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2022年2月2日水曜日

焼山(朝日町)

 





 山は低いほど、人とつながりが深いほど物語としての面白みがある。そしてそれは現代の世情とはかけ離れたところに真実がある。
 焼山は以前から気になる山だった。同じ名前の頸城の焼山のように「焼」という名称が与えられる山の殆どが火山と察する。この山で火山活動は有史以来無かったはずだ。なぜ焼山とう名称が与えられているのだろうか。焼山周辺の山域を俯瞰すると大鷲山~黒菱山~初雪山~越道峠までの稜線は広い台地状が続いている。この辺りは太美山層群の分布地帯であり越道峠以西の花崗岩地帯と明らかに地形が異なっている。そしてこの山域には登山道が無い。これでもう登らない理由は無い。
 大鷲山から先の稜線に密生する藪は手ごわい。12月に訪れたために完全に埋まり切っておらず足は取られるわ、視界は奪われるわで苦しい。もちろん焼山山頂も物凄い藪。でも、だだっ広い稜線と海の光景はこれまで登ってきた山との違いが際立っていて嬉しい。北東には水上谷。そうか、この山の麓では大平集落によって焼き畑がなされていたのかもしれない。水上というのはこの周辺で上り下りしやすい谷に付与する場合が多い。南側に大きな山があり、日当たりに乏しい立地から、近くの緩やかな地形で焼き畑を行っている姿は想像に難くない。栽培品種は稗だろうか。文献調査と聞き込みフィールドワークは今後の課題としよう。
 先の謎のうち名称についてはイメージが湧いてきた。実はこの時謎の一網打尽を狙って大鷲山から一気に森石山まで(瘤杉山ピストン)を企てたものの、猛烈なラッセル、藪ズボ、ヤブコギにより時速水平距離100m状態に陥り断念した。次はもっと雪が落ち着き藪が埋没したタイミングで藪山を激走アンド疾走したい。

<アプローチ>
筆者は大鷲山から縦走したが、焼山のみを登るのであれば大平集落方面からアプローチするのが合理的ではないか。

<装備>
しっかりと根雪が付いた状態ならばスノーシューやスキーが有効だと思う。

<快適登攀可能季節>
1月~2月。標高が低すぎるので、時期を外すとハードなヤブコギとなる。


2020年2月8日土曜日

大熊山





富山県の県木である立山杉。根っこに近いところの幹は非常に太いが、地面から比較的近いところから枝分かれする樹木が多い。これは若木のときに北陸特有の重い湿雪と強風に叩かれて枝が折れながらも生長したからなんじゃないかと推察するところである。富山の気象と地質が育んだ特異な森の景観だ。その中でも上市川、片貝川、称名川流域に自生する立山杉に際立った巨木が多いような気がしている。片貝川上流には洞杉と呼ばれる岩を抱えた立山杉が自生しているが、これがまた素晴らしいビジュアルなので一度は訪れもらいたい。

大熊山の良さは立山杉の巨木とブナの美しい森林にある。1264mまでは立山杉が多い。はっとするような樹形の巨木も幾つかあり、急登も苦にならない。1200m付近からはブナ林に変わる。かなりの急激な変化なので面白い。ここからは、だらりとした地形が山頂まで続く。積雪期はルート取りに注意が必要だ。筆者が訪れた際はど吹雪だったので、何も見えなかったが展望が素晴らしいと聞く。木々達の声をゆっくりと聞きながらまた訪れるとしよう。

<アプローチ>
小木曽谷右岸の尾根に2010年ころに拓かれた登山道が付いている。赤布も豊富にあるので迷うことは無いと思う。小又川の大きな橋から林道に入って、大きくカーブするところから小道へ入り尾根に入る。冬はここまで伊折のゲートから徒歩。

<装備>
冬~春はワカンなど冬山装備

<快適登攀可能季節>
通年。

<温泉>
アルプスの湯、ゆのみこ温泉

<博物館など>
滑川市立博物館:上市町のイメージが強い早月川だが、人の住んでいる殆どの流域は滑川市を流れている。流域の自然と人の営みをバランスよく知る事ができる。手の込んだジオラマも学習の一助となる。

