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2018年9月3日月曜日

小坂川 若栃谷支流 深谷







御嶽山周辺の沢において高名なエリアは全て火山活動によって流出した溶岩によって形成されている。そんじゃ、それ以外の場所はどないなってんの?もし、御嶽山で火山活動が無かったらこの山はどのような姿だったの?といった疑問が湧き出てしまったら、検証せざるを得ない。

小阪川支流、若栃谷の谷は基本的に川床の傾斜は緩い。その中でも最も傾斜があるのが深谷である。何かあるとしたら、この谷しかない。やはり沢登りも楽しみたいのでこの深谷を遡行して東俣谷を下降するとした。到着後、若栃谷本流を観察し一目で沢登りへの薄っすらとした希望は霧散した。土砂が多く谷が荒れていて水深があまりに浅いのである。石は花崗岩のようである。深谷に入っても暫くは荒れた景色である。傾斜が強まってくると、少し小滝も現われて釜も出て雰囲気は高まる。やがて30mほどの大滝が現われる。この辺りはかなりしっかりした花崗岩で岩も硬い。この大滝を越えると土砂が益々多くなる。花崗岩質だが、大きな石も手で簡単に割れるほど脆い。破断面からは白色細粒の砂が漏れる。よく観察すると、脆そうな堆積岩の部分もあるのでボロさのダブルパンチである。1550mまで行くと水流は藪に埋まって支沢の判断も難しくなる。この辺りの稜線の傾斜が緩いのはマサ化が進んだ花崗岩によるものだろうか。東俣谷へ下りると堆積岩性が強くなる。中間部以降は川床の脆い泥が開析されて出来る小さなドロゴルジュ(筆者はこれをドロジュと呼んでいる)が時々出てきて景色としては愉快である。白色細粒の砂が明瞭に堆積している場所を触ると粘土質であることが解る。簡単な下降を続け5時間程度で周遊を終えた。

御嶽山西面の下層は主として花崗岩からなり一部堆積岩を含むようである。御嶽山の溶岩が流れて、これらの脆い層を覆っているために濁河川流域では楽しい遡行となるのであろう。御嶽山の火山活動が無かったらこの辺りは緩やかな平原だったのだろうか。粘土層の堆積時期は定かではないが、細かな砂が堆積するような緩やかな水の流れがあったと考えられる。これらは現場で見たものから想像したことであり学術調査は一切していない。そのため妄想の域を脱しない。ただ、遡行図のある沢登りは興味半減するのと同じく、その土地に触れるのも前情報は無いほうが面白い。まず、眼で観て触れて想像する。この時間が至福なのである。暫くは妄想を膨らませ、いずれ雨の休日にでも答え合わせするとしよう。

<アプローチ>
国道41号線から小坂方面へ行き、若栃谷林道に入り、東俣谷出会い手前に駐車する。深谷上部は嵌り易い地形になっている。コンパスを利用して慎重に下降点を見定めたい。東俣谷の下降は特に難しいところは無い。入渓点まで富山市内から大体2時間30分

<装備>
巻きメインであればギアの出番は無い。水量が少ない時期を狙って直登するならば一式。巻き道は割としっかりした獣道がある。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。

<温泉>
ひめしゃがの湯:含鉄ナトリウム炭酸水素泉で源泉は冷泉。水面近くは炭酸ガス?でむせる。冷泉なので夏は外気に暖められるため、溶解度低下により二酸化硫黄が出てるんじゃないかと心配になる。

