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2022年9月4日日曜日

珊内岳 珊内川











北海道の山の羨ましいのは登山道がある山が少ないこと。里山であっても登山道は拓かれていなければ一泊二日の充実した登山計画が組めるし、谷を継続するのが自然なので長期間入山して丹念に調べたくなる。珊内川にも登山道は無く稜線は猛烈なススタケ林となっている。ススタケこと、ネマガリタケの生命力はすさまじく1年草刈りをしないだけで割と登山道が覆われる。5年もすればもう足元の硬さ以外何ら道と判別できない。毎年登山道整備なんか出来るわけなく静寂の山となるわけだ。

入渓すると溶岩の岩盤が露出した美しい渓相にうっとり。森の雰囲気が北陸に似ているのは日本海至近で気候が似ているだからだろうか。水量が多いタイミングの来訪だったのでナメの優美さに欠けたのがちょっと残念だが美しいことに変わりはない。1箇所10mの登れない滝を巻いたが他の小滝は快適に登れる。そういえば小さな滝でもしっかり地形図に示されているけどなんでだろうか。750mくらいから草が繁茂し始める。沢登りとしての興味が薄くなって天気が怪しいので同ルートを戻った。山頂で漁火を眺めたかった・・。早立ちすれば日帰りも可能だと思うが積丹ブルーの朝を迎えてみたい。

<アプローチ>
富山から北海道への移動は時間はかかるが新日本海フェリーの航路を推奨したい。車に適当に荷物を積み込んで新潟港から出港してしまえば気楽な船旅でいい。到着地は小樽又は苫小牧となるので行く場所に応じて選ぼう。珊内川左岸を走る林道は意外に生きている。終点付近まで乗り入れて駐車する。幕営点は良いところが乏しい。山頂にテントが張れるようだ。下降は同ルートかスサノ沢。

<装備>
スリングのみでOK。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。北海道の気候は全く存じませぬが感覚的に


オロエン川

 




北海道の地質構造は特徴的な縦模様をしている。これは北海道の成り立ちが二つの島が東西方向へ衝突したためなのだが、これが北海道の山の面白さを演出している。

オロエン川は神居古潭変成帯という北海道の中でも面白い地質帯に属する河川である。神居古潭変成帯はざっくりと言えば大本の岩体である付加体がプレート運動によって沈み込み低温・高圧変成した岩の総称である。さらに白馬周辺でおなじみの緑色した蛇紋岩を含んだりと中々キャラの濃い岩なのだ。

入渓してモール泉のような褐色の水の色に驚く。もしかしたらこの流域は褶曲面の背斜地に当たりモール泉の元となる有機堆積物が含まれているのかもしれない。岩は花崗岩を主たる岩とする飛騨帯とは全然違って硬く縞々なのが面白い。川原歩きと時折現れる小滝登りを楽しみつつ進むとゴルジュが現れる。一見ヤバそうに見えるが壁を伝って泳いで滝に取り付けば意外と簡単に登ることができる。次にオロエンの滝という20mくらいの2段瀑が現れるが左岸から簡単に登れる。ちょっと川原を挟むと堰堤が現れるので沢登りとしては終了。上まで登れば何か発見があったかもしれないというのが心残りである。

さっさと沢登りを終えたら神居古潭の岩場でフリークライミングを楽しもう。ミックスクライミングで有名なここも神居古潭帯の岩。石灰質の中に緑色片岩?が含まれていたりかなり特異な岩場だ。人気ルート以外の支点はやや不安だけど珍しい岩場なのでマスト!

<アプローチ>
富山から北海道への移動は時間はかかるが新日本海フェリーの航路を推奨したい。車に適当に荷物を積み込んで新潟港から出港してしまえば気楽な船旅でいい。到着地は小樽又は苫小牧となるので行く場所に応じて選ぼう。オロエン川の入渓は地形図での最終林道地点よりちょっと手前になる。422m付近から沢が平凡になるので右岸の崩れて草ぼうぼうになりつつある林道を利用して下降する。いずれこの林道も使えなくなるのでそうなれば同ルート下降。

<装備>
沢慣れしていない人がいればロープがあった方がいいかも。ラバーソールでもOK

<快適登攀可能季節>
6月~10月。北海道の気候は全く存じませぬが感覚的に

<博物館など>
旭川市博物館:アイヌ文化、旭川市の歴史、北海道の自然がバランスよく展示された素晴らしい博物館。縄文から擦文時代、そしてアイヌ文化へと移行する解説と上川地方のアイヌの生活が再現されたジオラマが秀逸。自然展示は北海道全域がバランスよく紹介されている。

2022年8月30日火曜日

ポンクワウンナイ川














初等教育の著しい怠慢のためかカタカナの読み書きが怪しい。カタカナの文書は全然頭に入らず憶えられないし、書く方ではヲやリなんかパッと浮かばず困ることがある。それでも働いてオマンマ食っていけるので日常的に問題は無いのだが、北海道の山を登るのは大変困る。如何せんアイヌ語を直接カタカナ表記した場所が多すぎる。

ポンクワウンナイ川、と偉そうにタイプしているが沢の名前が中々発音で覚えられずgoogleの「★★の検索結果を含めて表示」機能からコピペしたことをまず告白する。この沢に思い入れがあったわけではなく、日高の天気が悪かったので前日に行先を決めたことも有り未だに発音記憶できない。

