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2023年8月7日月曜日

清津峡ゴルジュ














 日本三大何ちゃら、世界三大うんちゃら、といった三大シリーズを挙げられるとついつい気になってしまう。これはどういう訳か。3が1以後の最初の2以外の素数だからだろうか。星空業界においても夏の大三角、冬の大三角は有名だけど秋の四辺形や冬の大六角形を知っている人は少ないのではないかと思う。そんじゃ日本三大峡谷はどこかというと、黒部峡谷、大杉谷、清津峡である。黒部峡谷と大杉谷は訪れたので次は清津峡となるのは実に自然な流れ。

 清津峡の入り口は半端ない観光地となっている。どうやらトンネルから眺める清津峡が人気らしく、日中は最寄りの駐車場は満車で第四駐車場まで車列が埋まる。そんな中、上下ウェットスーツ&ライフジャケットのいで立ちは完全に浮くので早立ちが鉄則である。
 入渓して直ぐに物凄い峡谷美が展開する。深くえぐれた柱状節理異形ゴルジュはうっとりする。序盤は基本川原でまま泳ぐもののそれ程ではない。少し開けて、あれもう終わり?一瞬と思ってからが面白くなる。とにかく渡渉や泳ぎが続き水遊び万歳モード。観光地として知られている清津峡の景色が延々続くので日本三大峡谷の一角を独占できるのが最高だ。筆者らが訪れたのは渇水の盛夏で困難は一切なくひたすらエンジョイした(ただしオロロの歓待は受ける)。鹿飛橋を過ぎた見返り岩までがゴルジュ地形であとは川原となる。オロロから逃げるべくハイキングコースへ上がり冷えた体を温めた。

 これほどまで水遊びが楽しめる日帰り沢は珍しい。富山県で例えるならば小矢部川瀬戸の長瀞ロングエクステンションバージョン。水量の多寡により困難度は大きく変わるが、この手の沢は困難の追求より面白さを求めた方がいい気がする。清津峡は渇水期に観光がてらどうぞ。ちなみに世界三大峡谷はグランドキャニオン、フィッシュリバーキャニオン、ブライデリバーキャニオンだってよ。それにしても、誰が選んだんだろうね。

<アプローチ>
清津峡の駐車場に駐車して歩いてトンネル前まで行き入渓。第一駐車場は早朝はクローズしており駐車不可。最近のインスタ映え効果なのか、日中は物凄い人で駐車場に入りにくい。そのため、早朝に入渓することを推奨。ゴルジュ終了後はトレッキングコース用の駐車場がある八木沢まで歩き、タクシーか車もう一台で入渓点まで戻る。なお、峡谷沿いに登山道マークがついているが峡谷までの高差があり、エスケープできる場所が限られるうえ、道の状況も不明なのであてにしない方が良いと思う。

<装備>
念のためロープ。ずっと水を浴びているのでウェットスーツは上下欲しい。ライフジャケットが無いとすごく泳ぎ疲れると思う。足回りはラバーでもフェルトでも可

<快適登攀可能季節>
8月~9月。暑い時期がお勧め

<博物館など>
十日町博物館:新潟県といえば火焔型土器の聖地。全国の縄文土器全て魅力的だが、やはり火焔装飾の異様さは頭抜け素晴らしい。国宝が8点くらい?展示されているが、重文、市指定文化財の土器も面白く絶対に訪れたい博物館である。そのほか、織物の歴史と信濃川と雪といった展示も面白い。

磯辺行久記念 越後妻有清津倉庫美術館:十日町周辺はアートで町おこしをしており、興味深い美術館やモニュメントが沢山ある。廃校後を利用した美術館で清津峡最寄りなので是非どうぞ。

2021年9月26日日曜日

苗場山 釜川ヤド沢

 

















富山周辺の沢に人の痕跡を感じることは少ない。理由として、人口が少なく沢登り愛好家の絶対数が少ないこと、難易度が示され遡行図が示された大系的ルートガイドが無いこと、多くの人がこの辺の沢を魅力的と感じていないことなどが考えられる。

翻って苗場山の釜川なんか誰もが行きたがる沢の筆頭なんじゃないだろうか。まず山が素晴らしい。広大な高層湿原を有する花の山、苗場山である。40万年前、苗場山から噴出した溶岩からなる釜川の廊下は誠に奇怪な景観である。加えて滝も多くあらわれるので登る楽しみも存分に味わえる、素晴らしいとしか言いようのない沢である。

ヤド沢ほど日帰りで沢山の要素を味わえる沢も多くは無い。本流の美しい釜とスラブを愛でたのちは20mクラスの滝が連続する。この区間は滝の間も川原は少なくナメなのが好印象だ。詰めあがった先には小松原湿原である。山頂の湿原には劣るものの荒々しい谷とのコントラストもあって大変印象深く感じる事だろう。下山も林道てくてくで安全だ。人跡が多く巻き道ができているので沢慣れしていない人でも楽しめる良さもある。

次は千倉沢をお泊りで遡行して、山頂湿原も合わせた苗場山満喫ツアーを楽しみたい。もちろん7月中旬のお花満開時期に!

<アプローチ>
大谷内ダムから小松原林道へと通じる林道を車で進み、取水堰堤へと通じる林道マークがあるところの広場に駐車する。取水堰堤へ至る林道は草が生えているが、歩く分には問題ない。下山は小松原林道を利用する。
ところで、近くには布岩という柱状節理クラッククライミングの面白い岩場がある。現在、掃除なしで登れるのは5.9から5.10前半のクラックが8本ほどだけだが、40mのスケールがあるルートもあり一度は訪れる価値がある。1日で登り切れるスケールなので、釜川と抱き合わせで計画するのを激推しする。

<装備>
念のためロープ。20m以上の滝も登ろうと思えば登れると思う。その場合はがっつり登攀具を準備。

<快適登攀可能季節>
7月~10月。

<博物館など>
津南町歴史民俗資料館:津南町で発掘された考古資料と秋山郷で使用されていた生活用具を収蔵する博物館。火焔型土器のデザイン性は本当に素晴らしい。縄文土器にハマりそうになる。生活用具の資料数も圧倒的だし、秋山郷の生活史も興味をそそる。展示室にある年間行事表が子細に示されていて面白い。中でも興味を惹くのは「この日から昼寝をやめる」という記載。秋山郷にはシエスタ文化があったの?しかもこの日からって何?