<グルメ>
41号沿いにぽつんとある食堂峠屋は24時間営業でボリュームもあり美味しい。

2018年1月31日水曜日

小秀山 夫婦滝





今後、風俗店を経営する機会に恵まれたならば「乙女峡谷」という店名にしようとおもう。乙女というのは文字通りうら若き婦女子である。峡谷と言うのはご存知の通り、両岸切り立った壁が続いた、沢屋の大好きな地形であり暗喩的に利用している。つまり、うら若き婦女子が両岸切り立つように貴方をおもてなしいたします。という意なのである。ただ、峡谷という言葉が一般的ではないので渓谷にしようかとも考えている。水と婦女子の親和性は非常に高い。多くの沢屋がゴルジュに卑猥な感情を抱くのもその為であろう。そのような、無意識で根源的な観念がアニミズムや道祖神信仰を生み出したのかもしれない。そういえば、筆者の生家から徒歩3分の距離にあった風俗店の店名は「龍宮城」であった。これは自然史的な背景だけではなく、昔話の文化的要素も盛り込んだ秀逸なB級名称である。また竜宮城は嬢についての形容は一切言及していないのが素晴らしい。乙女峡谷の場合、実情は乙女ではないのでクレームを招く恐れがある。

小秀山の登山道途中にある乙女渓谷はもちろん風俗店ではない。流紋岩質の硬い岩盤をいくつもの滝が水を落とす本物の渓谷である。この渓谷中で最も大きい滝が男滝であり、すぐ横には女滝がある。どちらも50m以上の高さがある名瀑布で、冬季には全面氷結するためアイスクライミングの対象となる。どちらも傾斜は90度はなく弱点を突いたラインであれば初心者でもスケールの大きなアイスクライミングを楽しむ事ができる。富山からは少し遠いのもの気軽にスケールの大きな氷を味わえる有りがたい場所だ。滝を構成する岩は固い上、傾斜も程よくクラックも発達しているので、無雪期の登攀もまた楽しかろう。

男滝に寄り添うように青光りした垂直の氷が発達していた。女滝よりスケールは小さいものの、硬そうな氷質と傾斜から困難な登攀が予想される。これは妾滝というらしい。夫婦滝なんだから「子宝滝」等のほのぼのとした名前を付ければいいものの、何故妾にしたのであろうか。人間の業を表わしているようである。乙女渓谷は風俗店なんてライトな場所ではなく、もっとヘビーな愛憎渦巻く大ゴルジュであったのである。

<アプローチ>
国道257号の舞台峠から程近いB&G海洋センターのある道を左折し乙女渓谷への看板に従う。キャンプ場までは除雪されていた。駐車場に駐車して立派な遊歩道を歩き夫婦滝へ。下降は懸垂下降で。

<装備>
スクリュー10本くらい。

<快適登攀可能季節>
氷を登る場合2月

<博物館など>
加子母の大杉:樹齢千年はあるであろう大杉。立山杉とは異なり真っ直ぐ幹を伸ばした様大迫力である。幹から伸びる枝は普通の杉一本のサイズがある。全然話題にならないが本当に素晴らしい大木でこれを拝むためだけに訪れる価値がある。



本神社の境内内には文覚の(と言われている)墓がある。文覚は平安時代の北面武士出身の僧である。院に使える武士であった文覚は叶わぬ恋の末、誤って想い人を殺めてしまう。罪を悔いて出家して難行苦行を修め影響力のある怪僧として名をはせた。波乱万丈で気性の激しい人物であった事から絵画や彫刻のモチーフとして好まれてきた。その中でも荻原守衛の彫刻が印象深い。荻原守衛もまた叶わぬ恋に懊悩した末に夭折した芸術家である。その葛藤を文覚に顕したのであろう。この彫刻は安曇野市の碌山館で展示されている。それにしても夫婦滝も含めて乙女渓谷は色恋沙汰に騒がしい場所である。そういえば、同時期に活躍した北面武士出身の歌僧、西行もそんな人だった。文覚と西行の逸話も興味深いので調べていただけると幸いである。

<温泉>
下呂温泉白鷺の湯  :下呂温泉にある公衆浴場。銭湯らしからぬ外観と綺麗なお風呂そして370円の安さが魅力である。

2016年8月7日日曜日

御嶽山 濁河川 椹谷












御嶽山西面は流程規模が大きく美瀑を秘めた渓が揃っている。御嶽山の火山活動は約80万年~40万年前の古期活動と、5万年前~現在の新期活動に分けられる。これらの溶岩流は御嶽山の活動以前の白亜紀に形成された濃飛流紋岩の上に流れたと考えられている。そのためだろうか、標高を上げるにつれ川床の岩が変化し楽しい事この上ない。溶岩流の粘度や冷却速度を推し量り、その時代の情景を想像しながら遡行したい。