西田美術館:ロシアイコンや曼荼羅が展示されている。そして剱岳の資料が豊富。魚津岳友会の会報が熱い。

大岩山:行基菩薩の石仏は大迫力。夏はそうめんが名物で多くの観光客が訪れる。

富山県薬用植物指導センター:5月中旬に芍薬の花が満開になるとても綺麗。五月の連休より少し後が見頃になる。芍薬は生薬として用いられるので栽培されている。有効成分はペオニフロリン。有名なのは甘草との組み合わせたもので芍薬甘草湯。グリチルレチン酸との組み合わせである。

2019年6月15日土曜日

笹川 七重谷川











なぜ7という数字はこんなにも人を惹きつけるのであろうか。ラッキー7とか、七福神とかは縁起の良い数字として扱われてきた証左だし、政治の世界の頂は主要七か国会議(最近は20カ国だったりするけど)だし、西洋の音楽もドレミファソラシの7音階を基調としている。そんなこんなで、人間の生活は無意識のうちに7に侵食されているのだ。筆者もその例外ではなく、7の付く場所は登りたくなってしまう。

笹川の一支流である七重谷川には七重滝(しっちゃたき)と呼ばれる連瀑が水を落とす。この滝は岩稲累層と太美山層群の断層に懸かり、流紋岩を美しく撫愛するように流れている。均整のとれたその姿から文人墨客の訪れは少なくなく、古くから親しまれてきた。その昔、朝日町は親不知手前の宿場町で栄えていたため、旅人はここに逗留することも多かったと聞く。画家竹下夢二もこの滝を眺めたのだろうか。「七」の由来は諸説あるようで、1)7段の連瀑によるもの2)笹川村を開拓した竹内氏、長井氏、小林氏、堀内氏、深松氏、折谷氏、宇津氏の七家によるもの3)ドレミファソラシによるもの等、自由に説が展開されていて言いたい放題な感がある。個人的には平安時代からこの地を守ったといわれる七家説を支援したいところである。

しかし、この滝を登ったという話は聞かない。上流部は堰堤が連続するため、わざわざ登らないのであろう。この遡行是非問題は、彼の地を開拓した七家へのリスペクトを込めたトリビュートクライムとして動機付けしておけば解決できるだろう。1段目からスラブ状を呈していて登攀向きの滝でない事がわかる。水際から登り右岸の藪に移り、手の付けられないスラブ滝をかわす。しかし各滝の滝つぼは美しいので、降りて見物するのがお勧めである。七重滝を過ぎても流紋岩のゴルジュ地形が楽しめる。しかし岩のフリクションに乏しいので注意が必要だ。沢登りらしい楽しみは巨大堰堤が現れて唐突に終了する。そこから左岸の尾根へ上がると気持ちのよい登山道が拓かれている。沢登りを目的として七重谷川を遡行するのではなく、南保富士へ登りに行く一過程として七重谷川を組み入れれば実に楽しい山登りとなるはずだ。

<アプローチ>
雁蔵集落から七重谷川の橋のたもとに駐車する。すこし林道を歩いてカーブのところから入渓。七重滝を登ってかららのゴルジュを抜けて堰堤が現れたら右手の斜面を登ると遊歩道に上がれる。これを下降すれば容易に戻れる。逆に登れば490mの猪山を経て南保富士へ登る事が出来る。

<装備>
七重滝の登攀でピトン各種と1番以下のカム。水量の少ない乾いたタイミングであればスラブでフラットソールが有効だろう。

<快適登攀可能季節>
5月~11月。

<温泉>
宝温泉、地中海、境鉱泉など越中宮崎周辺は塩泉が多い。

<グルメ>
たら汁が名物だが、はっきり言ってそれほどでもない。量を食いたいのであれば「きんかい」で定食のご飯大盛りを注文しよう。日本昔話級のてんこ盛りが食える。ドライブイン入善の定食も味、量ともになかなか。