ところがどっこい沢の内容は素晴らしい。クワウンナイ川と流れを分けてからの川原の側壁は凝灰岩や柱状節理が発達していて楽しい川原歩き。標高798m地点からゴルジュに大滝、小滝とアトラクションが展開してくる。ゴルジュでは人工登攀を強いられるが残置を利用すれば難しくはない。使わなくてもネイリングで対応可能である。以後の登りそのものは難しくないが、2つの20m~30m程度の大滝巻きで嗅覚が冴えないと思わぬ時間ロスを食う可能性があると感じた。北陸の山で培ったルーファイであれば全く問題ないはず。1300mくらいから赤い岩盤の苔ナメが長ーく続く。白山は石徹白川初河谷に似た渓相があるがその長大スケールバージョンである。詰めも不快さは一切なくお花畑に癒され背後の雄大な景色を楽しめる。小化雲岳の稜線に出て景色が望めれば絶景である。筆者らは直ぐに雨が降ってきてトムラウシまで行けなかったが、さぞ素晴らしいのだろう。カウン沢を下降してクワウンナイ川本流へと継続、そしてトムラウシ川方面へ下降して地獄谷温泉入湯。更にパンケトムラウシを登って下山など大雪山山系だけでも相当楽しめそうである。

このままでは北海道の沢を登っても覚えられず、全てあの楽しかった沢となってしまう。一層カタカナ発音難易度が高い日高山域を訪れるまでにはカタカナをマスターせねばならない。

<アプローチ>
富山から北海道への移動は時間はかかるが新日本海フェリーの航路を推奨したい。車に適当に荷物を積み込んで新潟港から出港してしまえば気楽な船旅でいい。到着地は小樽又は苫小牧となるので行く場所に応じて選ぼう。クワウンナイ川へは清流橋の近くの駐車場に駐車して林道跡を歩いて入渓する。クワウンナイ川へ入る人向けの注意事項が記載された看板が有るのですぐわかる。幕営地は1200~1250m付近が良いだろう。1300mを越える上部が草原とお花畑となっており薪が集めずらい。天人峡へと下山する登山道は一部整備がされておらずやや藪っぽい。全然歩けるけど水が流れている箇所も多く沢靴のまま下山が吉。ちなみに登山道沿いの第一公園付近の湿地帯は綺麗だし、二見川とアイシホップ川の羽衣の滝は美しい。中々楽しい登山道である。

<装備>
念のためピトン少々。

<快適登攀可能季節>
7月~9月。北海道の気候は全く存じませぬが感覚的に

<博物館など>
旭川市博物館:アイヌ文化、旭川市の歴史、北海道の自然がバランスよく展示された素晴らしい博物館。縄文から擦文時代、そしてアイヌ文化へと移行する解説と上川地方のアイヌの生活が再現されたジオラマが秀逸。自然展示は北海道全域がバランスよく紹介されている。

北海道博物館:北海道120万年まえから遡り紹介する人文系に力を注いだ博物館。旭川博物館に劣らず、古代、中世、近世から現代へと歴史を俯瞰できる展示で物凄く面白い。ただ、順路を辿り最後の展示となる自然系のショボさが際立つぞ。

美瑛岳 アバレ川

 







旅はいいものだ。新しい土地を歩いていると新しい発見ばかりで飽きることは無い。とはいえ、筆者は中部地方以外で山登りは殆どしたことが無く最高国内最北到達点は谷川岳という体たらくの野暮天である。このままでは風雅の何たるかを解さぬ意固地なおやじになるのは必定。この状況を打開するには可及的速やかに旅を行うことが妥当であり、その行先は総合的観点から北海道へ向かうこととした。

越中で暴れ川というと常願寺川なのだが、ここは美瑛岳のアバレ川。ルートガイドを読むと(登山大系以外久しぶりに読んだ!)ディズニーランドだか遊園地だかに形容されている。筆者はどちらも生涯通算0回であるので、アバレ川に行けばディズニーランドが如何なるものか解することができるとのことで大いに期待が高まった。地形図で見ると穏やかな渓相が予想され本当に沢登りが楽しめるのか怪しく見えるがはて。

入渓して直ぐにアバレ川の特徴に度肝を抜く。川床の砂が常に流れているのだ。これまでこんな沢行ったことないなぁ。白銀温泉付近の地形は成層火山が故のかと思うが土砂堆積作用によって平坦化しているのかもしれない。渓相は安山岩の溶岩や凝灰岩の岩に緑色のコケが良いアクセントとなって美しい。沢登りも平坦かと思いきや意外に小滝が多くて登りも楽しめる。そういえばエゾマツを主とする森だからか谷の匂いも全然違うぞ。ちょっと巻き道に入ると松茸が取れる。むちゃ楽しいぞ。勝瑛の滝を越えると登山道が合流する。多くの人はこの登山道から下山するようだが、折角なので美瑛岳から十勝岳へと縦走しよう。美瑛岳では岩場からナキウサギの鳴き声が聞こえて北海道に来た!というムードがさらに高まるのは必至である。さらに十勝岳の圧倒的火山風景には口あんぐり。ディズニーランドの何たるかを北海道で知ることができて大満足。ロープも持たず登れるので多くの人が楽しめる良渓。

<アプローチ>
富山から北海道への移動は時間はかかるが新日本海フェリーの航路を推奨したい。車に適当に荷物を積み込んで新潟港から出港してしまえば気楽な船旅でいい。到着地は小樽又は苫小牧となるので行く場所に応じて選ぼう。アバレ川へは少年自然の家から少し林道を入ったゲート手前に駐車して少しだけ林道を歩き適当なところから川へと降りる。下山は登山道を使用するが望岳台からの登山道も意外にしっかりしており問題ない。

<装備>
沢慣れしていない人がいてもロープは要らないと思う。ラバーソールでもOK

<温泉>
白銀温泉:いくつも温泉があるが、筆者は最も安い国民保養センターに入湯した。300円也。石鹸などは事前に準備が必要ではあるが雰囲気も面白くお勧め。

<快適登攀可能季節>
7月~9月。北海道の気候は全く存じませぬが感覚的に