椹谷はゴルジュの幻想的な滝から始まり、苔の大滝、豪快な直瀑、幾何学的なねじれ滝、美しいナメと渓谷美の総てを備えている。観たところ下部は玄武岩~安山岩質なようだが、上部に行くに従い流紋岩質になっていった気がする。遡行時は水量が多く巻きメインとなったが、減水時には水際の直登も可能ではないか。支流の孫八谷は広大なナメに終始する谷で、巻きで疲れた体を癒すには最高だ。明るいナメは余りの気持ちよさにゴロリと横になりたくなる程である。黄色ナメから後半の黒ナメへ変化にはきっと驚くはず。下山の長い林道歩きも楽しい思い出とともにならば、全く苦に感じない。経験者の下であれば、沢慣れしていない人も楽しめる秀渓だ。

<アプローチ>
国道41号線から小坂方面へ行き巌立展望台駐車場に駐車。椹谷林道が空いている場合は、更に奥まで車で入れる。下山は林道を利用する。泊まり場はそこそこのものならば随所にある。早朝に入渓すれば日帰りも可能。

巌立まで富山大学からおよそ2時間30分。

<装備>
巻きメインであれば岩のギアは殆ど出番が無い。水量が少ない時期を狙って直登するならば一式。巻き道がしっかりしている滝も有れば不明瞭なものもある。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。8月に行ったら御嶽にもオロロが多く生息していて驚いた。水が冷たいので秋は厳しいかもしれない。

<温泉>
ひめしゃがの湯:含鉄ナトリウム炭酸水素泉で源泉は冷泉。水面近くは炭酸ガス?でむせる。冷泉なので夏は外気に暖められるため、溶解度低下により二酸化硫黄が出てるんじゃないかと心配になる。

<グルメ>
41号沿いにぽつんとある食堂峠屋は24時間営業でボリュームもあり美味しい。

2016年7月12日火曜日

王滝川 鈴ヶ沢東股









御嶽山の沢は荒々しさと麗しさの二面性が魅力だ。御嶽を代表する綺麗渓である鈴ヶ沢も例に漏れない。柔らかに水を流すナメの岩盤中に取り込まれた礫が火山活動の激しさを感じさせる。深い釜を持った小滝と明るいナメがひたすらに続く渓相は伸びやかで晴れがましい。美の不感症になってきた頃に現れるガレ地帯は強烈だ。ついさっき落ちたんじゃないのかと思う巨大な岩がゴロゴロかつ、岩は赤茶色でおどろおどろしい。このギャップが堪らないのだ。下降の中股は上部でナメが出てくるものの全体としてゴーロ。下降向きの沢だと思う。

<アプローチ>
高山から国道361号線、県道20号経由で王滝村へ。鈴ヶ沢横の林道を上がり、川幅が狭くなる最初の橋にある噴火規制ゲートの手前に駐車する。噴火が終息して規制が解除されれば奥まで入れる可能性は有るが、そこそこダート道である。そこから堰堤が連続するので次の橋まで林道を歩き入渓するのが良い。中股を下降するのであれば、小三笠山北側の広いコルに抜ける沢を詰めて下降すると困難無く中股に入る事が出来る。富山市から凡そ3時間半くらい。