<博物館など>
護国寺:別名石楠花寺。とやま花名所に選ばれるだけある庭園。シャクナゲとツツジの時期が素晴らしい。謎の置物も気になる。

朝日町歴史公園:縄文時代の不動堂遺跡が再現されている他、江戸時代町屋であった旧川上家の家屋が当時の状態を保ったまま移設されている。ここでは朝日町名産のバタバタ茶を自分で点てて試飲できる。12月~3月は閉館するので注意。

朝日町立 ふるさと美術館:昨今の大正アートブームで再注目の竹下夢二の作品を所蔵している。江戸~大正期、朝日町の泊は宿場町で大いに栄えており、その盛り場に夢二が訪れていたようだ。妻たまきとの破局事件の舞台は宮崎海岸だ。この情事の続きは朝日町の図書館で。

百河豚美術館:野々村仁清の作品を数多く展示している。デフォルメされた鶏が描かれコップもあり、仁清のモダンな感性を感じる事ができる。他にも話題の伊藤若冲や、尾形光琳に酒井抱一といった琳派ビックネームの作品も展示。

下山芸術の森発電所美術館:きらりと光る興味深い展示をやっている。こちらも12月~3月の冬季は休館するので注意。

杉沢の沢杉:地口か回文のような名称だが素晴らしい場所。田園と防風林の中にポツリ広がる湿地杉林で、まるでもののけ姫の森のようである。近年、入善乙女キクザクラという桜の新種がここで発見されている。この原木は未だ杉沢の沢杉でしか発見されていない。北陸は菊咲きの桜の品種が多いらしい。

2018年4月15日日曜日

大倉山






大猫山、猫又山へと通じる東芦見尾根の稜線はべろべろっとした平坦な地形だ。北は片貝川、南は早月川と富山でも屈指の急激流河川を従えているが、派手さはなく地味でお局的なイメージがある稜だ。藪が埋まった残雪期には素晴らしい眺望とともに稜線漫歩を楽しめるのが魅力である。

大倉山は東芦見尾根の中では最も登られている山頂と言える。冬期も道路は除雪されているので通年登る事が出来る。剱岳の展望台としても素晴らしい山だ。下部尾根の登りそのものはやや単調で面白みに欠けるが、春はイワウチワの大群落が迎えてくれる。見上げればタムシバも柔和に微笑んでいることだろう。薄紅と白の色彩は春の浮かれ気分を一段と浮き浮きさせる。1050mを越えると一気に眺望が開け気持ちよい。山頂はだだっぴろく、天気が良い日にテントで泊まったら楽しそうだ。日帰りハイキングだけではなく、毛勝山まで縦走して片貝へ下りるという計画も興味深いはず。下山は山菜を採集しながら林道を歩くといい。桑首谷のせせらぎに足を浸せばまた楽しい。雪代の流れへ糸を流すのも面白い。もちろん春のみならず、夏秋冬も魅力的に違いない。

<アプローチ>
馬場島へ向う県道を進み、剣橋を過ぎたら直ぐに桑首谷の林道が出会うので入り口に駐車する。林道を歩いて尾根に取り付く。無雪期は尾根の登山道入り口まで車が入るようだ。

<装備>
冬~春はワカンなど冬山装備

<快適登攀可能季節>
通年。

<温泉>
アルプスの湯、ゆのみこ温泉

<博物館など>
滑川市立博物館:上市町のイメージが強い早月川だが、人の住んでいる殆どの流域は滑川市を流れている。流域の自然と人の営みをバランスよく知る事ができる。手の込んだジオラマも学習の一助となる。

西田美術館:ロシアイコンや曼荼羅が展示されている。そして剱岳の資料が豊富。魚津岳友会の会報が熱い。

大岩山:行基菩薩の石仏は大迫力。夏はそうめんが名物で多くの観光客が訪れる。

富山県薬用植物指導センター:5月中旬に芍薬の花が満開になるとても綺麗。五月の連休より少し後が見頃になる。芍薬は生薬として用いられるので栽培されている。有効成分はペオニフロリン。有名なのは甘草との組み合わせたもので芍薬甘草湯。グリチルレチン酸との組み合わせである。




