2026年3月25日水曜日

赤沢岳 西尾根二峰西峰北面中央ルンゼ右~山頂ダイレクト

 









 赤沢岳の岩場の中でも最大級のスケールを誇るのが西尾根二峰北西壁である。二峰は双耳峰でそれぞれ西峰と東峰と呼ばれており、この北側には高差200mくらいの岩壁となっている。より正確な概念で表すと東峰の壁は西壁で、西峰の壁は北壁といえる。東峰の西壁となるとややこしいのか、過去の資料では二峰北西壁とか二峰北面のように表記されている。冬期の二峰北西壁は他の岩壁と比べると遠くアプローチも解りづらいがそれを補って余る素晴らしいクライミングが待っている。

 複雑なアプローチをこなして降り立つ中央ルンゼの入り口は傾斜はとても強く威圧感のある雰囲気。ここに来てしまっては帰るのも容易くない。得も言われぬ緊張感に包まれ中央ルンゼの右にある浅いコーナーから登り始める。
 1ピッチ目が全体の核心である。明神の性質と錫杖の性質を持った核心が同時に襲ってくる悪絶さよ。プアプロで厳しいフッキングのスラブと被りを超える。続く2ピッチ目は小ハングを超えて岩場を登るとスラブ状の雪面となる。スラブは何となく嫌らしいが親指よりも太い潅木が現れ始めて少し安心感が増す。ビレイはしっかりした灌木でできる。3ピッチ目は小ハングの岩から傾斜の強い草付き登り。出だしのハングはカムで支点が取れるが、後半の草付きは密度の低くイボが使いづらく結局1本も使わない。テラス状になった小さなルーフの下で潅木+岩でビレイとなる。4ピッチ目はハンドクラックから左の潅木へ移ると又しても岩の小ハング超えとなる。ここは岩からバッチリと支点が取れる。後は草付きスラブから潅木帯へと抜ける。最終5ピッチ目も簡単にはならず強傾斜のコケ草付きを緊張するダブルアックスから岩場を登り山頂へ直接到達する。西尾根二峰西峰は壁に向かって右側の傾斜は緩くなる。中央ルンゼを登って山頂の方へ抜けるラインも攻撃的だが登れるかもしれない。

 40m~60m程度ロープを伸ばして合計5ピッチ。北面ゆえの氷雪を纏った姿は危険なまでに美しく、すべてのピッチに難しさはあり内容もいい。西峰山頂へダイレクトに至る合理性も文句なしで赤沢岳でも屈指のラインだと思う。ドライな東峰とウェットな西峰は言葉通り双璧をなし、さながら冬期登攀界の島崎藤村と土井晩翠。あなたは椰子の実と荒城の月どちらがお好み?

<アプローチ>
屏風尾根の頭から赤沢岳山頂まで行き山頂から西尾根側を少し下る。そこから遭難碑プレートが埋めてある岩がある所(山頂からほど近い)大スバリ沢側の急峻なルンゼを下降する。ルンゼが急峻になり始める地点のコルを北側へ乗越し壁へ通じるルンゼをクライムダウンする。二峰へ向かうために北側へ適当なところからトラバースする。二峰北面壁末端へのアプローチだが、まず二峰のコルから少し西峰側へ登った地点の潅木を利用して左ルンゼを55m懸垂下降する。この地点の節理を利用してビレイポイントを作成してルンゼ左岸側をトラバース下降し、スラブの上に生えた潅木まで行く。この潅木から右下の浅いルンゼ状を30m懸垂下降するとがっちりした灌木がある。さらにこの潅木から中央ルンゼ内を55mの懸垂で西峰の末端壁に到達できる。東峰の末端壁へはルンゼを少し下降すれば良い。登った後は往路を戻るが登り返しとなり辛い。

<装備>
カム一式、ピトン各種、トライカム、ボールナッツ小さいの

<快適登攀可能季節>
2月末~3月。北面のため雪の安定と壁のコンディションを考慮すると遅い時期がいい。

赤沢岳 西尾根二峰東峰北面 スラブ状岩壁


 








 赤沢岳西尾根二峰東峰の壁は実際は西向きで傾斜が強いためドライコンディションとなることが多い。壁末端まで下降するとルートが長くなるうえ、中央ルンゼを登り返すのも大変になってくる。コルから左ルンゼを1ピッチ懸垂とクライムダウンで取りつく事ができるスラブ状岩壁は西尾根二峰の岩場の中では相対的に取りつきやすい部類かもしれない。正味3~4ピッチであるが内容は濃密である。

 取りつきは相対的に傾斜が緩くなっている草付きフェースから。緩やかな右上するクラックかコーナー正面のフェースを登る。右上クラック内に雪と氷が張っている場合はフェースを選択することになると思うが、プロテクションは取りずらいうえに難しい。岩が不安定な雰囲気もあり危険な香りがするがするので昇温時は注意したほうがよさそう。抜け口のハング越えは豪快であんまりないムーブである。ハングの上かその下のがっちりした灌木でビレイするといい。ハングに押さえつけられたスラブを右トラバースしハングをかわし、ピトンサイズのほそーいクラックの走ったスラブ状の岩壁基部にてビレイ。この稜線に雪庇を纏ったスラブ岩壁は日本離れした光景で登れるのか不安になる。スラブをじりじりと登って東峰の肩に出るルンゼの基部まででピッチを切る。スラブは絶妙にフッキングとフットホールドがあり奇跡的なライン。あとは山頂へ至る岩場を楽しく登って終了となる。

 恐らく登山体系の赤沢岳二峰北面の概念図にある?と記載されたルーフ部分を躱すように登ったのだろう。西尾根二峰の岩場は赤沢岳の中ではクライミング難易度と隔絶感では格別のエリアだ。単発で登ってもお腹いっぱいになるが、これを西尾根の末端から継続したらどうだろうか。三峰の猫の耳を登って、二峰北面を登り本峰北西壁と継続したらものすごい充実感があるだろう。末端からの時間は無いのであれば西尾根南稜のグラードから続けるのも良案だと思う。アプローチのいい岩場で楽しく遊び廻ろう。

<アプローチ>
屏風尾根の頭から赤沢岳山頂まで行き山頂から西尾根側を少し下る。そこから遭難碑プレートが埋めてある岩がある所(山頂からほど近い)大スバリ沢側の急峻なルンゼを下降する。ルンゼが急峻になり始める地点のコルを北側へ乗越し壁へ通じるルンゼをクライムダウンする。二峰へ向かうために北側へ適当なところからトラバースする。二峰北面壁末端へのアプローチだが、まず二峰のコルから少し西峰側へ登った地点の潅木を利用して中央ルンゼを55m懸垂下降する。この地点の節理を利用してビレイポイントを作成してクライムダウンする。スラブ状岩壁へは右岸へトラバースすると到達できる。

<装備>
カム一式、ピトン各種(薄刃、ペッカー)、トライカム、ボールナッツ小さいの

<快適登攀可能季節>
2月~4月。東峰は西面に当たるのでドライコンディションのことが多い。西峰よりも氷雪や草付きの影響は少ないのでシーズンは長そう。