上路集落は山姥伝説が有名で世阿弥の「山姥」の舞台になっている。この上路集落を流れる上路川での沢登りといえば榀谷が古くから親しまれているルートだ。上路川には他にも沢登り入門に好適な大滝谷が有るが、湯ノ谷を登ったという話は聞かない。榀谷よりも谷の傾斜と側壁の高さでは湯ノ谷の方が優位そうである。それより何より、湯ノ谷でエクロジャイトというプレート境界で形成される変成岩が産出している。友人の提案でこの岩が産出する岩を探すという目的で谷に入る。
谷に入ると落ち着いた渓相でよい雰囲気を感じる。小滝というほどの滝は無いが沢歩きには丁度いい。もとより目的は岩探しなので川原の石を見たり、露頭の岩を観察しながらゆっくり進む。これが何とも気持ちがいい。易しい沢で遡行目的ではなくぶらぶらすると気づきが多い。エクロジャイトの難しい課題が設定できそうなボルダー、謎の坑道跡、坑道の中でやたら光る粉塵のようなコケのような物質。どれもさっさと歩いたら気づかないかもしれない。登山目的じゃない方がその土地の自然を存分に味わえるのがいい。同好の士が最近訪れたようで転石エクロジャイトを採取した跡があった。沢と岩を楽しむ人種の多様性が感じられ嬉しい。
標高500mくらいから傾斜が強くなるが滝というよりも段差で登り易い。このあたりからエクロジャイトの転石が増え始める。青色に柘榴石の赤が映えてかわいらしい。湯ノ谷エクロジャイト柄のTシャツをフォッサマグナミュージアムで販売したら結構売れるのではないだろうか。不思議なのが、柘榴石のサイズが巨大にはならず大体同じ大きさで揃っている点である。圧力、温度、流動性、成分濃度などが要因となってサイズを決定していそうだがどうなのだろう。注意深くエクロジャイト濃度の高いルンゼを探しあて詰めあがる。草付き登りが案外悪いものの沢屋ならば問題ない。ルンゼを詰めて見つけた露頭は幸いにしてエクロジャイトであった。青海川の金山谷、アイサワ谷にも産出するというからこちらも再訪したいものだ。
湯ノ谷は沢という場所を初めて知るには丁度いい沢歩きができるところといえる。春~初夏に山姥の洞に抜けて白鳥山に上がる登山をするのはどうだろうか。山菜を取りながらぶらぶらするのにはもってこいだろう。岩、昆虫、植物、菌類、蘚苔類、土壌微生物等々何か探しながらゆったりと過ごす週末にどうぞ。
<アプローチ>
坂田峠へ向かう道の途中、湯ノ谷出合付近にある路側に駐車する。同ルート下降も容易だし、榀谷を下降するのもよい。
<装備>
何もいらない。
<快適登攀可能季節>
6月~11月。
<温泉>
宝温泉、地中海、境鉱泉など越中宮崎周辺は塩泉が多い。
下山芸術の森発電所美術館:きらりと光る興味深い展示をやっている。こちらも12月~3月の冬季は休館するので注意。
杉沢の沢杉:地口か回文のような名称だが素晴らしい場所。田園と防風林の中にポツリ広がる湿地杉林で、まるでもののけ姫の森のようである。近年、入善乙女キクザクラという桜の新種がここで発見されている。この原木は未だ杉沢の沢杉でしか発見されていない。北陸は菊咲きの桜の品種が多いらしい。
<温泉>
宝温泉、地中海、境鉱泉など越中宮崎周辺は塩泉が多い。
<博物館など>
護国寺:別名石楠花寺。とやま花名所に選ばれるだけある庭園。シャクナゲとツツジの時期が素晴らしい。謎の置物も気になる。
朝日町立 ふるさと美術館:昨今の大正アートブームで再注目の竹下夢二の作品を所蔵している。江戸~大正期、朝日町の泊は宿場町で大いに栄えており、その盛り場に夢二が訪れていたようだ。妻たまきとの破局事件の舞台は宮崎海岸だ。この情事の続きは朝日町の図書館で。
護国寺:別名石楠花寺。とやま花名所に選ばれるだけある庭園。シャクナゲとツツジの時期が素晴らしい。謎の置物も気になる。
朝日町歴史公園:縄文時代の不動堂遺跡が再現されている他、江戸時代町屋であった旧川上家の家屋が当時の状態を保ったまま移設されている。ここでは朝日町名産のバタバタ茶を自分で点てて試飲できる。12月~3月は閉館するので注意。
百河豚美術館:野々村仁清の作品を数多く展示している。デフォルメされた鶏が描かれコップもあり、仁清のモダンな感性を感じる事ができる。他にも話題の伊藤若冲や、尾形光琳に酒井抱一といった琳派ビックネームの作品も展示。
杉沢の沢杉:地口か回文のような名称だが素晴らしい場所。田園と防風林の中にポツリ広がる湿地杉林で、まるでもののけ姫の森のようである。近年、入善乙女キクザクラという桜の新種がここで発見されている。この原木は未だ杉沢の沢杉でしか発見されていない。北陸は菊咲きの桜の品種が多いらしい。
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