2017年10月30日月曜日

高落場山





秋の山はわくわくする。きりりと澄んだ空気に錦の葉を纏った森に差し込む柔らかな光。鳥のさえずりは静まり、その場にしっとりと馴染める感覚が心地よい。藪を掻き分けてキノコを探すのも面白いものだ。

高落場山はブナの美しい森が誰でも手軽に楽しめるお勧めの山である。たいらスキー場側の入山地点からほど近い道谷は富山でも指折りの紅葉名所だ。かさとり地点からの真っ赤な山肌は本当に素晴らしい。山頂から草沼山へは美しいブナの群生地となっており、黄葉が心を浚う。南砺周辺は近年猛威を振るったカシノナガキクイムシが媒介するナラ菌による被害が大きかった地域であり、倒木の樹皮がはげている事が多い。そのためにキノコが激減したと地元の方から聞いた。寂しい気もするが森の遷移の過程なのだろう。また、数十年後には元気な雑木林に戻ってもらえると有り難いものだ。

<アプローチ>
縄ヶ池に通じる林道を利用して、登山道を使うと最も楽に登る事が出来る。しかしながら、この林道は通行止めになる事が多い。近年はたいらスキー場から梨谷川を渡る道が整備されているのでそちらを利用するのも良い。五箇山の行徳寺から井波の瑞泉寺に至る縦走路は道宗道(どうしゅうみち)と呼ばれてトレイルランニング大会も開催されている。道宗という僧が瑞泉寺まで通った道を概ね再現しているそうだ。

<装備>
熊が多い地域なので熊鈴は準備したい。

<快適登攀可能季節>
5月~11月。新緑と紅葉の時期が素晴らしい。

<博物館など>
縄ヶ池:五月連休あたりに水芭蕉が満開になる。駐車場から砺波平野の散居村を一望できるのも魅力。5月ならば田植えの時期、水田の水面に反射する夕日を眺めたい。10月初旬ならば実りの時期、赤く染まった揺れる稲穂を堪能したい。

福光美術館:福光は棟方志功が6年ほど疎開していた土地である。そのため作品が多くの作品が残されている。企画展も渋く見逃せない。別館の愛染苑も訪れたい場所である。厠にまで絵を描く棟方志功の自由な人柄が感じられる家だ。

南砺バットミュージアム:日本プロ野球の往年の名選手のバットが触れる。メジャーリーガーのバットもある。タイカッブとベーブルースが使用したバットを触って大興奮!親父さんも気さくで良い時間を過せる。

井波彫刻総合会館:井波彫刻は県外にそれほど認知されていないように思う。豪快かつ繊細な技術に感動する。瑞泉寺も行っておこう。

瑞泉寺:道宗道の終点となる真宗大谷派の古刹である。木彫りの町井波にある事もあり、豪奢な彫り細工が見どころ。

2017年4月17日月曜日

大辻山





滝は自らの流れによって岩盤を削り、日々わずかながら後退している。弥陀ヶ原台地は約10万年前の立山火山活動によって形成され、溶岩の末端は立山町小見まで達したと考えられている。称名滝は弥陀ヶ原の形成に伴い千寿ヶ原で誕生した。誕生日から後退が始まったとして、千寿ヶ原から現在の称名滝の場所まで約7kmなので単純計算で年間平均にして10cmの速度で後退している事になる。換言すると、称名川ゴルジュは年間10cm短くなっているともいえる。それにしても10cm/年とはかなり速いのではないか。人生80年とすると、人の一生の中で8mも下がっているのだ。

大辻山から立山を望むと称名滝によって侵食された溶岩台地がばっちり観察出来て嬉しい。側壁の急峻さは反対の真川側とは比べ物にならない。仮に20分間山頂にいて、弥陀ヶ原を眺めていたのならば、その間に称名滝は約3.8μm後退している事になる。ひと時も同じ姿を見せない、無常と空をしみじみ味わえる山頂だ。

話は変わるが、鍬崎山の北面には大追戸谷という滝が続く素晴らしい沢がある。この谷は雪が着くと滝は埋まり凄い斜面となっている。

この谷は山スキーのルート対象にはならないのだろうか。山頂からダイレクトに滑る美しいラインのように思える。誰か滑っているのだろうか。

<アプローチ>
無雪期は沢登り気分の白岩川ルートや南面の沢を登るのもよし、国立立山青少年の家から登山道を歩くもよし。積雪期ならば適当な尾根から直接取り付いたほうが楽な気がする。