<装備>
大滝の巻きが悪い場合に備えてロープとスリング。岩のギアは殆ど必要ないと思う。

<快適登攀可能季節>
6月~10月 ウォータースライダーが連続するので盛夏に行くと盛り上がる。

<温泉>
けやきの湯:県道20号沿いにある静かな旅館。日帰り400円と地域最安値(筆者調べ)。雰囲気もお湯の質も良い。


2015年11月20日金曜日

赤川地獄谷















1979年の噴火によって山頂直下に地獄谷の源頭に噴火口ができた。以降噴煙を上げ続けている赤川地獄谷。地獄谷へ溶岩を流した継子岳は2万年前まで火山活動を続けたそうだ。深い谷は脆い部分の崩壊、開析が進んだことで形成されたのだろうか。川床は安山岩質溶岩流のスラブ。美しい滝を連ねており、どの滝も登って楽しい。また、閻魔の滝のような奇怪な滝もここ出しか見ることが出来ない。上部トラバース中に足元に目をやれば原色黄色の硫黄結晶が沢山転がっている。つまり、赤川地獄谷は良いところなのだ。この谷では昨年の噴火で火砕流サージが発生している。谷の様子が気になるので探索しに行かねばならない。

<アプローチ>
田の原か濁河温泉に車をデポしておいて王滝川から入渓。長野県側なので巌立よりも富山から遠いのが難点。噴火による交通規制や入山規制情報に注意。

<装備>
岩のギア一式。懸垂下降で使用するので50mロープが2本有った方が便利。硫化水素ガスが発生しているのでガスマスクを準備するのが良い。二酸化硫黄、硫化水素などの匂いが強烈になってきたら着用しておこう。交換用のフィルターもほしい。どちらの物質も比重は空気より重い。ガス噴出量が多い上部での幕営は控えた方がよい。水のpHは3.0以下で飲用には適さない。側壁からの湧水を利用するのでタンクがあると良い。裸眼でシャワークライミングしたが目が痛い。ゴーグルがあったら良いかも。使用したギアは直ぐに真水で洗った方が良いと思う。

<快適登攀可能季節>
7月~10月

2015年11月17日火曜日

兵衛谷









昨年に火山活動を再開した御嶽山。御嶽山は75万円前~45万年前の期間に活動した古期御嶽火山と9万年前~2万年前に活動した新規御嶽火山の2つの火山群に分類されている。兵衛谷は新規御嶽山の活動で流れた溶岩流が露出しているそうだ。いたるところで観察される幾何学模様の節理は美しい。材木滝周辺は温泉が湧出しており、棚田状の石灰華ドームが形成されている。珍しいので必見だ。





登らせてくれる滝は殆ど無く遡行は快適とは言いがたい。それでも自然の摂理に浸るには良い場所だと思う。

<アプローチ>
国道41号線から小坂方面へ行き巌立展望台駐車場に駐車。下山後はタクシーか自転車か車2台で回収。噴火後はどうなっているのだろう。火山灰の影響が気になる所だ。

巌立まで富山大学からおよそ3時間30分。

<装備>
巻きメインなので岩のギアは殆ど出番が無い。

<快適登攀可能季節>
7月~9月

<温泉>
ひめしゃがの湯

<グルメ>
41号沿いにぽつんとある食堂峠屋は24時間営業でボリュームもあり美味しい。

2015年11月15日日曜日

濁河温泉 はもずし







濁河温泉の直ぐ下に簾上の氷が掛かる。乗鞍の方が近いし、こちらは小さい。一応垂直なので初心者の練習には良い。わざわざ登りいく必要は無いかもしれないけど、温泉旅行ついでにいかがでしょう。

<アプローチ>
国道41号線から濁河温泉方面へ。余り早い時間に行くと除雪されていない。1日遊ぶようなところでもないので、ゆっくり目に出ることをお勧めする。仙人滝や緋の滝が凍ることもあるらしい。はもずしエリアには懸垂下降して取り付く。除雪車が林道が通るとき、エリアに雪が凄い勢いで落ちてくる。

濁河温泉まで富山大学からおよそ3時間30分。

<装備>
アイススクリューを5本くらい。

<快適登攀可能季節>
1月~2月。寒いとき。

<温泉>
濁河温泉湯元館

<グルメ>
41号沿いにぽつんとある食堂峠屋は24時間営業でボリュームもあり美味しい。