<装備>
スコップを振り回す時間が圧倒的に長いので、携行しやすい工夫が必要。もちろん要バックアップ。雪特有の支点構築品は特にいらない。藪は出ていないが安定した平地が多いので座っての腰がらみ、肩がらみで十分確保可能。

<快適登攀可能季節>
2月~3月。積雪がたっぷりある時期に登りたい。

<温泉>
くろば温泉:国道沿いに有るのでわかり易い。600円也
五箇山荘:高速のインターを少し過ぎたところにある綺麗な温泉。500円也

2022年2月2日水曜日

焼山(朝日町)

 





 山は低いほど、人とつながりが深いほど物語としての面白みがある。そしてそれは現代の世情とはかけ離れたところに真実がある。
 焼山は以前から気になる山だった。同じ名前の頸城の焼山のように「焼」という名称が与えられる山の殆どが火山と察する。この山で火山活動は有史以来無かったはずだ。なぜ焼山とう名称が与えられているのだろうか。焼山周辺の山域を俯瞰すると大鷲山~黒菱山~初雪山~越道峠までの稜線は広い台地状が続いている。この辺りは太美山層群の分布地帯であり越道峠以西の花崗岩地帯と明らかに地形が異なっている。そしてこの山域には登山道が無い。これでもう登らない理由は無い。
 大鷲山から先の稜線に密生する藪は手ごわい。12月に訪れたために完全に埋まり切っておらず足は取られるわ、視界は奪われるわで苦しい。もちろん焼山山頂も物凄い藪。でも、だだっ広い稜線と海の光景はこれまで登ってきた山との違いが際立っていて嬉しい。北東には水上谷。そうか、この山の麓では大平集落によって焼き畑がなされていたのかもしれない。水上というのはこの周辺で上り下りしやすい谷に付与する場合が多い。南側に大きな山があり、日当たりに乏しい立地から、近くの緩やかな地形で焼き畑を行っている姿は想像に難くない。栽培品種は稗だろうか。文献調査と聞き込みフィールドワークは今後の課題としよう。
 先の謎のうち名称についてはイメージが湧いてきた。実はこの時謎の一網打尽を狙って大鷲山から一気に森石山まで(瘤杉山ピストン)を企てたものの、猛烈なラッセル、藪ズボ、ヤブコギにより時速水平距離100m状態に陥り断念した。次はもっと雪が落ち着き藪が埋没したタイミングで藪山を激走アンド疾走したい。

<アプローチ>
筆者は大鷲山から縦走したが、焼山のみを登るのであれば大平集落方面からアプローチするのが合理的ではないか。

<装備>
しっかりと根雪が付いた状態ならばスノーシューやスキーが有効だと思う。

<快適登攀可能季節>
1月~2月。標高が低すぎるので、時期を外すとハードなヤブコギとなる。