<装備>
季節に応じた山歩きの恰好

<快適登攀可能季節>
1月~12月。いつ登っても楽しいと思う。ただ、残雪期に林道が閉鎖されていると歩くのがやや面倒。

<温泉>
ホテル森の風立山、吉峰グリーンパーク

<博物館>
立山博物館:別館まんだら遊園の異空間を一度は味わってほしい。
カルデラ砂防博物館:マイフェイバリット、治水の恩人ヨハネスデレーケの展示もある。

2017年4月10日月曜日

大鷲山






県境の決定は山か川を利用する事が多い。県境となる河川は安直に境川と呼ばれるのだろうか、富山県には2つの境川が存在する。1つは大畠谷で有名な岐阜県との県境の境川であり、もう一方は新潟県との県境の境川である。越中越後国境地帯は北陸道きっての難所の親不知から近く、軍事的な要所であったため血生臭い歴史を重ねている。平安~戦国時代は宮崎城が戦の最前線となったようだ。

さて、大鷲山は新潟側の境川左岸に位置する山で海抜0m、即ち海から登る粋な山である。街道から直接尾根に取り付き800mを一気に登る。山頂は広く黒部川扇状地と親不知の断崖が見渡せるので、緩急際立った自然の造形を楽しめる。筆者は残雪期に登ったが、イワウチワの薄紅とヤブバタツバキの深紅が雪に映える清明な登山であった。もう少し遅い時期になればより多くの花を楽しめそうだ。自然と人の歴史ロマンを感じる事ができる素晴らしき里山である。

<アプローチ>
国道8号線の境橋の境川第二発電所付近に邪魔にならないよう駐車する。登山道入り口は8号線側のアスファルト階段を登り水路を直ぐに渡り尾根に取り付く。積雪期・残雪期に黒菱山まで縦走したら面白そうだ。無雪期は烏帽子林道利用で標高500m付近まで車で上がれる。

<装備>
季節に応じた山歩きの恰好

<快適登攀可能季節>
年中登れる。夏は暑い。

<温泉>
境鉱泉:含鉄塩泉の温泉。銭湯価格で温泉が入れるのが嬉しい。石鹸は備え付けてないので持参。

<博物館など>
護国寺:別名石楠花寺。とやま花名所に選ばれるだけある庭園。シャクナゲとツツジの時期が素晴らしい。謎の置物も気になる。

朝日町歴史公園:縄文時代の不動堂遺跡が再現されている他、江戸時代町屋であった旧川上家の家屋が当時の状態を保ったまま移設されている。ここでは朝日町名産のバタバタ茶を自分で点てて試飲できる。12月~3月は閉館するので注意。

朝日町立 ふるさと美術館:昨今の大正アートブームで再注目の竹下夢二の作品を所蔵している。江戸~大正期、朝日町の泊は宿場町で大いに栄えており、その盛り場に夢二が訪れていたようだ。妻たまきとの破局事件の舞台は宮崎海岸だ。この情事の続きは朝日町の図書館で。

百河豚美術館:野々村仁清の作品を数多く展示している。デフォルメされた鶏が描かれコップもあり、仁清のモダンな感性を感じる事ができる。他にも話題の伊藤若冲や、尾形光琳に酒井抱一といった琳派ビックネームの作品も展示。

下山芸術の森発電所美術館:きらりと光る興味深い展示をやっている。こちらも12月~3月の冬季は休館するので注意。

杉沢の沢杉:地口か回文のような名称だが素晴らしい場所。田園と防風林の中にポツリ広がる湿地杉林で、まるでもののけ姫の森のようである。近年、入善乙女キクザクラという桜の新種がここで発見されている。この原木は未だ杉沢の沢杉でしか発見されていない。北陸は菊咲きの桜の品種が多いらしい。

帰りには生地の道の駅で新鮮な魚を買って帰るのもいい。

2017年3月28日火曜日

千石城山




 上市町には3つの城山と呼ばれる山が存在する。それぞれの名称は稲村城山、茗荷平山(城ヶ平山)、千石城山である。これらの城は1300年~1500年代の南北朝~戦国時代に土肥氏によって築城され、有事の際の詰城として利用されたそうだ。千石城山はこの3つの城山の中で最も標高が高い山だ。さらに県内の城館跡においても鋲ヶ岳に次いで第二位の高さを誇っている。その険しい地形から文字通り最後の砦として利用されたのだろう。その後、土肥氏は1583年に佐々成政によって滅ぼされ城も使用されなくなったという。
 
 そんな最後の砦も今となっては、県内きっての人気山である。冬季も剱親自然公園まで除雪はバッチリされているので剱岳の大展望が年中楽しめる稀有な場所だ。直近で筆者は3月の残雪期に登ったがマンサクが咲く中にヒガラが囀る早春登山となり格別であった。新緑の緑も、秋の紅葉もまた素晴らしい。

 こんな環境の中で人間同士が生死をかけて争っていた事に驚く。500年前は城であった訳だから、猛々しい士どもが犇き合い、鍔迫り合いを繰り広げた事もあったのだろう。そんな時も剱岳は鎮座し、マンサクは咲き、ヒガラは囀り、早月川は水を運んでいたのだ。そんな平和的なロケーションで血しぶきとは何ともはちぐはぐで滑稽である。きっとサルもカモシカもブナだってニヤついていただろう。翻って21世紀の越中は「ブリの一世帯当りの支出額が45年連続全国一位」が18:00のトップニュースになるような安穏な国となった。人の世の変遷にも興味は尽きない。

 しかし、戦は生活のため生きるため。娯楽で命を懸ける登山なんて滑稽を極めたシュールでナンセンスな行為といえる。山の住人達は抱腹絶倒笑止千万呵呵大笑に違いない。山に喜んで貰えるのは嬉しいし、馬鹿馬鹿しい様は平和的でもある。今後とも芸を磨き入山のたびに山が爆笑するような登山者、謂わば山の桂枝雀を目指したい。春本番はもうすぐそこである。

<アプローチ>
剱親自然公園の駐車場に駐車。そこから少し林道を歩く。無雪期は登山口すぐに大きな駐車場がある。

<装備>
積雪期でも長靴にホームセンタースパッツでOKなハイク山。

<快適登攀可能季節>
1月~12月。オールシーズン楽しいはず。しかし夏は暑い。

<温泉>
大岩不動の湯:小さめの施設だが天然温泉で露天風呂もある。420円とリーズナブルなのも嬉しい。

アルプスの湯:600円と少し高いが天然温泉、炭酸泉もある広いお風呂。

<博物館など>
花の家:おおかみこどもの雨と雪のモデルの家。土日祝日は管理している人が居て見学可能。



西田美術館:ロシアイコンや曼荼羅を展示。そして剱岳の資料が豊富。魚津岳友会の会報が熱い。

大岩山:行基菩薩の石仏は大迫力。夏には千巖渓遊歩道で涼みそうめんを食らうのが良い。

富山県薬用植物指導センター:5月中旬に芍薬の花が満開になるとても綺麗。五月の連休より少し後が見頃になる。芍薬は生薬として用いられるので栽培されている。有効成分はペオニフロリン。有名なのは甘草との組み合わせたもので芍薬甘草湯。グリチルレチン酸との組み合わせである。





2016年10月13日木曜日

城ヶ平山




おおかみこどもの雨と雪(2012年公開,細田守監督)の舞台モデルは富山県だ。話題作だったので上映当時劇場で鑑賞した。子供の成長と母親との絆を描いた作品で内容に賛否は有るかと思うが個人的には楽しく鑑賞できた。その親子の家(花の家)が上市町浅生にあり、誰でも見学することが出来る。上映から4年立った今でも訪れる人が絶えないようだ。

花の家の裏山、城ヶ平山は豊かで素晴らしい里山だ。登山口は浅生側と大岩側があるがここでは浅生のほうを紹介する。登山道は畑の横を通るところから始まる。休耕になっている所もあるが駆り払われていて日当たりは良く開けた場所となっている。畑を抜けると南向きの緩やかな杉林となる。谷にはチョロチョロと水が流れていて潤いがある。稜線はナラを中心とした広葉樹の雑木林だ。稜線といっても幅は広く尾根にも谷にも草木が種類豊富に生い茂っていて、巨大な乳房に全身を包み込まれるような感じ。もちろん実際に乳房に包まれた経験は無いが、きっとこの雑木林の中ような感じだろう。いずれ包まれてみたいものである。細かなアップダウンを楽しみながらかつてお城があったといわれる山頂へ。広い山頂は家族で昼食を食べたり、今様を吟じながら舞う事が出来るような展望台となっている。天候がイマイチだったので写真で良さが伝わらない事が惜しまれる。同ルートを戻っても良いが大岩へ降りて林道を戻ってきても面白い。

生物にとっての豊かさとは、手付かずの山とは限らないと思う。この短いルート内の自然環境はとても変化に富んでいる。それは人間住みよいように手を入れたためだ。それぞれの場所に適した生き物が住み着くことで、生息する生物の種類は多くなる。単位面積当たりの生物種は里山の方が多いという話も聞く。生き物が多く居て何になる?という意見もあるとおもう。でも種類が多いほうがゴージャスな感じがして良いじゃないか。ビーフカレーの食べ放題よりも、50品目のブッフェスタイル、ケーキ付きの方が嬉しいように。しかも里山のブッフェは無料で味わいは訪れる人の観察眼次第で3つ星レストランにもなる。時間制限も無いので立ち止まりながらゆっくり味わいたい。

<アプローチ>
大岩山から続く細い山道を入る。花の家の脇に駐車し看板にしたがって入山。駐車場は広くないので注意が必要。縦走して帰ってくるのもよい。

<装備>
念のため熊鈴。図鑑片手に一日遊ぶのもよさそう。

<快適登攀可能季節>
1月~12月。オールシーズン楽しいはず。夏は暑いかな。

<温泉>
大岩不動の湯:小さめの施設だが天然温泉で露天風呂もある。420円とリーズナブルなのも嬉しい。

<博物館など>
花の家:おおかみこどもの雨と雪のモデルの家。土日祝日は管理している人が居て見学可能。



西田美術館:ロシアイコンや曼荼羅を展示。そして剱岳の資料が豊富。魚津岳友会の会報が熱い。

大岩山:行基菩薩の石仏は大迫力。夏には千巖渓遊歩道で涼みそうめんを食らうのが良い。

富山県薬用植物指導センター:5月中旬に芍薬の花が満開になるとても綺麗。五月の連休より少し後が見頃になる。芍薬は生薬として用いられるので栽培されている。有効成分はペオニフロリン。有名なのは甘草との組み合わせたもので芍薬甘草湯。グリチルレチン酸との組み合わせである。





2016年3月25日金曜日

白鳥山 北西尾根





海から程近く、標高も1200m以上あるので眺望が素晴らしい。シーズンを通して人気の山である。無雪期は坂田峠から登山道を歩いたり、しな谷から沢登りで登られる。北西側に好斜面を有しているので冬はバックカントリーの山となる。筆者はスキーは出来ないが、海に向って滑る気分はさぞ最高なのだろう。山頂の小屋は開放されているので気楽に一泊できる。日本海に沈みゆく太陽をゆったり眺めていたい。

<アプローチ>
上路集落に駐車。除雪の邪魔にならないようにする。上路集落まで国道8号線経由で1時間30分くらい。

<装備>
ワカンよりもスノーシューの方が有利。スキーが出来る人ならば、スキーの方がきっと楽しい。

<快適登攀可能季節>
1月~3月。雪がバッチリ付いているときが良いと思う。

<温泉>
宝温泉、地中海、境鉱泉など越中宮崎周辺は塩泉が多い。

<グルメ>
たら汁が名物だが、はっきり言ってそれほどでもない。量を食いたいのであれば「きんかい」で定食のご飯大盛りを注文しよう。日本昔話級のてんこ盛りが食える。ドライブイン入善の定食も味、量ともになかなか。親不知道の駅の食堂は夕飯時は閉店しているので期待してはいけない。

<博物館など>
下山芸術の森発電所美術館:時おり興味深い展示をやっている。冬季は休館するので注意。
魚津埋没林博物館:でっかい木が沈んでいるだけなのだが、なぜか趣がある。
護国寺:別名石楠花寺。とやま花100選に選ばれるだけある庭園。謎の置物も気になる。

帰りには生地の道の駅で新鮮な魚を買って帰るのもいい。

2016年3月8日火曜日

大品山





ぶなの木はどんなときも柔和だ。目の覚めるような新緑の萌え、焼けるような日差しに透ける薄緑色の葉、黄金色に輝く紅葉、樹氷を纏った凛とした姿。四季折々ぶな林は美しく、違った姿を楽しませてくれる。大品山のぶな林には巨木は存在せず、木々は直立し、均等な間隔で並び和を保っている。かつて伐採され二次林となっているからであろうか。原生林とは違った趣がある。ぜひ県外の方も四季を通じて登って欲しい山である。

<アプローチ>
あわすのスキー場に車を止めて、貯水池へ通じる尾根を登る。瀬戸蔵山~大品山と縦走するのであれば、家族旅行村の龍神の滝から登る。ライチョウバレーのゴンドラで稜線に上がると楽。あわすのまで富山大学からおよそ1時間。

<装備>
冬季ならばワカン。

<快適登攀可能季節>
1月~12月。いつ登っても楽しい山だ。美しい森と立山の展望が素晴らしい。

<温泉>
ホテル森の風立山、吉峰グリーンパーク

<博物館>
立山博物館:別館まんだら遊園の異空間を一度は味わってほしい。
カルデラ砂防博物館:僕の好きな、治水の恩人ヨハネスデレーケの展示もある。


2016年3月6日日曜日

来拝山



立山を拝むために来る山。その名の通り、立山の展望台として申し分ない。市内からのアプローチの良さと近さから人気の山である。道も整備されているので仕事上がりにナイトハイクをするのも良い。静まり返った夜の森はしっとり優しい。そして夜景と富山湾の漁火を眺めながら食べる飯ほど美味なる物はない。

<アプローチ>
国立立山青少年自然の家から登山道。

<快適登攀可能季節>
夏を除く期間。

<温泉>
ホテル森の風立山、吉峰グリーンパーク

<博物館>
立山博物館:別館まんだら遊園の異空間を一度は味わってほしい。
カルデラ砂防博物館:僕の好きな、治水の恩人ヨハネスデレーケの展示もある。

中山







冬晴れの一日、富山市内から立山連峰を眺める。剱岳は早月尾根が野太く山頂を貫ぬき、山体を支える岩稜は厳つい。猛々しくも、寂寞を感じさせる山である。馬場島から登る中山は剱岳西面の展望台として親しまれている。ルートは東小糸谷からと、堰堤下の登山口の二通り。堰堤下の登山口入り口にはボルダー(A岩)がある。下山後に遊ぶのもいい。馬場島周辺は富山では光害の少ない場所で天体観測適地。好きな山の麓、川のせせらぎを耳に星空を眺める。まさしく至福のひととき。

<アプローチ>
富山大学から馬場島まで45分。五月の連休までは青少年ゲートまでしか車は入れない。

<快適登攀可能季節>
夏を除く年中。熊鈴は持っていこう。

<温泉>
アルプスの湯、ゆのみこ温泉

<博物館など>
西田美術館:ロシアイコンや曼荼羅があった。そして剱岳の資料が豊富。魚津岳友会の会報が熱い。

大岩山:行基菩薩の石仏は大迫力。

富山県薬用植物指導センター:5月中旬に芍薬の花が満開になるとても綺麗。五月の連休より少し後が見頃になる。芍薬は生薬として用いられるので栽培されている。有効成分はペオニフロリン。有名なのは甘草との組み合わせたもので芍薬甘草湯。グリチルレチン酸との組み合わせである。